読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ユヴァル・ノア・ハラリ

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「データフローの中の小波 データ至上主義にも当然、批判者や異端者がいる。第3章で見たように、生命が本当にデータフローに還元できるかどうかは疑わしい。とりわけ、現時点ではデータフローがなぜ、どのように意識と主観的経験を生み出しうるのかは皆目わ…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「記録し、アップロードし、シェアしよう! だが、ことによるとわざわざあなたを説得するまでもないのかもしれない。あなたがニ〇歳前ならなおさらだ。人々はひたすらデータフローの一部になりたがっている。それがプライバシーや自律性や個性の放棄を意味す…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「情報は自由になりたがっている 資本主義同様、データ至上主義も中立的な科学理論として始まったが、今では物事の正邪を決めると公言する宗教へと変わりつつある。この新宗教が信奉する至高の価値は「情報の流れ」だ。もし生命が情報の働きで、私たちが生命…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「歴史を要約すれば データ至上主義の視点に立つと、人類という種全体を単一のデータ処理システムとして解釈してもいいかもしれない。一人一人の人間はそのシステムのチップの役目を果たす。そう解釈すれば歴史全体を、以下の四つの基本的な方法を通してこの…

ホモ・デウス(下) (第11章 データ教)

「権力はみな、どこへ行ったのか? 政治学者たちも、人間の政治制度をしだいにデータ処理システムとして解釈するようになってきている。資本主義や共産主義と同じで、民主主義と独裁制も本質的には、競合する情報収集・分析メカニズムだ。(略) これは、ニ…

ホモ・デウス (下) (第11章 データ教)

「データ至上主義では、森羅万象がデータの流れからできており、どんな現象やものの価値もデータ処理にどれだけ寄与するかで決まるとされている。(略)データ至上主義は科学における二つの大きな流れがぶつかり合って誕生した。 チャールズ・ダーウィンが「…

ホモ・デウス (下) (第10章 意識の大海)

「宇宙がぶら下がっている釘 テクノ人間至上主義は、さらに別の恐ろしい脅威に直面している。人間至上主義のあらゆる宗派と同じで、テクノ人間至上主義も人間の意志を神聖視し、それを全宇宙がぶら下がっている釘と見做している。テクノ人間至上主義は、私た…

ホモ・デウス (下) (第10章 意識の大海)

「恐れの匂いがする 医師や技術者や消費者が、精神疾患の治療とWEIRD社会での生活の享受に専念しているかぎり、標準未満の精神状態とWEIRDの心を研究していれば、私たちの必要は十分満たされたのかもしれない。標準的な人を対象とする心理学は、標準からの逸…

ホモ・デウス (下) (第10章 意識の大海)

「その新しい宗教は、アフガニスタンの洞窟や中東のマドラサ(訳註 イスラムの諸学を学ぶための高等教育機関)からは現れ出てきそうにない。むしろ、さまざまな研究所から出現しそうだ。社会主義が蒸気と電気を通しての救済を約束して世界を席巻したのとちょ…

ホモ・デウス (下)

「不平等をアップグレードする ここまでは、自由主義に対する三つの実際的な脅威のうち、二つを見て来た。その第一は、人間が完全に価値を失うこと、第二が、人間は集団として見た場合には依然として貴重ではあるが、個人としての権威を失い、代わりに、外部…

ホモ・デウス (下) (第9章 知能と意識の大いなる分離)

〇 再び下巻を借りたので、前回メモできなかった部分をメモしておきます。 この前の部分は、こちらです。 「巫女から君主へ グーグルやフェイスブックなどのアルゴリズムは、いったん全知の巫女として信頼されれば、おそらく代理人へ、最終的には君主へと進…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「魔女狩り 私たちは科学を、世俗主義と寛容の価値観と結びつけることが多い。それならば、近代前期のヨーロッパほど科学革命発祥の地として意外な場所はないだろう。コロンブスやコペルニクスやニュートンの時代のヨーロッパは、宗教的狂信者が最も集中して…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「聖なる教義 実際には、倫理的な判断と事実に関する言明は、いつも簡単に区別できるわけではない。主教に歯、事実に関する言明を倫理的な判断に変え、深刻な混乱を生み、比較的単純な議論であってしかるべきだったものをわかりにくくする、根強い傾向がある…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「神を偽造する 宗教が前よりよくわかったところで、宗教と科学の関係の考察に戻ることができる。この関係には、二つの極端な解釈がある。一方の見方では、科学と宗教は不倶戴天の敵同士で、近代史は科学の知識と宗教の迷信との死闘で形作られたことになる。…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「第5章 科学と宗教というおかしな夫婦 物語は人間社会の柱石の役割を果たす。歴史が展開するにつれ、神や国家や企業にまつわる物語はあまりに強力になったため、ついには客観的現実まで支配し始めた。(略) もちろん、科学理論は新種の神話だ、私たちが科…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「紙の上に生きる 書字はこのようにして、強力な想像上の存在の出現を促し、そうした存在が何百万もの人を組織し、河川や湿地やワニのありようを作り変えた。書字は同時に、人間にとってそうした虚構の存在を信じやすくもした。書字のおかげで、人々は抽象的…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える 第4章 物語の語り手 オオカミやチンパンジーのような動物は、二重の現実の中で暮らしている。一方で、彼らは木や岩や川といった、自分の外の客観的なものをよく知っている。他方で、恐れや喜びや欲求といっ…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「 夢と虚構が支配する世界 サピエンスが世界を支配しているのは、彼らだけが共同主観的な意味のウェブ―― ただ彼らに共通の想像上の中にだけ存在する法律やさまざまな力、もの、場所のウェブ —— を織り成すことができるからだ。人間だけがこのウェブのおかげ…

ホモ・デウス 上 (第3章 人間の輝き)

「チャウシェスクとその一派が二〇〇〇万のルーマニア人を四〇年間支配できたのは、三つの不可欠な条件を満たしていたからだ。 第一に彼らは、軍や種別組合、さらにはスポーツ協会まで、あらゆる協力ネットワークを忠実な共産党員の役人に管理させた。 第二…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「賢い馬 二〇一〇年、科学者たちはラットを使った並外れて感動的な実験を行った。彼らは一匹のラットを小さなケージに閉じ込め、それをずっと大きなケージに入れ、別のラットが大きなケージの中を自由に動き回れるようにした。 閉じ込められている方のラッ…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「実験室のラットたちの憂鬱な生活 心とは何かを検討し、じつは心についてはほとんどわかっていないことを知ったところで、人間以外の動物に心があるかどうかという疑問に戻ることにしよう。犬をはじめ、いくつかの動物は、チューリングテストの修正版に間違…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「チャールズ・ダーウィンを怖がるのは誰か? 二〇一二年のあるギャラップ世論調査によると、ホモ・サピエンスが神の介入をいっさい受けずに、自然選択だけによって進化したと考えるアメリカ人はわずか一五パーセントしかおらず、三二パーセントが、人間は何…

ホモ・デウス (上) (第3章 人間の輝き)

「第3章 人間の輝き 人間がこの世界でいちばん強力な種であることは疑いもない。ホモ・サピエンスは、自分がひときわ高い道徳的地位を享受し、人間の命はブタやゾウやオオカミの命よりもはるかに価値があるとも考えたがる。だが、果たしてそれが正しいかは…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「五〇〇年の孤独 近代の科学と産業の台頭が、人間と動物の関係に次の革命をもたらした。農業革命の間に、人間は動植物を黙らせ、アニミズムの壮大なオペラを人間と神の対話劇に変えた。そして科学革命の間に、人類は神々まで黙らせた。この世界は今や、ワン…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「生き物はアルゴリズム ブタのような動物が欲求や感覚や情動の主観的世界を現に持っていると、どうすれば確信できるのか?(略) 情動はあらゆる哺乳動物(そして鳥類のすべてと、おそらく一部の爬虫類、さらには魚類までも)が共有している。すべての哺乳…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「祖先の欲求 聖書も、そこに示された、人間は独特であるという信念も、農業革命の副産物だった。この革命によって、人間と動物の関係は新しい段階に入ったのだった。(略)ところが、何百年、何千年と月日が流れるうちに、家畜という新奇な生命体が優勢にな…

ホモ・デウス (上) (第2章 人新世)

「第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する ほかの動物たちにしてみれば、人間はすでにとうの昔に神になっている。私たちはこれについてあまり深く考えたがらない。なぜなら私たちはこれまで、とりたてて公正な神でも慈悲深い神でもなかったからだ。(略) …

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「知識のパラドックス 二一世紀には人類は不死と至福と神性を目指して進むという予測に腹を立てたり、疎ましさを覚えたり、恐れをなしたりする人が少なからず出るかも知れないので、いくつか説明しておく必要がある。 第一に、不死と至福と神性を目指すとい…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「怖れ、うつ、トラウマは、砲弾や仕掛け爆弾や自動車爆弾の類が原因ではない。ホルモンや神経伝達物質や神経ネットワークが引き起こすのだ。二人の兵士がいっしょに待ち伏せ攻撃を受けたとしよう。 一人は極度の恐怖で凍り付き、正気を失い、その後何年も悪…

ホモ・デウス (上) (第1章 人類が新たに取り組むべきこと)

「幸福に対する権利 人類の課題リストに入る二つ目の大きなプロジェクトはおそらく、幸福へのカギを見つける事だろう。歴史を通して、無数の思想家や預言者や一般人が、生命そのものよりもむしろ幸福を至高の善と定義してきた。古代ギリシアの哲学者エピクロ…