読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

安倍官邸とテレビ

「データで示された「NHKニュースの偏向」

最近、筆者の周りで「NHKニュースがあまりに政権寄りなので、見なくなった」との声を聞く。(略)
籾井会長就任以来、政権寄りの報道がなされている実状について、NHKのOBを中心とする「放送を語る会」が地道な実証データによって明らかにした。この結果をまとめた「安保法案 テレビニュースはどう伝えたか 検証・政治権力とテレビメディア」(かもがわ出版、二〇一六年)から参照する。


(略)


「放送を語る会」は、自民党公明党が法案に合意した二〇一五年五月一一日から国会会期末の九月二七までの四か月半の間、NHKと民放の六番組をモニターし、その結果をまとめた。対象となったのは、以下のニュース番組である。


NHK「ニュース7」「ニュースウォッチ9」
日本テレビ「NEWS ZERO]
TBSテレビ「NEWS23」
フジテレビ「みんなのニュース」



(略)



対象となった六番組の全体傾向では、「報道ステーション」と「NEWS23」が、政権を監視するジャーナリズムのスタンスで批判的な報道を展開。フジテレビ「みんなのニュース」は、七月二〇日に安倍首相を単独生出演させ、一時間半を費やして安保法制の必要性を述べさせるなど、政権寄りの姿勢が目立ったと総括している。



また、日本テレビ「NEWS ZERO]は、調査機関前半は安保関連法案の時間量が少なかったが、九月の最終盤では、キャスターが「安保関連法案は対米従属の法律」と指摘したり、しわ寄せが自衛隊員に来ることを独自取材で明らかにするなど、法案への疑問を提示したと評価している。


報道ステーション」については、「憲法凡例百選」の執筆者である憲法学者一九八名を対象に緊急アンケートを実施、回答した一四九名中、「憲法違反」一二七名、「違憲の疑いがある」一九名で、憲法違反の疑いはないと回答したのはわずか三名であったこと(六月一五日放送)などの独自取材を高く評価。


「NEWS23」についても、番組内のシリーズ企画「変わりゆく国×安保法制」を四〇回にわたって放送したことなど、その独自取材を高く評価している。



それに比して、NHKの「ニュース7」「ニュースウォッチ9」は、政権にマイナスになるような出来事や審議内容を極力伝えない傾向があったこと、記者解説が「政府広報」という印象を与えていること、国会審議の伝え方で政府・与党の主張に傾斜していることなどを指摘している。



特に、「報道ステーション」「NEWS23」との比較で、扱わなかった項目を一覧にして提示する(一四五ページの【表7】)など、貴重な資料となっている。(略)」