2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「O 次に紹介する「ブドウ園の労働者」というたとえ話はもっと有名です。(略) H これは有名なエピソードですね。夕方雇い入れた人は一時間ぐらいしか働いていない。賃金を払う段になって、「後から雇った者から払ってやりなさい」と主人が言った。夕方雇い…
「O 橋爪さんは福音書を読んでいて、首をかしげることはないですか?イエスの発言に関して、いくらなんでもこれはおかしいだろうと思う事が僕は時々あります。 H そういうことを、どんどん挙げてみましょう。 O じゃあ、最も不可解なものからいきますね。(…
「O もし人類の歴史の中で最も影響力の大きかった出来事を一つ挙げろと言われたら、僕は、イエスの処刑だと思うんです。たった一人の人間の死が、結果的には人類史に圧倒的な足跡を残し、いまでも大きな影響を及ぼしている。(略) だから他の使徒もあまりか…
「O いったい、どちらなのでしょう?イエスは復活を知らずに殺されたのか、知っていてとりあえず殺されたのか。 H たしかにここは、キリスト教理解の急所のひとつです。 マトリョーシカの話を思い出して下さい。その一番内側には、歴史的実在としてのイエス…
「O でも、ふつうに考えてみると、なぜキリストが死んだら人間の罪が贖われたことになるか、実はよくわからないのです。 H このことは聖書に、はっきり書いてありません。なぜ書いてないのか?当たり前すぎると思って、書いてないのかもしれない。よくわから…
「O 橋爪さんが今話されたように、律法のゲームから愛のゲームへの転換が、新約と共に実現するわけです。 この愛のことを、「隣人愛」という。「隣人」と聞くと、身近で親しい人のことだと思うかもしれませんが、そうではない。 罪深い人とかダメな人とかよ…
「O 神が天地創造をして、そのあと、最後の審判の時まで出て来ないのであれば、わかります。ところが、キリスト教の場合には、神そのものが歴史の中に入ってきて、被造物のように振舞っている。 イスラム教の場合は、そういう不可解なことが出来るだけ起きな…
「O 「神の国」とはいったいどういうものなんですか?(略)というわけで彼らから見ると、どうやら神の国が近づいているらしいのだけど、それが何だかわからない。 そして、どこにあるのかもわからない。わからないから質問すると、「神の国はどこかにあるも…
「O 聖書に、イエスは「権威ある者のように教えたので人々が驚いた」とありますね(マルコ1章22節)。この「権威ある者のように」というのは、イエスが神のように語った、という意味だと思うのですが、いかがでしょうか?(略) H いや、「権威ある者」と…
「O まず、「神の子」は何でないか、ということから、逆に、神の子の本質に迫りたい。例えば、日本人が一番陥りがちな勘ちがいとして、「イエス・キリストはキリスト教の教祖です」というような解釈はあり得ると思うんです。(略) H イエスは、旧約聖書を「…
「O こうしてイエスは処刑されたわけですが、当時の政治状況は少々複雑で、いま紹介したように、ユダヤ人にどのくらい「主権」があったのか定かではない所があります。(略) 宗教的・寓話的な解釈はさておき、歴史的事実として、いったいこの人はなぜ処刑…
「H 福音書をよく読むと、イエスを「神の子」だと明言していないんです。ヨハネ福音書は明言しているが、これは後から書かれたので、ちょっと違う。マルコ、マタイ、ルカの三つの福音書(共観福音書)は、イエスを「人の子」と言っていて、これはメシアのこ…
「O アマテラスやスサノオがイザナギの子であるのと同じように、イエス・キリストはヤハウェの子なのか。しかし、そうすると、二人の神がいることになってしまって、一神教の大原則に反することになります。(略) H マトリューシカという人形があるでしょ…
「O おそらく一番多いのは、病気治しの奇蹟。これに関しては、すべて文字通りに受け取れるかどうかは別にして、かなりの 部分で実際に相当することがあったんじゃないかと思います。 イエスにはやっぱり、ある種のカリスマ的な力があったでしょうから、現に…
「O しかし、厳密に言えば少しずつ違うんですね。とくにヨハネの福音書は、他の三つとの相違がかなり大きい。(略) これらの福音書がどのような順番で、どのくらいの時期に書かれたかは、厳密な考証によってわかっています。最も古いのがマルコで、マタイと…
「O さて、まず非常にシンプルなことを確認させてください。新約聖書には、最初の方に福音書というのがあって、そこにイエス・キリストがどういう人か、どういうふうに生まれてきて、どういうことをやって、どうやって死んだかということが書かれている。(…
「O 学生と宗教や宗教社会学について話している時、彼らがつまずいていると思う箇所は、非常に素朴なところなんですけど、キリスト教とかユダヤ教を「信じている」という心の状態がなかなか思い描きにくいようです。(略) つなり、近代的な世界観を基本のと…
「H 世界はGodが創造したあと、規則正しく自然法則に従って働いている。誰も、自然法則を一ミリでも動かすことは出来ない。その意味で、世界はすみずみまで合理的である。でも必要があれば、例えば預言者が預言者であることを人々に示す必要があれば、Godは…
「O ですから簡単に言えば、ニセ預言者というのが横行しうるわけですし、実際に横行していたでしょう。(略)ですから、預言者はどうやって己の真正性を証明したのか。あるいはどうやってその預言者が本物であるということを人々は知ることが出来たのか。(…
「O 先ほど整理して下さったように、仏教も儒教もそしてユダヤ教も、多神教の克服という点では共通しています。多神教の克服というのは、ヴェーバー風に言えば「Entzauberungエントツァンベルング(脱呪術化、呪術からの解放)」ということになるでしょうか…
「H まず、ヤハウェに姿かたちがあるかどうか。 初めは、形がなかったと思う。それは、火山をイメージした戦争神だったから。(略) O 士師というのはわかりやすく言うと何ですか? H 英語で言うと「judge」で、裁判官のこと。でもその役目は、カリスマ的・…
「O たとえば「ヤハウェ」という名も_それが意味するものについては多様な解釈がありますが_、一つの有力な説によれば、「存在するもの」というような意味になるわけです。 要するに、神とは、存在の中の存在というか、最も強烈に存在するもの、普通の存在…
「H 話を戻しましょう。理不尽な不幸に襲われたときに読む書物があって、「ヨブ記」です。「ヨブ記は、さっきの「ヨナ書」と同じく旧約聖書の「諸書」のひとつです。(略) ヨブにとって一番辛いのは、神が黙っていることです。ヨブが神に語り掛けても、答え…
「O しかし、そういう不可解な神様を受け入れるに至るまでの過程や社会的メカニズムがあったはずです。あるいは、そのような神の存在を前提にすることが、その人びとの生き方の中でいかに説得力があると実感される、客観的な原因があったはずで、それを知り…
「H というわけで、ヨナは、言われた通りに予言をした。そうしたら、ニネベは悔い改めたんです。悔い改めたから、ヤハウェはニネベを破滅させないことにした。そうしたらヨナは怒った。「えっ、私は何のために来たの?」。 ヨナはニネベが破壊されるのを楽し…
「H ユダヤ教には、原罪という考え方はない。」 「H 原罪については、キリスト教を扱う第2部で述べますが、少し先回りして話した方が良さそうですね。 まず、罪について。そして、原罪について説明します。それから、なぜこんなにありがたくない神ヤハウェを…
「O 先ほど橋爪さんがおっしゃっていた非常に重要なポイントで、聞いていてなるほどと思ったのは、要は神との関係は安全保障である、ということです。もちろん宗教家はこの教えは優れているからとか、宗教に内在的な論理をつけるでしょうけれども、古代世界…
「H じゃあ、次のポイントは、王が登場すること。(略) サムエルになぜそんな権限があるかというと、ヤハウェの声を聴いたから。Godがいると、Godが選んだからという理由で王制をつくりやすい。こうして、ヤハウェ信仰と王制が結びついた。」 〇このヤハウ…
「O それは明らかにフィクションと言いますか神話的です。しかし、旧約聖書は、そういうところからだんだん、実際にあった話がそれなりに伝承されて文字になったものだろうと解釈できる部分へと、つまり本当の歴史へと変わって行きます。 旧約聖書の記述は、…
「O 考えてみれば、神さまはたくさんいる方が普通ですよね。神様をたくさん持つ共同体の方が、歴史的には、圧倒的に多かった。結果的には一神教の伝統を持つ社会が地球を席捲したので、神様は一人というのが一般的になりましたけど、もとを正せば、神様をた…