読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日本中枢の崩壊

「官僚は公正中立でも優秀でもない

政治家やビジネスマンの場合、秀才の思い上がりがあると、やがてわが身に返って来る。ビジネスマンが、いくら俺は凄いんだ、頭がいいんだといったところで、仕事の成績が悪ければ、笑われるだけである。政治家も世間の批判にさらされるし、何よりも選挙という国民の審判がある。


対してキャリア官僚は、成果で評価されることはないので、自分が驕り高ぶっていることさえ分からない。
多くのキャリア官僚は政治を軽んじている。
「大臣なんてすぐに代わる。永続して政策を考えているのはわれわれだけだ。われわれがいなければ、政策一つ満足にできない。日本の官僚は公正中立で優秀だ。政治家は専門知識がなく利権に走る。従って、われわれ官僚が行政の主たる担い手になるべきだ」
と、本気で思っている人が少なくない。



私は、この自信が良く理解できない。第一、自分たちが優秀だという根拠がない。東大を出て官僚になったことが根拠だとしたら、あまりにも思慮が浅い。(略)



逆に官僚が優秀で無かった証拠ならいくらでもある。もし、日本のテクラクラートが本当に優秀なら、現在のように財政が火の車になるまで放置していただろうか。経済がこれほど急速に萎んでいただろうか。


官僚は優秀でも公正中立でもないのでは、と疑わせる事例は、枚挙にいとまがない。
社会保険庁消えた年金問題、空港の需要予測、一四〇〇兆円の国民金融資産を抱えながら世界で競争できない銀行を作った護送船団方式、住宅行政への信頼を地に落とした耐震偽装問題、摘発しても摘発しても続く官製談合……これが本当に優秀な官僚のやることかといわれれば、俄かに反論できない。(略)」