読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

昭和天皇の研究 その実像を探る

「二代目 — 卑屈から一転して増長慢 「(乙)第二代目ころの世態民情 明治二十七、八年の日清戦争後は、以前の卑屈心に引き換え、驕慢心がにわかに増長し、前には師事したところの支那も、朝鮮も、眼中になく、その国民をヨボとかチアンコロなどと呼ぶようにな…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「十一章 三代目・天皇と、三代目・国民 = 尾崎行雄が記した国民意識の移り変わりと天皇の立場 対中国土下座状態の一代目 前述のように、尾崎行雄は安政五年(一八五八年)の生まれ、杉浦重剛より四歳年下だが、ほぼ同世代と言ってよい。この時代の人々の特…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「天皇ではなく、国民全体が”三代目” 「次に、予審判事が、予が引用した所の「売家と唐様に書く三代目」という川柳に重きを置き、今上陛下が、たまたま王政維新以後、三代目に当たらせ玉えるため、これを以て、不敬罪犯行の要点となせるは、甚だしき誤解であ…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「「意見の相違は、法律上の問題にはならない」 彼が心配したほど司法部は行政部すなわち東条内閣に屈従していなかった。 このことは大審院の無罪の判決が示しているであろう。この点で、彼の「不刑罪の宣告を受けて」と「大審院への上申書」も何らかの影響…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「近衛・東条の翼賛体制への痛烈な批判 尾崎行雄は、起訴されても発言はやめず、痛烈に政府を批判し、「憲政以外の大問題」を公表した。これはまず「(イ)輔弼大臣の責任心の稀薄(むしろ欠乏)なる事、 (ロ)当局者が、戦争の収結に監視、成案を有せざるよう…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「「天皇と同意見だと不敬罪」の不思議 尾崎行雄のこの文書は、今まで見て来た天皇の平生の意見、すなわち「五箇条の御誓文」と「明治憲法」の絶対化とほぼ同じであると言ってよい。まことに皮肉なことに、天皇とほぼ同じ意見を述べると不敬罪になる。 もっ…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「十章 「憲政の神様」の不敬罪 = 東条英機は、なぜ尾崎行雄を起訴したのか 尾崎演説の何が東条首相を怒らせたのか 天皇自身が機関説を信奉して、そのとおりに行動し、前述のように「ああいう学者(美濃部博士)を葬ることは、すこぶる惜しい」と言われても…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「社会民主主義に共感を抱いたのは、”時代”だった 簡単に言えば、磯部浅一らの青年将校が企画したのは、天皇をかついでの軍う独裁内閣であり、戒厳令のもとで憲法を三年間停止し、その間に国内の一大改造をやろうということで、こういったケースは戦後の中進…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「機関説排撃がもたらした思わぬ影響 しかし機関説は軍内部の主導権争いから”異端”のレッテルに用いられるようになると、天皇の御意向などおかまいなく、この排撃論はますます強くなる。さらにそれが政界にも及び、政敵追い落としにも使われる。こうなると始…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「北一輝には「天皇尊崇の念」など全くなかった ではここで北一輝への妄信の構造を少し調べてみよう。(略) だがここでは第一の顔、すなわち彼の著作を通してみた基本的な思想のみを採り上げたいと思う。といっても、これも短い紙面への要約は相当にむずか…

昭和天皇の研究 その実像を探る

「九章 盲信の悲劇 = 北一輝は、なぜ処刑されねばならなかったか 北一輝の処刑は、明らかに不当 本書は、二・二六事件について記すのが目的ではない。しかしこの事件は、天皇への「逆照射」となって、その実像を浮かび上がらせる貴重な資料を提供している。…