読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2019-01-01から1年間の記事一覧

ホモ・デウス(下)(第7章 人間至上主義革命)

「これこそ、神は死んだと言った時にニーチェの頭にあったことだ。少なくとも西洋では、神は抽象概念になり、それを受け容れる人もいれば退ける非tもいるが、どちらにしてもあまり変わりはない。 中世には、神がいなければ、人は政治的権威の源泉も道徳的権…

ホモ・デウス(下)(第7章 人間至上主義革命)

「倫理と政治に言えることは、美学にも当てはまる。中世には、芸術は客観的な基準に支配されていた。美の基準は、人間の間の一時的流行を反映することはなかった。むしろ、人間の美的感覚は、超人間的な指図に従うものとされていた。それは、芸術は人間の感…

ホモ・デウス(下)(第7章 人間至上主義革命)

「たしかにセラピストの本棚はフロイトやユングの著作、一〇〇〇ページ近い「精神疾患の診断・統計マニュアル」(GSM)の重みでたわんでいるだろう。とはいえそれらは聖典ではない。(略)したがって、セラピストが患者の情事についてどう思っていようと、ま…

ホモ・デウス(下)(第7章 人間至上主義革命)

〇 この本を読んで一番印象深かったのが、この「人間至上主義革命」という項目です。ここは、あまり省略せずに、メモしておきたいと思います。 「現代の取り決めは私たちに力を提供してくれるが、それには私たちが人生に意味を与えてくれる宇宙の構想の存在…

ホモ・デウス(下)(第6章 現代の契約)

「方舟シンドローム とはいえ、経済は本当に永遠に成長し続けられるのだろうか?いずれ資源を使い果たし、勢いが衰えて停止するのではないか?永続的な成長を確保するためには、資源の無尽蔵な宝庫をなんとかして発見しなければならない。(略) ウサギの経…

ホモ・デウス(下)(第6章 現代の契約)

「銀行家はなぜチスイコウモリと違うのか? (略)今日では誰もが成長で頭が一杯なのに対して、近代以前の人々は、成鳥など眼中になかった。君主も聖職者も農民も、人間による生産は概ね一定しており、他人から何かくすねない限り豊かになれず、子孫が自分た…

ホモ・デウス(下) ― テクノロジーとサピエンスの未来

〇 ユヴァル・ノア・ハラリ著「ホモ・デウス(下)」を読み始めました。 「サピエンス全史」を読んだ時と同様、図書館に予約し、自分の順番が来て、借りられたのが、下巻からなのです。 本当は、上巻から読みたいのですが、かなりの期間待って、やっと借りら…

武士道

「第十四章 婦人の教育および地位 人類の一半を成す女性は往々矛盾の典型と呼ばれる。けだし女性の心の直感的な働きは男性の「算数的な悟性」の理解を超ゆるが故である。「神秘的」もしくは「不可知的」を意味する感じの「妙」は、「若い」という意味の「少…

武士道

「第十三章 刀・武士の魂 武士道は刀をその力と勇気の表徴となした。マホメットが「剣は天国と地獄との鍵である」と宣言した時、彼は日本人の感情を反響したに過ぎない。武士の少年は幼年の時からこれを弄んでいた玩具の小刀の代りに真物の刀を腰に挿すこと…

武士道

「第十二章 自殺および復仇の制度 この二つの制度(前者は腹切、後者は敵討として知られている)については、多くの外国著者が多少詳細に論じている。 まず自殺について述べるが、私は私の考察をば切腹もしくは割腹、俗にはらきりとして知られているものに限…

武士道

「第十一章 克己 一方において勇の鍛錬は呟かずして忍耐することを銘記せしめ、他方において礼の教訓は我々自身の悲哀もしくは苦痛を露すことにより他人の快楽もしくは安静を害せざるよう要求する。この両者が相合してストイック的心性を産み、遂に外見的ス…

武士道

「第十章 武士の教育および訓練 武士の教育において守るべき第一の点は品性を建つるにあり、思慮、知識、弁論等知的才能は重んぜられなかった。美的のたしなみが武士の教育上重要なる役割を占めたことは、前に述べた。それは教養ある人に不可欠ではあったが…

武士道

「第九章 忠義 封建道徳中他の諸徳は他の倫理体系もしくは他の階級の人々と共通するが、この徳―目上の者に対する服従および忠誠―は截然としてその特色をなしている。人格的忠誠はあらゆる種類および境遇の人々の間に存在する道徳的結びつきであることを、私…

武士道

「第八章 名誉 名誉の感覚は人格の尊厳ならびに価値の明白なる自覚を含む。したがってかの生まれながらにして自己の身分に伴う義務と特権とを重んずるを知り、かつその教育を受けたる武士を、特色づけずしては措かなかった。(略) これら三つの語はそれぞれ…

武士道

「第七章 誠 信実と誠実となくしては、礼儀は茶番であり芝居である。伊達政宗曰く、「礼に過ぐれば諂いとなる」と。「心だに誠の道にかないなば、祈らずとても神や守らん」と誡めし昔の歌人は、ポロニウスを凌駕する。孔子は「中庸」において誠を崇び、これ…

武士道

「第六章 礼 作法の慇懃鄭重は日本人の著しき特性として、外人観光者の注意を惹くところである。もし単に良き趣味を害うことを怖れてなされるに過ぎざる時は、礼儀は貧弱なる徳である。真の礼はこれに反し、他人の感情に対する同情的思いやりの外に現れたる…

武士道

「第五章 仁・惻隠の心 愛、寛容、愛情、同情、憐憫は古来最高の徳として、すなわち人の霊魂の属性中最も高きものとして認められた。それは二様の意味において王者の徳と考えられた。すなわち高貴なる精神に伴う多くの属性中王位を占むるものとして王者的で…

武士道

「第四章 勇・敢為堅忍の精神 勇気は、義の為に行われるのでなければ、徳の中に数えられるにほとんど値しない。孔子は「論語」において、その常用の論法に従い消極的に勇の定義を下して、「義を見てなさざるは勇なきなり」と説いた。この格言を積極的に言い…

武士道

「第三章 義 義は武士の掟中最も厳格なる教訓である。武士にとりて卑劣なる行動、曲りたる振る舞いほど忌むべきものはない。義の観念は誤謬であるかも知れない―狭隘であるかも知れない。ある著名の武士[林子平]はこれを定義して決断力となした、曰く、「義…

武士道

「第二章 武士道の淵源 まず仏教から始めよう。運命に任すという平静なる感覚、不可避に対する静かなる服従、災禍に直面してのストイック的なる沈着、生を賤しみ死を親しむ心、仏教は武士道に対してこれらを寄与した。 ある剣道の達人[柳生但馬の守]がその…

武士道

新渡戸稲造著 「武士道」を読みました。 矢内原忠雄訳の岩波文庫です。 サブタイトルとして、日本の魂 ―日本思想の解明― とあります。 「過去を敬うことならびに 武士の徳行を慕うことを 私に教えたる 我が愛する叔父 太田時敏に この小著を ささぐ」 となっ…

朽助のいる谷間

〇 井伏鱒二著 「朽助のいる谷間」を読みました。 井伏鱒二は、今回初めて読みました。 名前はもちろん知っていたのですが、有名な「山椒魚」も読んだことがありませんでした。 井伏鱒二の名前を知ったのは、太宰治に関連する文章を読んで、だったと思います…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「真の愛国主義が試されるとき 本書の結びにあたって、私はふたたび歴史に立ち戻ってみようと思う。そうすることで見えて来るものがあるはずだ。日本の政治に深い関心を寄せるひとりで、偉大な歴史家であるE・H・ノーマンは、「日本の封建後期のすさまじい抑…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「有害なるものぐさの克服 日本の市民たちが、社会に蔓延するものぐさという弊害を克服しなければならないことは明らかだと思う。これを読んだ読者はすぐに、私がこの第三部の執筆をはじめたときに感じたと同じような絶望感にかられるかもしれない。 結局の…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第三章 日本民主主義の可能性 (略) 日本の民主主義も後退の一途をたどっていると考える人もなかにはいる。だが日本の民主主義をアメリカやヨーロッパと比較するにつけ、そうではないと私は強く思うようになった。大西洋の両岸では、民主主義を支えて来た…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「自動操縦状態に戻る日本 いまこの困難な時期に、日本はまたしても自動操縦状態へと舞い戻ろうとしている。それは飛行を続ける空域にどんな大きな変化が起きようと、まったく心配しない飛行機のようなものだ。財務省があくまで消費税増税にこだわり続けたの…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「アメリカの庇護を取り除く アメリカが日本を保護するという、かつての偏った関係が日本にメリットをもたらすという時代は終わった。すべての読者はこのことをしっかりと心に留めておいてほしい。いまなおアメリカが日本を保護しているとみなすことはばかげ…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第二章 不確かな日本の新時代 本書ではたびたび二〇一一年三月一一日の大震災に言及し、これが日本にとって未知の状況をもたらす歴史の節目だと述べて来た。そしてそのような状況に直面して、日本の現職の官僚も、そしてもっと幅広い政治エリート全般も、…

少し感想

〇 「なぜ議論をしないのか」「なぜ政治に拘るのは良くないことだと考えるのか」「なぜ公的領域(市民たちが互いに意見を言い合う場)がないのか」この類の問いを聞くたびに、私は徳川政権の「弾圧」のせいだけではない、それ以前の私たち日本人の気質的なも…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「「調和」から抜け出せない日本人 大勢の人々が体制を変えたがっているのに、それがほとんどなんの変化もなく続いているのはなぜかという疑問に対する答えはいくつかある。その中でも重要な意味を持つのは、政党が国民の不満を政策に反映させるという役目を…