読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

人間にとって法とは何か

「2 自由の根拠_身体と財産 自分の身体はどこまで自由か リバタリアニズムは、人間の自由を、国家よりも大事にするという考え方です。そして、その自由を守るために、最低限の法律がなくてはならない。という順番で考えて行く。 自由の根拠を考えてみると…

人間にとって法とは何か

「どこまで民営化できるか リバタリアニズムの国家観に立ちますと、国家は最小限のことをやるのが正しい、ということになります。 十九世紀に、夜警国家という考え方がありました。それと似ているかもしれない。軍事や外交など、国がまとまって一元的にやら…

人間にとって法とは何か

「第11章 民主主義とリバタリアニズム 1リバタリアニウムとは何か 反権力としてのリバタリアニズム 次はリバタリアニズムの話をしましょう。 リバタリアニズムというのは新しい考え方で、ここ十年か二十年のうちに、アメリカを中心に出て来たものです。新…

人間にとって法とは何か

「統治権を放棄する日本政府 戦後民主主義について考えてみましょう。 本来、民主主義は法の支配によるものなのですが、法の支配によっていないのではないかと思われる徴候が、いくつもあります。 そのそも憲法の原則が、まるで機能していない。古典的な三権…

人間にとって法とは何か

「3 法をめぐる日本人の誤解 「官/民」とは何か 明治の国家指導者は、このようになかなかの見識を持っていましたが、政府のもとにいた人民が正しいb法律感覚を持ったかというと、必ずしもそうは言えなかった。それは、政府のせいでもある。 明治政府は、日…

人間にとって法とは何か

「天皇機関説論争 専制君主制と立憲君主制とはまったく違うアイディアなので、どっちが日本の正しいシステムなのだろう、と日本人の間で混乱が起きた。それが論争になったのが、第6章でも触れた天皇機関説論争です。 機関説派は、天皇は憲法のもとでのひと…

人間にとって法とは何か

「第10章 明治国家と法 1 幕藩法と近代法 中央集権化と天皇の権限 もう一度、明治維新に話を戻します。 明治維新は、大変にドラスティックな改革であったと思います。 明治維新の前と後を比べてみるとわかるのですが、明治維新までは、中央政権などないに…

人間にとって法とは何か

「全員一致と「空気」の支配 日本の場合、こういうふうにはなっていません。日本でいちばん基本的なのは、村の慣行です。それがどういうものかというと、まず、全員参加ですべてを決めます。全員参加し、全員が合意して、何かが決まるわけです。 これはたい…

人間にとって法とは何か

「2 一揆と村八分 惣村と農民の団結 でも、ふつうの人はあまりこういう法律の変遷を意識しない。どうして意識しないかというと、日本人の大部分は、村に暮らしていたわけですが、村では律令法も武家法も関係がなくて、「村の掟」だけが現実的に重要だった。…

人間にとって法とは何か

「法的根拠から見た明治維新 そして明治時代になるわけですが、まず、なぜ明治維新によって江戸幕府を倒すことができたのだろうか。その理屈は、こんな感じです。 日本はもともと、天皇が支配する国である。しかし、律令に定めのない将軍という存在が、政治…

人間にとって法とは何か

「鎌倉幕府と関東御成敗式目 武士にとっていちばん大事なのは、本領安堵といって、自分の支配地が自分のものであることを、正式に認めてもらうことです。これが武士のいちばん切実な願いです。 自分が土地を所有するに至った経緯が複雑かつ曖昧なので、古い…

人間にとって法とは何か

「空洞化する律令制 律令制は、中国から律令システムという官僚的な国家統治機構を取り入れたもので、これがはじめて日本に取り入れられた法体系ということになります。中国のシステムは律と令という、ふたつの法体系で出来上がっている。 律は刑法のことで…

人間にとって法とは何か

「第Ⅲ部 日本人と法 ― 法感覚を鍛えるために ここからは、われわれの社会にとってもっとも身近な日本の法律について、日本人と法律のあり方についておもに話します。比較的独立している内容なので、ここまでの議論はおいておいて、ここだけで完結したものと…

人間にとって法とは何か

「連帯責任と宗教における個人主義 これを少し、ユダヤ教や仏教と比較してみましょう。ユダヤ教、そしてキリスト教は、たいへん個人主義的なのですが、その根本は、ユダヤ法が連帯責任の考え方をとらなかったという点にあります。 古代法としては、非常に珍…

人間にとって法とは何か

「第8章 儒教と法 1徳治主義と法治主義 法ではなく徳による支配を 次は儒教についてです。 儒教というのは、孔子、孟子の教えで、中国の大思想ですが、最初におさえておくべき事は、儒教のグループ(儒家)は法家と論争していて、これを論敵としていたとい…

人間にとって法とは何か

「浄土真宗の革命性 さらに注目すべきなのは、浄土真宗の考え方です。 親鸞という人が現れ、僧侶でありながら、はじめて結婚しました。彼自身は「非僧非俗」と言っていますが、自分は出家者か。いや、出家者(僧侶)ではない。在家者か。いや、在家者(俗人…

人間にとって法とは何か

「3 日本仏教と法 戒律を学ばなかった日本仏教 日本にも仏教が入ってきますが、日本仏教のひとつの特徴は、戒律がきちんと入ってこなかった点です。 中国に入って来た戒律すら日本には入って来なかったので、戒律が何かということがよくわからず、戒律を研…

人間にとって法とは何か

「禅宗について もうひとつ、中国では、新しい宗派である禅宗ができました。これは中国独特のものです。禅宗は、大乗の出家者も使っていた小乗の戒律を止めてしまいました。どうして釈尊の制定した戒律を止めて、それでもまだ仏教であることができるのかとい…

人間にとって法とは何か

「2 中国仏教と法 中国仏教の特徴 仏教は、中国を経由して、日本に伝わりました。日本の仏教は、中国のフィルターがかかっています。 仏教は、中国に伝わって、どのように変化したか。 簡単に言うなら、仏教は中国で、国営仏教になりました。 どういうこと…

人間にとって法とは何か

「サンガにはなぜ法律が及ばないのか 仏教はこの世界が、究極の法則(ダルマ)に支配されていると考えます。 ダルマというのは、原因と結果を結ぶ因果律です。こういう原因があるので、こういう結果がある。それを客観的に認識してとり出す。それが心理なの…

人間にとって法とは何か

「第7章 仏教と法 1 サンガのルール サンガと戒 仏教は、インドに生まれた宗教ですが、出家という考え方をとっていることが、根本的です。 ここから、仏教独特のルール観、法律観が出てきます。 出家が可能であるためには、社会のルールと、出家した人々と…

人間にとって法とは何か

「3 イスラム主義・保守派と改革派 イスラム原理主義とは誤解の産物である 次に、イスラム主義の保守派と改革派について簡単にお話しします。 イスラム原理主義と言う言葉が、最近ニュースによく出てきます。イスラム原理主義とは何か、とよく聞かれます。…

人間にとって法とは何か

「2 イスラム法共同体 法学者と政治的支配者 法律を共有するムスリムの共同体を、ウンマといいます。こうしたイスラム法共同体をつくることで、地上の平和を実現します。 ウンマはシャリーア(神の法、イスラム法)を共有して、同じ信仰、同じ礼拝、同じNGO…

人間にとって法とは何か

〇 第6章はイスラム教とイスラム法となっています。 関心がないわけではないのですが、とりあえず、私たちの身近なものではないので、大幅に省略してメモします。 「第6章 イスラム教とイスラム法 ユダヤ教とイスラム教 イスラム教は、ユダヤ教にそっくり…

人間にとって法とは何か

「宗教戦争から生まれた宗教的寛容 もうひとつキリスト教文明にとっての大事件は、宗教戦争でした。 プロテスタントとカソリックは、互いに相手を、神に背く悪魔のように考え、殺し合いになったことです。この殺し合いが、たいへん深刻でした。とくにドイツ…

人間にとって法とは何か

「2 世俗法と教会法 ローマ法とキリスト教徒 そこへパウロという人が出て来た。パウロの書いた手紙が「新約聖書」にたくさん収められていますが、彼が「ローマ人への手紙」で言うのには、「地上の権威には従いなさい」。簡単に言うと、法律は守りなさい、反…

人間にとって法とは何か

「パリサイ派と律法 「パリサイびと」は、ユダヤ教内部の改革派として登場しました。キリスト教から見て、保守的でどうしようもないと考えられているパリサイ派自身が、改革派なのです。 彼らはなぜ律法を重視するのか。 律法とは、英語の「聖書」を読むと「…

人間にとって法とは何か

「2 厳密ルール主義 ユダヤ教の厳格さ ではこの契約の中身は何かと言うと、これはユダヤ人の発明なのですが、ユダヤ人社会のルールそのものである。(略) これらは、はじめは暗黙のルールだったかもしれないが、それを全部、ルールブックに書き出してしま…

人間にとって法とは何か

「 第Ⅱ部 法の歴史 ―古代宗教と法 第4章 ユダヤ教と法 1 神との契約 なぜ「神との契約=法」なのか 前章の最後のところで、憲法について話ししました。 この憲法の考え方は、どこからきたか。アジアにはありません。インドにも、アラビアにもありません。…

人間にとって法とは何か

「政府の正統性と憲法 憲法に人権だとか、自由だとか、人民の固有の権利が書き込んであります。この固有の権利は_これは自然法思想に従っているのですが_政府が存在する前からあったものである。 だから政府ができた後でも、これはなくならない。たとえば…