読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

「2 何が普遍的連帯を可能にするのか
中村哲さんとアフガニスタン人との相互感応>
(略)中村さんたちのことを知るにつけて、僕がとても不思議に思うことがあります。中村さんはアフガニスタンのために人生をかけている。でも、彼は一体アフガニスタンの何に引かれているのか。なぜ彼は、かくもアフガニスタンに貢献するのか。(略)


さらに付け加えれば、よりにもよって、中村さんはクリスチャンです。日本人に三%ぐらいしかいないクリスチャンで、わざわざイスラーム教国に働きに行っていることになります。


アフガニスタンの人々と中村さんの間で起きていること、それは、互いが互いにとってまったく特異であり、共通するものがほとんど何もないのに、共鳴し合う関係が成り立ち、一種の普遍的な連帯が成立しているということです。

それは、古代ギリシア社会とわれわれの現代社会の間にはほとんど共通性がないのに、われわれが、ギリシア由来の悲劇や哲学に共鳴してしまう、という関係のあり方と同じものです。どうして、こんな不思議なことが生ずるのか?」


「<文脈化に抗する残余>
(略)そうすると、どういうことが言えるのか。われわれは、アリストテレスの主張を、文脈に即して捉えているように見えて、実はそこに入り切らないプラスアルファに、つまりネガティヴなものに本当は反応し、感動しているのではないか。(略)



われわれとアリストテレスを繋ぐ共通の思想的な内容はほとんどない、ということになりますが、自分が所属している歴史的文脈との間の違和ということ、文脈の中に十全には収まりきらない否定性の経験という点であれば、われわれも現在の自分の社会的文脈との間に不断に感受していることです。(略)


だからこそ、<普遍性>の経験を喚起するためには、それぞれの文脈の中に埋め込まれた特異な出来事や特異な作品等を経由せざるを得ないわけです。」


〇 難しい…