読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

私の中の日本軍 下 (精神的里心と感覚的里心)

〇 山本七平著「私の中の日本軍 下」を読み始めました。 こちら(私の中の日本軍 上)の続きです。 先日、やっとNHK[100分 de 名著」山岡昇平の「野火」を見ました。 (野火という本は読んでいません。山岡昇平の他の本も読んでいません。) かなり以前に…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「4 「新しい傷」はいかに癒されるか さて、第1章の冒頭では小説を紹介しましたので、ここでも別の小説を紹介して本書を締めくくりたいと思います。 アメリカの作家でエイミー・ベンダーという人がいます。(略)管啓次郎さんが訳している短編集「燃えるス…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「3 人は運命を変えられるか <物語としての歴史> (略)こうした展開は、必然的に歴史の問題へとわれわれの考察を導いていきます。歴史こそ物語の中の物語だからです。(略) ですから、人は、まさに歴史という物語の中で、「私は何ものか」を規定されま…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「<普遍主義のアンチノミー再考> こう考えると、いろいろな問題を解く手がかりが出てきます。まず、前章で、普遍主義のアンチノミ―と呼んだ問題を、考え直すことができます。こういう問題でした。 別の共同体で、我々から見て、とてつもない虐待や人権侵害…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「2 何が普遍的連帯を可能にするのか <中村哲さんとアフガニスタン人との相互感応> (略)中村さんたちのことを知るにつけて、僕がとても不思議に思うことがあります。中村さんはアフガニスタンのために人生をかけている。でも、彼は一体アフガニスタンの…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

〇大昔も人々は様々な階層に分断されていました。身分差であったり、性差であったり、人種の差であったり、様々な差別は今よりも大きかった。でも、物語は成り立っていた。 資本主義によって、人々が分断され依って立つイデオロギーが違ってしまったので、物…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「4.分断される労働者階級 <シンボリック・アナリストと周辺労働者> 以上を熱湯に置いた時、現代の資本主義の下ではどんなことが起きるか、ということを説明しておきます。(略) 結論的に言えば、シンボリック・アナリストというのは、一般的知性の私的…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

〇 家族に病人が出て、あたふた忙しく心配し、その後自分も体調を崩し、 しばらく「難しいこと」を考えるのが嫌になっていました(>_<)。 若い頃の私は情緒不安定ですぐ投げやりになり、やけっぱちになってなんでもすぐに投げ出す続かない人でした。 最近はそ…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「<反転する物神化> それゆえ、コミュニタリアンが資本主義を視野に入れていなかったとすれば、リベラリズムは、逆に、資本主義に内属しており、それに規定されているのです。(略) でも、現代ではこの逆でしょう。労働者の内的な経験や人格的な関係が、…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「<抑圧されたものの回帰> マルクス主義は、自由で平等な商品交換の形をとった資本と賃労働の間の関係には、実は搾取が隠れている、というわけです。マルクス主義者が、「商品の物神化」とか「疎外」とかいった概念で問題にしたことは、このことに関係して…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「2 二種類の物神化 <資本主義の枠内にあるリベラリズム> 今皆さんに提出した問題への僕なりの解答は、最後の章で出しますから、一旦わきに置いて、もう少しリベラリズムというものに拘っておきます。さきにアウトラインを言っておきましょう。(略) 要…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「第4章 普遍的「正義」への渇望 リベラリズム再検討 1 イエスの奇妙な喩え話 <問題提起_イエスのリベラリズム?> 次の話を進める前に、ここまでの議論の流れを簡単に復讐しておきます。まず第1章では、主として「八日目の蝉」という小説を読み解きな…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「4 エリート主義と民主主義_代表制のパラドクス <文革のアイロニー> 以上の考察は、資本主義と民主主義_とりわけ代表制民主主義_との関係という主題へと、われわれを自然と導くことになります。 ここまで<資本>というシステムは、自分の主体性を他…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「3 絶対王権をめぐる謎_市民社会のパラドクス <資本主義の揺籃期>(略) <絶対王権をめぐる疑問> さて、そこで僕は疑問に思ったわけです。絶対主義王権の次に革命が起こり、王権が倒れたら市民社会になりました_という筋書きをわれわれは当たり前の…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「第3章 資本/国家/民主主義 物語はなぜ崩壊するのか <コミュニタリアンの盲点> さて、ここまでくると、いよいよ問題の所在が見えてきたわけです。どういうことかと言うと、コミュニタリアンは理論的なベースをアリストテレスから借りてきている。そのア…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「1 功利主義_「最大多数」か「最大幸福」か <幸福の足し算> つまり、正義に適った社会、道徳的に望ましい社会というのは、できるだけ大勢の社会のメンバーが、できるだけ大きな幸せや快楽を実現できる社会ではないだろうか。われわれは普通そう思います…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「第2章 正義の諸理論 サンデルからアリストテレスまで遡る <制度にとっての究極の徳> 学問にとっての究極の価値が真理であるとすれば、それと同じような意味で、制度あるいは社会構想にとっての究極の徳は何か? それは、正義であるということです。これ…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「2 新しい傷 <リスク社会> そのリスクについての理論を踏まえ、ある特定のタイプのリスクのことを「新しい傷」とマラブーは言っています。(略) 「新しい傷」になってしまうリスクというのは、「解釈学的内面化(hermeneutic internalization)」ができ…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「<物語なき現代社会> こういう人生_すなわち、何のためにあるのかわからない人生、むだな時間のように感じられてしまう人生、有意義な結果に向かっていく過程とはどうしても思えないむだな時間としての人生のことを、僕は「物語化できない人生」「物語に…

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

〇 大澤真幸著 「正義」を考える 生きづらさと向き合う社会学 を読みました。 読んでいる間は一生懸命に考えて、話について行こうと頑張り、それなりにちゃんと読んだのですが、読み終わって今思うのは、私の頭には難しすぎる本だった、ということです。 そ…

旧約聖書 伝道の書(コヘレトの言葉)

「第十二章 あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、「わたしにはなんの楽しみもない」と言うようにならない前に、また日や光や、月や星の暗くならない前に、雨の後にまた雲が帰らないうちに、そのようにせよ。 その日に…

旧約聖書 伝道の書(コヘレトの言葉)

「第九章 わたしはこのすべての事に心を用いて、このすべての事を明らかにしようとした。すなわち正しい者と賢い者、および彼らのわざが、神の手にあることを明らかにしようとした。愛するか憎むかは人にはわからない。彼らの前にあるすべてのことは空である…

旧約聖書 伝道の書(コヘレトの言葉)

「第八章 だれが知者のようになり得よう。 だれが事の意義を知り得よう。 人の知恵はその人の顔を輝かせ、 またその粗暴な顔を変える。 王の命令を守れ。すでに神をさして誓ったことゆえ、驚くな。ことが悪い時は、王の前を去れ、ためらうな。彼はすべてその…

旧約聖書 伝道の書(コヘレトの言葉)

「第四章 わたしはまた、日の下に行われるすべてのしえたげを見た。見よ、しえたげられる者の涙を。彼らを慰める者はない。しえたげる者の手には権力がある。しかし彼らを慰める者はいない。それで、わたしはなお生きている生存者よりも、すでに死んだ死者を…

旧約聖書 伝道の書(コヘレトの言葉)

「第三章 天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。 生まるるに時があり、死ぬるに時があり、 植えるに時があり、植えたものを抜くに時があり、 殺すに時があり、いやすに時があり、 こわすに時があり、建てるに時があり、 泣くに時が…

旧約聖書 伝道の書(コヘレトの言葉)

〇 青春期、自己流に聖書をかじり始めた時、最初に心に残ったのが、 この「伝道の書」でした。聖書と言えば、「善いことが書いてる本」と漠然と思っていた私は、こんなにも悲観的な言葉が並んでいるのに圧倒されました。 そして、その頃の自分の気持ちに近い…

ふしぎなキリスト教 あとがき

〇 「ふしぎなキリスト教」のメモを終わります。 最後に、橋爪大三郎氏の「あとがき」もとても良かったので、少し抜き書きします。 「あとがき なぜ、日本人は、キリスト教を知らないといけないのか。キリスト教を理解すると、どういういいことがあるのか。 …

ふしぎなキリスト教  17 キリスト教文明のゆくえ

「O 言い換えれば、僕らは、自覚しているかいないかは別として、キリスト教的な世界観が深く浸透した社会を生きているわけです。 それでは、今後、キリスト教の影響を受けているこの社会はどうなるのか。これが最後にお聞きしたい質問です。(略) そういう…

ふしぎなキリスト教  16 無神論者は本当に無神論者か?

「O 神を信じてはいないと信じていることと、実際に信じていないこととは別のことではないか。そう考えると、無神論とは何か、ということはけっこう難しい問題になります。 橋爪さんは、宗教社会学についての著書の中で、宗教とは何かということについて、抽…

ふしぎなキリスト教  15 近代哲学者カントに漂うキリスト教の匂い

「O カントは18世紀から19世紀にかけて生きた人です。(略)フランス革命の同時代人であり、典型的な近代哲学者と言っていいでしょう。(略) さて、カントは、ものすごく厳格なプロテスタントでした。生まれ育った家庭も、厳格なプロテスタントだった。…