読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「火曜日の朝、シーラはもどってきた。(略) アレホはシーラを見て大喜びだった。シーラがドアから入って来ると、アレホの小さな顔がぱっと輝き、教室を走って行って両手を広げ、彼女に抱きついた。これには私たち全員が驚いた。アレホは何週間もずっと、何…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「夜中の二時頃だったと思うが、とうとうシーラをみつけた。彼女は町の思いがけない地域にいた。私たちの昔の学校からそう遠くないところにある住宅地を走る広い幹線道路沿いを歩いていたのだ。私がそこを通りがかったのは全くの偶然だった。(略) 「そうね…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「チャドの家は新築の美しい豪邸だった。三台分のガレージと脇にはテニスコートもあった。正直に告白すると、それを見た時、これが私のものになったかも知れないのだと、一瞬胸が後悔で疼いた。いや、あれは嫉妬だったのかもしれない。」 「リサはかわいらし…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「「ここ、わかる?」 シーラはかすかにうなずいた。 「あの窓を見て。左から三つ目のところ。あそこが私たちの教室だったのよ」と私はいった。 その言葉をのみこむような沈黙が広がった。(略) シーラは首を振った。「あの公園に行こうよ。トリイが学校最…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「七月の初めにシーラの十四歳の誕生日がやってきた。サマー・プログラムが七月四日をはさむ四連休で中断する直前のことだった。八週間に及ぶこのサマー・プログラムのなかで誕生日はこれだけなので、ちょっとしたパーティーをやったらどうだろうか、と私は…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「「うちの学校ってださいんだ。ほんとのこというと、あんまり友達になりたいって子がいないんだよ」 「じゃあ、何をしてるの?」 「だから、いったように、そのときによるよ。いつもは家事をやってる。お父さんがやらないのはきまってるからね。お父さんに…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「次の月曜の朝のこと、私はデイヴィッド、タマラ、ヴァイオレットと一緒に”空っぽの椅子”というゲームをしていた。これは有名な精神科医のフィリッツ・パールが開発した治療法のヴァリエーションのひとつで、グループの真ん中に空の椅子を置いて、そこにだ…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「車内での会話に私は動揺していた。直感的にそうだと思っていたが、やはりそのとおりだった。シーラはわたしのことを怒っているのだ。でもなぜ?彼女が本のなかの人物を期待しているのに、実際のわたしがいやになるほど人間臭いから? そんなことで私が彼女…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「そんな具合で私たちはスタートした。いつも初日はそうであるが、多少は混乱した。だが、それを見越して前もって、魅力はあるけれど控え目な内容をその朝のために計画していたので、困ったことは起きなかった。 シーラはケイリーと仲よくなった。というかお…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「次の土曜日、シーラと私は彼女の父親の野球チームの試合を見に行った。そのチームは不幸から逃れられないような子どもの群れだった。ちぐはぐのユニフォームを着た十歳から十一歳くらいの少年たちは、みんなそれぞれ異なる背景を持ったマイノリティの家庭…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「選択性無言症に関する私自身の研究を続ける一方で、スタッフに混じってさまざまな研究プロジェクトを共同で行う研究心理学者として、私はサンドリ―・クリニックに採用された。 スタッフは七人。所長のドクター・ローゼンタールを含む五人は、ベテランの児…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「魔法が始まったときのことははっきりと覚えている。私は八歳で、ウエッブ先生のクラスのあまりぱっとしない三年生だった。(略) そのころの私の世界は、我が家の下を流れている幅が広く湿地のようになっている小川と、かわいがっていたペットのことだけだ…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「チャドとは友好的に別れたので、今でも連絡はとりあっていた。彼は同僚の弁護士リサと結婚し、あと一か月ほどで初めての赤ちゃんが生まれることになっていた。」 「「じゃあシーラはどこにいるの?」 「わからない。父親はこの二年ほどブロードヴェーで暮…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「シーラの母親は家出していたときにシーラの父親と知り合い、妊娠した時わずか十四歳だった。母親の十五歳の誕生日の二日前にシーラが生まれた。その十九か月後に、第二子の男の子が生まれている。」 「教師としての経歴のなかでも、あのころのわたしには若…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

〇昨日で「用事」が終わり、またマイペースで暮らせるようになりました。 トリイ・ヘイデン著 「タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語」を 読みました。この本は、「シーラという子」の続編です。 昔、「シーラ…」を読んだ後、この本も読んだので…

どアホノミクスの断末魔

「●目指すはケアリング・シェア社会 ケアにしっかり裏打ちされ、ぴったり裏打ちされているシェア。これが、我々の白い地下経済の礎となっていれば、鉄壁である。お互いに気づかい合っている人々が日常や市場や情報を常に分かち合っている状態なら、「統合政…

どアホノミクスの断末魔

「●白い地下経済の二本の支柱 「統合政府部門」のみえない透明性。F級「未来社会」のアヘン効果。多様で柔軟な「労働社会」がもたらす孤立と分断。 これら三つの恐怖の波に呑み込まれていかないためには、どいうするか。何が必要か。本書の「はじめに」で、…

どアホノミクスの断末魔

「●「今、最も気掛かりなこと」その2とその3:F級SF世界の孤立と分断 「未来社会」の問題はどこにあるか。これについても、既に若干申し上げた通りだ。未来は真っ白なキャンバスだ。そこには、何だって描いて見せることが出来てしまう。無責任な未来語りは…

どアホノミクスの断末魔

〇「この一連の企みは、どこにその最も悪性な特徴と問題点があるのか。さらに整理してみよう」という言葉があり、また、箇条書きで、まとめられています。 「・「世界の真ん中で輝く国創り」の目論見には正当性がない。我々は新たな国創りをチーム・アホノミ…

どアホノミクスの断末魔

〇「断末魔の中で大日本帝国会社の足固めを急ぐチーム・アホノミクスについて、我らは今、何がどう解ったか。箇条書き的に確認していこう。」という文章に続いて、 次の箇条書きが、並んでいます。 「・チーム・アホノミクスは今、あまり声高に「アベノミク…

どアホノミクスの断末魔

〇浜矩子さんの文章は、読んでいて面白いです。内容はもちろん「アホノミクス」の話なので、深刻で嫌な話なのですが、語り口がユーモラスで読みながらニヤニヤしてしまって、暗い気持ちが救われます。 先日終わったNHKの朝ドラ「わろてんか」では、「笑う門…

どアホノミクスの断末魔

「段取り的にいえば、まず、序章で「アホノミクスの今」を概観しておきたいと思います。(略) 第一章では、「焦りがもたらす気負い」がチーム・アホノミクスの基本姿勢と政策フレームにもたらしている変化に着眼します。ここでみる変化の延長線上には、とて…

どアホノミクスの断末魔

〇浜矩子著 「どアホノミクスの断末魔」を読みました。 最近は、やることが多く、なかなかPCに向かえないのですが、ちょこちょこと合間の時間はあるので、この本も少しずつ読み進み、既に読み終えました。 でも、気になった言葉を抜き書きしておく、というの…

「下流志向_学ばない子どもたち 働かない若者たち_

「内田 ニート自体が、日本の場合は社会の均質性の産物だと思います。イギリスやフランスのニートは階層化の産物ですけれど、日本の場合は社会のかける均質化圧そのものが逆に制度的にニートを生みだしている。 均質性が高いというのは日本社会の「業」のよ…

「下流志向_学ばない子どもたち 働かない若者たち_

「内田 僕は日本が決して恵まれた社会だとは思わないのです。たしかに物質的には豊かになりましたけれど、生き方の多様性は制限されていますし、人間同士のコミュニケーション関係はどんどん貧しくなっていますし、子どもに課せられている規格化、標準化の圧…

「下流志向_学ばない子どもたち 働かない若者たち_

たち「内田 (略)老人や障害者の場合、彼らの社会的な弱さは彼らが進んで選んだものではない。でも、ニートは違う。憲法が彼らの教育を受ける権利を保障し、職業訓練の機会も提供され、就業機会もあったにもかかわらず、自らの意思で学びを放棄し、労働を放…

「下流志向_学ばない子どもたち 働かない若者たち_

「フェミニストたちは自己決定・自己責任と社会福祉の充実を同時に要求してきました。それは老人や病人の介護を家族に、特に女性に押し付ける家族主義が社会福祉の充実を停滞させてきたという歴史があるからです。 だから、フェミニストが家族制度の解体と、…

下流志向 _学ばない子どもたち 働かない若者たち_

「教育者に必要なのは一つだけでいい。「師を持っている」ということだけでいい。 その師は別に直接に教えを受けた人である必要はない。書物を通じて得た師とか、あるいは何年か前に死んだ人で、人づてに聞いてこんな立派な先生がいるというのを知ったという…

下流志向 _学ばない子どもたち 働かない若者たち_

「内田 (略)だから、音楽を聴くということは「学び」の基本の一つになっていると思うんです。孔子は「君子の六芸」として、礼、楽、射、御、書、数を上げていますけれど、どうして音楽の演奏と鑑賞がそれほど重要とされたのか。 これは興味深い論件ですけ…

下流志向 _学ばない子どもたち 働かない若者たち_

「第四章 質疑応答 平川 (略)そのころからバブルが崩壊して、日本の景気が徐々に悪くなるに従って、過剰に日本的経営システムとか資産と言ったものに対する反省をするわけです。反省をした結果、どこに飛びついたかというと、当然のことながらアメリカ的な…