〇「どアホノミクスの断末魔」「ジャパン・クライシス」「財政破綻後 危機のシナリオ」と、経済に関する本を読みました。
経済的専門用語については、全くわからないのに、読もうと思ったのは、経済がおかしくなれば、日々の生活が破壊されると、わかっているからです。
更には、歴史を見ると、どうも、戦争は、経済危機をきっかけに始まっているような気がして、心配なのです。
読み終わって、先ず思ったのは、私から見ると、この三冊はどれも納得できる内容の本なのに、何故、この本とは180度違っている学説があるのだろう、ということです。
私たちの国にはいつも、「放射能は危険だ」という説と「放射能は危険ではない」という説の二つがあるのです。
「従軍慰安婦問題は捏造だ」という説と、「従軍慰安婦制度は確かに在って、その意味で日本は加害者だ」という、相反する二つの説があるのです。
色々な考え方がある、ということなのでしょうか。でも、私たちは、現在進行形で、森友問題や伊藤詩織さんのレイプ疑惑問題など、明らかな犯罪が、政府の都合によって隠蔽される過程を見ています。
権力者に都合の悪いことは、都合よく捏造したり、嘘をついたりして、平然と誤魔化すのを見せつけられています。
だとしたら、どちらかの「学説」が、政府の都合を優先するための、
嘘である可能性もあるのではないかと、思いました。
現在、MMTという学説があるそうです。
どんなに借金が増えても、自国の通過による借金ならば、なんら問題はない。財政破綻を心配する必要はない、という説のようです。(詳しいことはよくわかりません)
でも、もしそうなら、何故、福島の多くの被害者は、より手厚く保障されないのでしょうか。何故財源がない、と言って貧困で苦しむ子供・人々が放置されているのでしょうか。多くの先進国で行われている、教育の無償化がなされないのでしょうか。
さっぱりわかりません。
そして、これらの本を読みながら、思い出した言葉があります。
山本七平著「日本はなぜ敗れるのか」から引用します。
「敗因 一六 思想的に徹底したものがなかった事
敗因 五 精神的に弱かった(一枚看板の大和魂も戦い不利となるとさっぱり威力なし)
敗因 七 基礎科学の研究をしなかった事
敗因 六 日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化する
以上の四項目は、相互に関連がある。徹底的に考え抜くことをしない思想的不徹底さは精神的な弱さとなり、同時に、思考の基礎を検討せずにあいまいにしておくことになり、その結果、基盤なき妄想があらゆる面で「思想」の如くに振舞う結果にもなった。
それは、さまざまな面で基礎なき空中楼閣を作り出し、その空中楼閣を事実と信ずることは、基礎科学への無関心を招来するという悪循環になった。
そのためその学問は、日本という現実に即して実用化することができず、一見実用化されているように見えるものも、基礎から体系的に積み上げた成果でないため、ちょっとした障害でスクラップと化した。」
〇 財政破綻の可能性が大である時に、あの太平洋戦争の時の大本営発表のように、嘘ばかりを流していたとしたら、被害はますます大きくなります。事実をしっかり見る(基礎科学)ことへの無関心が基盤なき妄想を「思想」のように蔓延らせる。今、まさにそうなっているような気がします。
敗戦から少しも学ばず、同じことを繰り返し、今また「敗れようとしている日本」。
せめて、この先は、この敗北から学んで立ち上がらなければ、ということで、小林慶一郎氏は、この提言をしたのだと思いました。