読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

国体論 ー菊と星条旗—

「4 征夷するアメリカ ▼征夷大将軍マッカーサーという物語 かくて、敗戦と混乱、被占領という危機を乗り越えて、初期戦後レジームの骨格、すなわち、日米安保条約を基礎とする微温的な反共主義体制が結果的に成立するが、そこから遡及的に見れば、マッカーサ…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼「新しい国体」と新憲法制定 この統治構造は、新憲法(日本国憲法)の制定過程にもよく表れている。 (略) 言い換えれば、国体の頂点を占めるGHQ(=連合国、実質的にアメリカであり、より実質的にはマッカーサー)が、天皇を通じて主権を行使する、とい…

パンとサーカス

〇 「国体論」の中で、天皇制民主主義によって、アメリカは、 日本人を上手く統治してきたという説明を聞くと、なるほど、と思います。 また、新聞小説の「パンとサーカス」では、具体的な物語として、現代にまで続くアメリカの「支配」を描いています。 五…

国体論 ー菊と星条旗—

「3国体のフルモデルチェンジ ▼「八月革命」の真相 ― 天皇からGHQへの主権の移動 それでもこの間、日本国の許に主権がなかったからといって、主権そのものが蒸発していたわけではない。いやしくも、何がしかの決定が実効的になされうる政治秩序が存在するの…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼不可視化され、否認された「主権の制限」 かつ、この問題は、占領が終わることによって自動的に解消されたものでもない。 サンフランシスコ講和条約の発効による占領の終結は、バーンズ回答に言う、「最終的ノ日本国政治ノ形態」が「日本国民ノ自由ニ表明…

国体論 ー菊と星条旗—

「第五章 国外護持の政治神学 (戦後レジーム:形成期②) 1ポツダム宣言受諾と国体護持 ▼「国体護持」の実相 ポツダム宣言受諾の際、日本側が付けようとした唯一の降伏条件として「国体護持」が問題となったことはよく知られている。 (略) この過程が意味…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼なぜ日本人はこの神話を手放さないのか (略) それは、この神話を信じたい動機が戦後の日本人にあるからだろう。その動機とは、自分たちの戴く君主が高潔な人格の持ち主であってほしいという願望だけではない。天皇の高潔さにマッカーサーが感動し、天皇…

国体論 ー菊と星条旗—

「第四章 菊と星条旗の結合 ―「戦後の国体」の起源 (戦後レジーム:形成期①) 1「理解と敬愛」の神話 ▼「戦後の国体」の起源 ― 昭和天皇・マッカーサー会見 (略) 戦前と戦後、このふたつの「国体」がどのように違い、何が継続しているのかを見るには、そ…

国体論 ー菊と星条旗—

「3 明治の終焉 ▼「坂の上の雲」の先の光景 立憲政体としての体裁をとにもかくにも整えた大日本帝国は、日清・日露戦争の勝利によって本格的な帝国主義国家の地位を獲得するに至る。一九一一年には、幕末以来の悲願であった不平等条約の改正も完了する。(…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 明治憲法の二面性 ― 天皇は神聖皇帝か、立憲君主か (略) 明治憲法の最大の問題は、それが孕んだ二面性であった。すなわち、この憲法による天皇の位置づけは、絶対的権力を握る神聖皇帝的なものであったのか、立憲君主制的なそれであったのか、という問…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 憲法制定権力としての自由民権運動 かくして、物理的暴力によって新政府に対抗する途を閉ざされた抵抗勢力は、言論闘争を軸とした闘争(自由民権運動)へと転換を余儀なくされる。(略) 言論闘争の場が公式に与えられることが予定されているにもかかわ…

国体論 ー菊と星条旗—

「第三章 近代国家の建設と国体の誕生 1 明治維新と国体の形成 ▼ 若き北一輝の嘆き 本章では、「戦前の国体」が形成された時期、すなわち「戦前レジーム」の確立過程にスポットをあてる。具体的には、明治維新(一八六八年)に始まり、大日本帝国憲法の制定…

国体論 ー菊と星条旗—

「(略) ▼ 「理想の時代」「虚構の時代」「不可能性の時代」 右に述べてきた歴史の三段階における各時代の簡潔な特徴づけは、次のように可能である。 先に言及した大澤真幸は、見田宗介が一九九〇年に提示した戦後の時代区分(「理想の時代:一九四五~六〇…

国体論 ー菊と星条旗—

「 3 戦前国体の三段階 ▼ 「戦前の国体」の三つの段階 国体の歴史的軌道を追跡するにあたって示唆を与える議論を展開しているのが、社会学者・大澤真幸の「戦後の思想空間」(一九九八年)である。同書で大澤は、戦前と戦後の並行性を考察しているが、その…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 世界で最もアメリカに有利な地位協定 その最も見やすい例を挙げるならば、日米安保条約に付随する取り決めである日米地位協定の著しい不平等性である。(略) 伊勢崎賢治と布施祐仁は、日米地位協定と、さまざまな国とアメリカの地位協定を比較検討して…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ アジアにおける一番目の子分という地位の喪失 他方、政治においては、九〇年代に盛んに喧伝された「アジアへの着地」は頓挫し、対米従属の必然性が消え去った時代において対米従属が昂進するという逆説的事態が進行して来た。 その間、アジア諸国の国力…