読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

街場の天皇論(改憲草案の「新しさ」を読み解く ―― 国民国家解体のシナリオ )

「改憲が政治日程に上ってきている。2016年7月の参院選で自民党が大勝すれば、今秋以降には国内での合意形成をめざした議論が始まるだろう。自民党や改憲勢力がいったいこの改憲を通じて「何を」実現しようとしているのか、それをこの機会に確認してお…

街場の天皇論(改憲のハードルは天皇と米国だ)

「参院選挙で改憲勢力が3分の2の議席を獲得し、改憲の動きが出てきたタイミングで、天皇の「生前退位」の意向が示されました。時期的に見て、それなりの政治的配慮があったはずです。2016年8月8日に放映された「おことば」をよく読み返すと、さらに…

街場の天皇論 (「私が天皇主義者になったわけ」)

〇 ブログ「内田樹の研究室」以外のタイトルは、「あとがき」も含め12タイトルあるのですが、その中から、3タイトルだけ、メモしておこうと思います。 「Ⅰ死者を背負った共苦の「象徴」 私が天皇主義者になったわけ —— 2016年8月8日の「おことば」…

街場の天皇論

〇 目次の中で、ブログ「内田樹の研究室」にあるものについては、 タイトルだけを載せておきます。 Ⅰ 死者を背負った共苦の「象徴」 天皇の「おことば」について(ブログ「内田樹の研究室」2016年12月23日) 「民の原像」と「死者の国」(ブログ 2…

街場の天皇論

〇 山本七平著 「昭和天皇の研究」の最後の方に、美濃部博士の言葉が紹介されていました。 「……すべて国家には国民の国家的団結心を構成する中心(国民統合の象徴)がなければならず、しかして我が国においては、有史以来、常に万世一系の天皇が国民団結の中…

昭和天皇の研究 その実像を探る  (終章 「平成」への遺訓)

「憲法改正に反対した美濃部博士 「正論」はなかなか社会に受け入れられない。一木喜徳郎男爵、美濃部達吉博士、津田左右吉博士のような、戦時中に右翼や軍部から「大逆賊」と攻撃され、あるいは辞職に追い込まれ、あるいは起訴されて法廷に立たされた人たち…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「「戦争責任」=「敗戦責任」としての考察 しかし、本書はあくまでも、天皇の自己規定の「研究」であるから、「長崎市長がこう言った」「誰がああ言った」は除外し、天皇ご自身がどう考えておられたかの探求に進みたい。 だがその前にこの「戦争責任」とい…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「「おれの息子は、天皇のために死んだ」 本島長崎市長は、朝日新聞で「(自分の発言に対する)支持の手紙には、戦争は国民が「天皇の御ために」と実践し、天皇もそれを知っていたはずという内容のものが多い。天皇の責任の問題は庶民の大多数の心にあるんで…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「津田博士が指摘する「自然のなりゆき」 ここで津田左右吉博士の言葉に耳を傾けよう。前にも引用した「世界」の論文(264ページ参照)は、昭和二十一年の四月号掲載で、野坂参三が凱旋将軍のように延安から帰国し、五月十二日のデモでは、赤旗が坂下門か…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「アジアで唯一の憲法保持国として 「憲法絶対」という態度を、天皇は一貫して変えていない。戦前・戦後の役割について「私は精神的にはなんらの変化もないと思う。常に憲法を厳格に守るように行動してきた」という昭和四十七年九月のお言葉は、まさにそのと…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

「「天皇は戦争を止められるのに、なぜ止めなかった」 天皇にも、「憲政の伝道師」という意識はあったであろうか。私の勝手な想像だが、天皇にはそういう意識はなかったと思う。(略) 考えてみれば、これは実に不思議なこと、人類史上、これを行ったのは昭…

昭和天皇の研究 その実像を探る(十四章 天皇の”功罪”)

〇中断していた「昭和天皇の研究」のメモを続けます。 (十三章のつづきです。) 「十四章 = そして「戦争責任」をどう考えるか 歴史的”功罪”を論ずることのむずかしさ 歴史上の功罪の評価は、非常にむずかしい問題である。というのは、「功」は裏返せば「…

ホモ・デウス(下) (訳者 あとがき)

〇 「ホモ・デウス(下)」の謝辞のあとに、「訳者あとがき」がありました。 「ホモ・デウス(下)」は、連なる言葉を単純に読んでいくと、イメージの中に悲しい未来の光景が広がり、悲観的な気持ちになってしまいます。 でも、この「訳者あとがき」を読むと…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「データフローの中の小波 データ至上主義にも当然、批判者や異端者がいる。第3章で見たように、生命が本当にデータフローに還元できるかどうかは疑わしい。とりわけ、現時点ではデータフローがなぜ、どのように意識と主観的経験を生み出しうるのかは皆目わ…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「記録し、アップロードし、シェアしよう! だが、ことによるとわざわざあなたを説得するまでもないのかもしれない。あなたがニ〇歳前ならなおさらだ。人々はひたすらデータフローの一部になりたがっている。それがプライバシーや自律性や個性の放棄を意味す…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「情報は自由になりたがっている 資本主義同様、データ至上主義も中立的な科学理論として始まったが、今では物事の正邪を決めると公言する宗教へと変わりつつある。この新宗教が信奉する至高の価値は「情報の流れ」だ。もし生命が情報の働きで、私たちが生命…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「歴史を要約すれば データ至上主義の視点に立つと、人類という種全体を単一のデータ処理システムとして解釈してもいいかもしれない。一人一人の人間はそのシステムのチップの役目を果たす。そう解釈すれば歴史全体を、以下の四つの基本的な方法を通してこの…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「権力はみな、どこへ行ったのか? 政治学者たちも、人間の政治制度をしだいにデータ処理システムとして解釈するようになってきている。資本主義や共産主義と同じで、民主主義と独裁制も本質的には、競合する情報収集・分析メカニズムだ。(略) これは、ニ…

ホモ・デウス (下) (第11章 データ教)

「データ至上主義では、森羅万象がデータの流れからできており、どんな現象やものの価値もデータ処理にどれだけ寄与するかで決まるとされている。(略)データ至上主義は科学における二つの大きな流れがぶつかり合って誕生した。 チャールズ・ダーウィンが「…

ホモ・デウス (下) (第10章 意識の大海)

「宇宙がぶら下がっている釘 テクノ人間至上主義は、さらに別の恐ろしい脅威に直面している。人間至上主義のあらゆる宗派と同じで、テクノ人間至上主義も人間の意志を神聖視し、それを全宇宙がぶら下がっている釘と見做している。テクノ人間至上主義は、私た…