読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

忘れられた巨人

〇 読み終わりました。印象的だったのは、「船頭」の質問。自分だったら…と考えると、悲観的な気持ちになります。思い出にそんな「大切な」ものってあるかなぁ、と考え込んでしまいます。私の場合、そんな素晴らしい大切な思い出なんて、ないような気がします。

しかも、それを夫と共有しているか、となると、先ず絶望的です。

この老夫婦の場合、一体どんな記憶が忘れられていて、その記憶が蘇るとどうなるのか、それがずっと気になって、先を読まずにいられませんでした。

物語の展開は、まるで「冒険物語」のようです。時代背景が「アーサー王」の頃、というのもあって、昔話をワクワクして聞く様な、そんな楽しさもありました。
そして、物語の途中から思い出したのは、あの河合隼雄さんの「メタファー」という言葉です。

この物語は大昔の「困難」や「苦しみ」や「闘い」を語っているけれど、そういう意味では、今も形を変えて、同じように「困難」があり、「苦しみ」があり「闘い」が
ある、と思いました。

そして、一番の衝撃は、ラストシーンでした。
人を信じることって何なんだろう…と。

人間に対する知識や洞察が深まれば深まるほど、経験があればあるほど、人を信じられなくなる。そんな中でどうやって信じ合えばよいのか。

少なくとも、その難しさに苦しんでいるのは、自分ひとりではない、と思わせてくれるお話しでした。

信じることは底なしに難しい。
でも、事実に基づく「怨み」を生きる時には、
揺らぎない強さで生きられるように思える。

その対比を見せられたような気がしました。