読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

どアホノミクスの断末魔

「●白い地下経済の二本の支柱

「統合政府部門」のみえない透明性。F級「未来社会」のアヘン効果。多様で柔軟な「労働社会」がもたらす孤立と分断。


これら三つの恐怖の波に呑み込まれていかないためには、どいうするか。何が必要か。本書の「はじめに」で、筆者は善良なる市民による「白い地下経済」の出現に活路をみた。


大日本帝国会社の管理監視網をかいくぐって地下に潜る。現金取引や物々交換や地域通貨などを駆使して、大日本帝国会社化していく「地上経済」から退避する。それとは別の経済的空間を、市民たちの手と知恵で作り出していくというイメージだ。

ただ、下手をすると、これこそF級SFの領域に転落しかねないので、ここは注意を要する。


市民たちによる地下経済構想が、F級SFに成り下がらないための勘所はどこにあるか。ここを押さえることが、三つの恐怖の波から身を守るための原点になると思う。


この原点を構成するキーワードが二つあると思う。それは「シェア(share)と「ケア(care)」である。シェアは分かち合い、ケアは気づかい合いである。これらが、白い地下経済を支える二本の柱だ。この二本柱の力によって、白い地下経済は、大日本帝国会社の不気味な四本柱を打倒することが出来る。


シェアという言葉には、注意を要する。随分以前から、筆者はグローバル時代を生きる人々の合言葉は「シェアからシェアへ」だと言って来た。一つ目のシェアは奪い合いのシェアだ。そして二つ目のシェアが分かち合いのシェアだ。


シェアは、それを「マーケット・シェア」すなわち市場占有率の意味で解釈すると、奪い合いの対象になる。グローバル市場を巡って国々や諸企業がひたすらシェアの争奪戦ばかりを繰り広げていると、グローバル時代はとても生き難い時代になってしまう。


引きこもり男の「我が国ファースト」と拡張主義男の「世界の真ん中で輝く国創り」が衝突して、破壊的な爆発を引き起こすことになりかねない。


簡単越境時代のグローバル時代は、奪い合いのシェアにはなじまない。国境を越えてサプライチェーンが広がり、国境を越えて様々なコラボレーションが生まれ出る。そんな時代は、明らかに分かち合いのシェアの時代だ。このことについて、国境を越えて幅広く認識が共有されることによって、グローバル時代は素敵な共生の時代となり得る。常々、筆者はそう考えて来た。


そして今、改めて重要なことに気がついた。真の分かち合いのシェアが実現するためには、条件がある。それは、そこにケアが息づいているということだ。お互いに気づかい合う者同士の間でこそ、本当に血の通った分かち合いが成立する。


グローバル時代には、多分に便宜的で実を言えば自己中心的な分かち合いのシェアも存在する。企業間の国境を越えた「戦略的連携」などというものには、この便宜的分かち合いの側面が色濃いといえるだろう。情けは人のためならずというヤツだ。少々、よこしまなシェアである。


だが、まぁ、それもいいだろう。日本の戦国時代をみれば、政略結婚も、結構、次第に本当の純愛に発展していったりする。思えば、戦国武将たちの政略結婚戦略は、サバイバルのために、奪い合いのシェアから分かち合いのシェアへとスタンスを変更したケースだといえるだろう。


便宜的な分かち合いも、そこに気づかい合いが芽生えれば、真正の分かち合いに昇華し得る。他方、ケアに裏打ちされていないシェアは、しょせんはご都合主義だ。どこかで、奪い合いに転落してしまう。」


〇地下に潜るしかない…という話に唖然とします。それしかないのか…と。

でも、もしそれが出来るほどの「市民の力」があれば、多分、いつか本ものの民主主義社会も実現できるんだろうな、と思います。