読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

百人斬り 私の理解

〇歴史については、しっかり調べたことがないのと、 考える力に自信が無いのとで、自分の意見をいうのは、少し憚られます。 でも、この「百人斬り」について読み、それが嘘だと言われているのを知り、 私なりの感想を述べてみます。 ここで、山本氏が言って…

私の中の日本軍 上 (「親孝行したい」兵隊たち)

「彼にしてみれば、いろいろな感慨があったであろう。というのは、向井少尉の「上申書」と「遺書」で見る限り、この「百人斬り競争」に関する談合はまず浅海特派員と向井少尉の間で行われ、その談合が終わった後か途中かで、 野田少尉が、向井少尉の相手役も…

私の中の日本軍 上 (不安が生み出す「和気あいあい」)

「<自分は一体、何のために殺されるのか解らなくなってきた。生来誰一人手をかけたこともないのに、殺人罪とは。自分を殺す奴こそ殺人罪ではないのか。余りにも呑気に南京迄も来たものだ。 馬鹿さかげんにあきれる。信じてゐたのが悪かったがこれも馬鹿のい…

私の中の日本軍 上 (すべてを物語る白い遺髪)

「グレゴリー・ザムザが虫に変身させられたと同じように、ある時突然「野田副官」は「野田小隊長」に変身させられる。そしてひとたび変身させられると、あらゆる抵抗はもう無駄なのである。 彼が内心いくら「オレは副官だ、オレは副官だ」と叫び続けても、す…

私の中の日本軍 上 (煽動記事と専門家の義務)

「日本軍はタテ社会だと言われるが、このタテ社会の中の最も完全なタテ社会、いわばタテ社会の精髄ともいうべきものが日本軍であった。」 「よく「軍人というのは階級が上の人の命令なら、何でもきかなきゃいけないんでしょ」などと言われるが、これも同じ種…

私の中の日本軍 上 (軍人より軍人的な民間人)

「従ってこの「百人斬り」を解明するには、まず幹部候補生制度、および幹部候補生出身将校というものを解明しなければならない。 前に、将校には、士官学校出、将校、特進、幹候の四系統があったと書いたが、この幹候といわれた一群の下級将校、そして数にお…

私の中の日本軍 上 (戦場の「定め」と「常識」)

「戦後、「中野学校」も大分、伝説化されたが、小野田少尉ははっきり本名を名乗っているのだから、いわゆる「諜報」とは関係あるまい。 戦局が悪化してから、諜報関係者も現地で招集されて各部隊に配属されたり、また偶然に知り合ったりして、二名ほど知って…

私の中の日本軍 上 (ジャングルという生き地獄)

「横井さんのニュースを耳にしたとき、私は思わず「何かの間違いだろう」と呟いた。ジャングルで二十八年も生き続けることは、自分の経験に照らして、あり得ないことと思われるからである。 だがやがてそれが、ジャングルでなく竹林だと聞いて「なるほど、竹…

私の中の日本軍 上 (「トッツキ」と「イロケ」の世界)

「このことは大きく見れば戦後有名になったインパール作戦における牟田口司令官と小畑参謀長の対立にも関係する。輜重出身で補給の権威といわれた小畑参謀長はあくまでインパール作戦に反対する。 これに対して牟田口司令官は小畑参謀長を罷免しても作戦を強…

私の中の日本軍 上 (戦場のほら・デマを生みだすもの)

「「週刊新潮」の結論は、戦場に横行するさまざまのほらを浅海特派員が事実として収録したのであろうと推定し、従って、ほらを吹いた二少尉も、気の毒だが、一半の責任があったのではないか、としているように思う。非常に常識的な考え方と思うが、果たして…

私の中の日本軍 上 (残飯司令と増飼将校)

「二・二六などのルポや小説に登場するいわゆる青年将校は、戦前戦後を通じて、一つの型にはまった虚像が確固として出来上がっている。彼らはまるで「カスミを食って悲憤慷慨し」「全く無報酬で、金銭のことなど念頭になく」「ただただ国を憂えていた」かの…

私の中の日本軍 上 (ロッド空港事件と内務班)

〇山本七平著 「私の中の日本軍 上」を読んでいます。 前に少し書いたのですが、いわゆる軍人の精神構造の中には、私自身の中にも同じものがある、と思えるものがあって、そこをもう少し考えてみたいと思います。 引用文は「」で、感想は〇で記入します。 「…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「彼女には私たちの間に起ころうとしていることと、彼女と彼女の母親との間に起こったこととをはっきりと分けて考えられないのだった。 このことについて私たちは何度も何度も、以前に彼女が繰り返し話すことを必要とした時より以上に繰り返して細かく話し合…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私は彼女の前に座ると、クッションを背中にあてがってもたれかかった。初めてのことだったが、彼女の傷を癒すために抱きしめたい、という気にはならなかった。 私がそうできないような威厳が、マントのように彼女を包み込んでいたのだ。そのとき、私たちは…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「次の学年にはこの教室はもうないのよ」私はても小さな声でいったので、ほとんど聞き取れないくらいだった。だが、シーラは両手の隙間からこの言葉をしっかりと聞き取った。 波が引いたように顔の表情が変わり、シーラは両手を降ろした。怒りの表情が消え去…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私はこのクラスが解散になることをまだ子供たちに話していなかった。子供たちの何人かは、次の学年から自分たちがいまよりも制約の少ないクラスに移ることを知っていた。」 「セーラのことをどいうするかはまだ決めかねていた。彼女はいまの教室ではうまく…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「「でも、あたしにはわかんないよ。あたし、ジェリーおじちゃんが好きだった。一緒に遊んでくれたし。それなのになんでおじちゃんはあたしを傷つけたいと思ったの?」 「ほんとうにわからないわ。ときどき人は自分を抑えることが出来なくなるものなのよ。私…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「止めようと思う間もなく涙があふれてきて、私の頬を滑り落ちた。なんでベビーベッドになんか寝かされているの、ということしか考えられなかった。シーラは小さな子のわりにはとても自尊心の強い子だ。こんなところに寝かされて屈辱を感じているに違いない…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「吹雪と共に四月がやってきた。この冬のもどりをみんな嘆いていたが、ふわふわした真っ白な雪が深く積もった景色は、見ていてとても美しかった。しかし、この豪雪の為に交通が遮断され、学校も二日間休校になった。 学校が再開された日、シーラは朝の話し合…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「ぼくがどうこうできることじゃないんだよ。あの幼児を火傷させた事件のあと、州はあの子を施設収容する決定をしたんだ。被害者の男の子の両親の気持ちを考えたら、そうする以外他に方法がなかったんだよ」 「エド、そんなばかな事ってある?あの子は六歳な…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「冬の厳しさにもかかわらず、スイセンの花のようにシーラは花開いていった。日ごとに彼女はどんどん進歩していった。彼女のかかえる状況が許す範囲内ではあるが、シーラはいまではいつも清潔だった。 毎朝はずむようにやってくると、顔を洗い歯をみがいた。…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私と子どもたちとの間でいい合いになって、どちらか一人、あるいは両方ともが怒ってしまったときなど、子どもは日記がその気持ちのはけ口になることを覚えて行った。 そんなわけで、子どもたちはほとんど毎日日記を書き綴っていた。」 「それでも私が二枚…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「「トリイ」 「なあに?」 「あたしからぜったい離れて行かない?」 私は彼女の前髪を撫であげた。「そうね、いつかはそういう日がくるわね。学年が終わって、あなたが別のクラスに移り、別の先生に習うようになるときには。でもそれまでは離れないわ。それ…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「シーラと私が二人っきりになる放課後の二時間の間に、私は本の読み聞かせを始めた。シーラはほとんどの本を一人できちんと読めたが、特別に彼女と親しくする時間を持ちたかったし、私の好きな本を彼女と一緒に読みたいと思ったからだった。 本の中に出てく…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私が望んでいた通り、シーラの子どもらしい無邪気さ、身体が小柄なこと、生まれついての美しさすべてがあいまってミセス・ホームズの中の母性愛を引きだしたのか、彼女は喜んで、シーラがなんとか償いをしたいという気持ちを受け入れてくれた。」 「深入り…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「シーラはなぜ自分がここにいるのかを知っていた。二日目からずっと、彼女は私たちのことを愛情をこめて”頭のおかしなクラス”といい続けていた。 そして自分は悪いことをした頭のおかしな子供なのだった。(略) 私の方からもその話題に触れることはしなか…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私のクラスのある程度理解力のある子供のほとんどは、なぜ自分がこのクラスにいるのか、多少ともその理由に気づいていた。私たちはその理由についてよく話した。」 「ほとんどの子供たちがこうしたことをどうしても話さなければならないと思っているようだ…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

〇昨日読み終わりました。途中から涙ばかり出ました。 あぁ、人間の質が私とは完全に違う、と思いました。 メモはもう少し続けようと思っています。 「「(略)これを見て。あなたのために服をみつけてきたのよ。これを着たら、ウィットニーが午後来たときに…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「毎日一日の最後には、帰りの会というのをすることにしていた。これは朝の話題と同じように、私たちを結び付け、お別れの時間に備えるということを目的にして作られていた。 その活動の一つに「コ―ボルトの箱」というのがあった。」 「コーボルトは勉強中の…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私はその日の予定を彼女に説明し、昨日と同じようにみんながやることにはすべて仲間入りしてもらうこと、そして算数の時間には算数の問題を少しやってもらうといった。 それから水曜日の午後にはいつも料理をすることになっているので、彼女にもチョコレー…