読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

国体論 ー菊と星条旗—

「 3 戦前国体の三段階 ▼ 「戦前の国体」の三つの段階 国体の歴史的軌道を追跡するにあたって示唆を与える議論を展開しているのが、社会学者・大澤真幸の「戦後の思想空間」(一九九八年)である。同書で大澤は、戦前と戦後の並行性を考察しているが、その…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 世界で最もアメリカに有利な地位協定 その最も見やすい例を挙げるならば、日米安保条約に付随する取り決めである日米地位協定の著しい不平等性である。(略) 伊勢崎賢治と布施祐仁は、日米地位協定と、さまざまな国とアメリカの地位協定を比較検討して…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ アジアにおける一番目の子分という地位の喪失 他方、政治においては、九〇年代に盛んに喧伝された「アジアへの着地」は頓挫し、対米従属の必然性が消え去った時代において対米従属が昂進するという逆説的事態が進行して来た。 その間、アジア諸国の国力…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ アメリカを頂点とする「戦後の国体」 しかし、この状態は奇妙ではあっても、日本国民に果実をもたらした。それゆえに、戦後という時代は、「平和と繁栄」という形容を永らく与えられてきたのである。そしていま、そのことのアイロニカルな帰結を、われわ…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 祈りによって「国民の統合」を作り出す かくして、「動く」ことに基いた「祈り」が天皇を「象徴」たらしめる。それでは、その時、天皇は何を「象徴」するのか。 今回強調され、想起せしめられた―そして、憲法上の想定でもある―のは、天皇は「日本国の象…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼戦後民主主義の危機=象徴天皇制の危機 そうしたなかで発せられた今上天皇の「お言葉」の内容として目を引いたのは、「天皇の務め」、とりわけ「象徴としての役割を果たす」ことに対する繰り返しの言及であった。(略) 「お言葉」によって明らかにされた…

国体論 ー菊と星条旗—

「(略) 「▼「お言葉」の文脈—天皇の「闘争」 では、今上天皇にかような切迫した危機感をもたらした文脈は何であったのであろうか。 狭くは、憲法改正へと突き進む安倍政権に対する牽制を指摘できよう。「今上天皇が生前退位(攘位)する意思を固めたらしい…

国体論 ー菊と星条旗—

〇 白井聡著 「国体論 ー菊と星条旗— 」を読んでいます。 まだ読み始めたばかりなので、先ずは読み終えることを目標に読んでいきます。白井氏は「主権者のいない国」という本も書いていて、いつかそれも読んでみたいと思っているのですが、読めるかどうかと…

パンとサーカス

島田雅彦著「パンとサーカス」が朝刊で連載されています。 2020年8月からの連載で今も継続中です。 第一回目がとても印象的でした。メモしておきたいと思います。 抜き書きは「」で、感想は〇で記します。 「三千世界には多様な有象無象が生息し、それ…

カジュアル・ベイカンシー

J・Kローリング著 「カジュアル・ベイカンシー ―突然の空席―」 について少しメモしておきたいと思います。 ハリー・ポッターがあまりにも面白く、すっかりローリングさんに魅せられてしまったので、もっと何か読みたくなって、この本を読みました。 読み終わ…

棒を振る人生

〇 佐渡裕著 「棒を振る人生 ―指揮者は時間を彫刻するー」 を読みました。 学生時代の友人から、本当に久しぶりに手紙が来たのですが、 その中に、この本のことが書かれていました。 コロナ禍で、彼女も以前に読んだ本を読み返していたようです。 それで、私…

ハリー・ポッター

〇 秋ごろから、腰なのか股関節なのか、という感じで、痛みが出て、困っていました。今は、かなり良くなったのですが、一番よくない姿勢が、「座る」姿勢です。 立っていたり、時には走っても、大丈夫。でも、座るとその後、立ち上がれなくなりました。 そん…

天皇の戦争責任(あとがき)

〇 竹田・加藤・橋爪氏による「天皇の戦争責任」のまえがきは、竹田氏によって 書かれていました。あとがきは、加藤氏と橋爪氏によって書かれています。 私にとって、加藤氏の言説は、分かり難いものが多く、少し苛立たしい気持ちになることも、ありました。…

天皇の戦争責任(第三部  敗戦の思想)

「脱・天皇論 竹田 最後に、なぜ革新、保守という枠組みでの戦争論、天皇論はもはや無効なのか、その先どういう所へ出ていけるのかということを、できるだけポイントをしぼって言ってもらえませんか。 加藤 昭和天皇の責任が、左翼的に追及しようというのと…

天皇の戦争責任(第三部  敗戦の思想)

「敗戦後論 橋爪 靖国の話なんですが。 加藤 はい、どうぞ。 橋爪 二千万の他国の死者と、三百万の死者の後先のポイントを、まずちょっと言ってくださいませんか。 加藤 僕は、三百万の自国の死者と二千万の他国の死者という日本国内における二様の死者の分…

天皇の戦争責任(第三部  敗戦の思想)

「(つづき) 加藤 なるほど、少し橋爪さんの言いたいことが分かった気がする。もっともっと天皇以外の問題点を戦前の日本について本気で考えようよ、天皇に責任があると言っているあいだは、本気で機構の問題とか、制度の問題とかの検討は着手されないです…

天皇の戦争責任(第三部  敗戦の思想)

「民主主義と象徴天皇 (つづき) 橋爪 それについては最近、毎日新聞にもちょっと書いたんですが、そこで書かなかったことを少し言って見ます。 笑い話のような話なんですが、日本は日の丸を国旗とした方がいいかどうか。 「日の丸は、侵略戦争のときに日本…

天皇の戦争責任(第三部  敗戦の思想)

〇 一か月ほど前から、長く座っていると腰に痛みが出るという状態が続いていました。ネットで色々調べ、素人診断をしたのですが、多分股関節の「老化」ではないかと思います。 短時間ずつまたやっていきたいと思います。 「民主主義と象徴天皇 (つづき) 竹…

天皇の戦争責任(第三部  敗戦の思想)

「民主主義と象徴天皇 竹田 「断固正しい」とか「責任がない」とかいう言葉のうえでの違いはあるとして、お二人の考えの内実はかなりはっきりしてきたように思います。ひとつ言うと、「天皇の戦争責任」と「戦争の死者の考え方」ではっきり対立があるが、そ…

天皇の戦争責任(第三部  敗戦の思想)

〇 この「天皇の戦争責任」は、第一部 戦争責任、 第二部 昭和天皇の実像、 第三部 敗戦の思想と三部からなっていて、やっとここまで来ました。 最初は多分、最後までは読めないだろう、と思っていました。とても厚い本だし、 内容が私には難し過ぎる。 特に…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「人間天皇 加藤 なぜ僕が昭和天皇の評価を過不足なく行なうことが大事だと考えるか、その理由は次のようなものです。 僕は、天皇のことを考えるには、やはり現憲法の規定が媒介になる、そのことを考えた方がいい、というように思っています。(略) これが…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「退位 竹田 終戦後、天皇が退位せずにとどまったことについて、橋爪さんはどう考えますか? 橋爪 退位すべきだったという議論がいろいろあります。しかし私の考えでは、退位しないのは正しかった。天皇がそれを選択しなかった理由、退位を考えなかった理由…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「終戦 橋爪 じゃあ、終戦の問題にうつりましょう。 終戦の際、天皇が混乱した政府や軍の首脳たちに対して適切なリーダーシップを発揮し、日本を無条件降伏に導いたこと、そして本土決戦→一億玉砕という最悪のシナリオを回避し、日本軍の武装解除を成功させ…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「開戦 竹田 では、次の「太平洋戦争開戦時の天皇の行動」について、まず橋爪さんから話してください。 橋爪 開戦に至る経緯は、たいへん複雑なのですけれども、まず言えることは、誰かの一貫した方針や考え方によって準備されたものと言うよりも、その場そ…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「日華事変・ノモンハン事件 (略) 加藤 (略) まず、推移を簡単に述べておきます。きっかけは一九三七年七月七日の盧溝橋事件です。この夜、北京の郊外盧溝橋のほとりで夜間演習をしていた支那駐屯軍の一中隊長が、不意に中国軍の方向から飛んでくる十数…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「二・二六事件 橋爪 次に、二・二六事件です。これは数ある事件のなかで最大のもので、ほとんど成功寸前のところまでいったクーデター事件です。(略) いわゆる天皇の直接親政をめざす、皇道的な観念を持つ軍人が増えてきたのも、こういう変化と軌を一にす…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「満州事変 加藤 少し抗弁をすると、僕には天皇にまつわる組織、法制がやはり恣意的というか、近代的なものと非近代的なもののアマルガム(amalgam 合金)になっているという判断がある。それが、僕の天皇への行為への評価に影響していると思う。(略) 橋爪…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「張作霖爆殺事件 橋爪 それでは二番目の「張作霖爆殺事件の際の対応」に移りたいと思います。 張作霖事件は一九二八(昭和三)年六月四日に起こりました。(略) その結果、どうなったかと言うと、張作霖の軍閥は息子の張学良によって継承された。張学良は…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「私的領域 橋爪 それでは次に、先に述べた六つのポイントのうち、一番目の「家庭に関する行動」について、できるだけ簡単に説明してみます。(略) 「お局制」とはどういうものかというと、独身の女性が局というかたちで天皇の日常生活に奉仕し、ずっと宮中…

天皇の戦争責任(第二部  昭和天皇の実像)

「背景 竹田 第一部では、いま戦争責任を論じることにどういう意味があるのか、これをどんなかたちで考えれば、いまの時代や状況にきちんとはまるかたちになるのか、ということを中心に話を進めてきました。ここからはできるだけ具体的に歴史的事実にふみこ…