読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 新しい「皇道」 (略) 彼の常識では、辺野古新基地建設に反対する翁長雄志沖縄県知事をはじめとする「オール沖縄」は、「親中」で「反米」で「反日」であるということらしい。(略) ここにおいて「反日=反米」、したがって逆に言えば、「愛国=親米」…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 「愚かしい右翼」の台頭 自民党所属国会議員である山田宏は、二〇一八年一月一六日に自らのツイッター・アカウント上で、次のように書いている。 沖縄県名護市長選挙が始まる。翁長知事の「オール沖縄」という名の親中反米反日 勢力と共にある現職は、名…

国体論 ー菊と星条旗—

「3 隷属とその否認 ▼奴隷の楽園 しかし、ヘゲモニー国家は軍事的にも最強国であるという一般的な原則は、現在の日本がこれまで踏襲してきた対米従属路線をさらに追及しなければならない理由にはならない。 端的に言えば、日本の対米従属の問題性の核心は、…

国体論 ー菊と星条旗—

「2 異様さを増す対米従属 ▼ 収奪攻勢としてのグローバリゼーション (略) これらすべては、「グローバリゼーションへの対応・推進」の名の下に、アメリカに本拠地を持つ場合の多いグローバル企業が日本の企業へ参入する道筋をつくるものだった。(略) つ…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼なぜアメリカから日本にヘゲモニー交代が起きなかったのか 問題は、この過程がどのように日本の「戦後の国体」に作用してきたのか、そして逆に日本の存在がこの過程にどのように作用してきたのか、ということである。 ウォーラースティンを筆頭とする世界…

国体論 ー菊と星条旗—

「第八章「日本のアメリカ」 ― 「戦後の国体」の終着点 (戦後レジーム:相対的安定期~崩壊期) 1 衰退するアメリカ、偉大なるアメリカ ▼ 衰退するアメリカとヘゲモニー維持の謎 世界システム論の論客に、経済史家のジョヴァンニ・アリギがいる。彼の主著…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 磯部浅一における国体 青年将校のうちで北一輝の理論を最も強く信奉していたと見られる磯部浅一は、天皇が自分たちに共感するどころか激怒していることを知り、「獄中手記」 に、天皇への激しい呪詛の言葉を書き連ねることとなる。(略) 磯部浅一が遺し…

国体論 ー菊と星条旗—

「5 北一輝と「国民の天皇」 ▼北一輝の明治維新観と天皇制論 天皇制=絶対主義という講座派の図式と、明治維新=市民革命という労農派の図式が対立するはるか以前に、労農派的な明治維新把握をきわめて徹底したやり方で打ち立てていた人物がいる。北一輝で…

国体論 ー菊と星条旗—

「4 天皇制とマルクス主義者 ▼急進化する大正デモクラシーと治安維持法 (略) 一九二二年には堺利彦・山川均・荒畑寒村ら古参の社会主義者たちによって日本共産党が地下組織として結成されるが、その背景には、一九一九年にコミンテルン(第三インターナシ…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 匿名の人間による「デモクラティックな暗殺」 橋川文三は、朝日の遺書を分析してこの暗殺事件の質的な新しさを指摘している。 (略) ここに例示されている紀尾井坂の変(大久保利通暗殺)の実行者は、旧武士階級という身分を代表して大久保を斬った。あ…

国体論 ー菊と星条旗—

「▼ 徳富蘆花の議論の先見性 (略) すなわち、「よくない天皇の周囲」=「君側の奸」を討てば、「本来の天皇の政治」が実現するはずだという論理である。 この二点において、蘆花の議論は予見的であった。しかし、とにもかくにも、幸徳秋水は天皇から抱擁さ…