読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

苦海浄土

「年寄りも子どもも船の持ち場につく。夕方から出かける時は網を入れたその舟たちが一せいに魚寄せのかがりを焚く。舟はぐるぐる網をせばめてまわりながら魚たちを寄せる。 櫓を漕ぐ者、かぐらをまわす者、舵をとる者。灯と灯は呼びあい漁師たちの声はひとつ…

苦海浄土

「それでも、骨だけになった彼の腕と両脚を、汐風に灼けた皮膚がぴったりとくるんでいた。顔の皮膚の色にも汐の香がまだ失せてはいなかった。 彼の死が急激に、彼の意に反してやって来つつあるのは彼の浅黒いひきしまった皮膚の色が完全にまだ、あせきってい…

ビッグイシュー(人生礼賛)

「歴史にはこう記されるだろう。この変革の時代において、もっとも悲劇的であったのは、悪人たちの辛辣な言葉や暴力ではなく、 善人たちの恐ろしいまでの沈黙と無関心であったと」 (マーチン・ルーサー・キング・ジュニア / 牧師)

苦海浄土

「国会派遣議員調査団が来る前夜、彼が、「明日は市長に、水俣市としてリッパな挨拶ばしてもらいまっしゅ_」と渡辺総務部長と考えた時_崩れかかった突堤を走り回り、ごうごうと漲って満水しつつある川面を見つめ続けて来た出水時のあの、村々に生き続けて…

苦海浄土

「昭和二十八年末に公式第一号患者が出てからさえ、すでに六年を経、右の状態は、放置されていた。」 「八幡大橋付近から遠浅に潮が引けば、水俣川川口からひろがる干潟の貝は口をあけて死滅し、貝の腐肉の臭気と排水口の異臭とのいりまざった臭いが、海岸一…

苦海浄土

「_水俣病のなんの、そげん見苦しか病気に、なんで俺がかかるか。 彼はいつもそう言っていたのだった。彼にとって水俣病などというものはありうべからざることであり、実際それはありうべからざることであり、見苦しいという彼の言葉は、水俣病事件への、こ…

苦海浄土

「脳波測定器への畏怖感は、「先生方」や、ケースワーカーの女性たちが、つとめてあらわしている患者たちへの親和感と、きわめて対照的であり、それは、この十年余、生き残った患者たちが、病状の多様化の中で、種々の調査や検査をとおして表し続けている、…

ビックイシュー日本版(人生礼賛)

「わけ知りには、志がない。 志がないところに、社会の前進はないのである」 (司馬遼太郎)

苦海浄土

「頬のゆたかな唇のあどけない、けむるようなまなざしをした漁師の娘の青春をわたくしはおもいみる。」 「おとろしか。おもいだそうごたなか。人間じゃなかごたる死に方したばい、さつきは。(略) これが自分が産んだ娘じゃろかと思うようになりました。犬…

苦海浄土

「そのようなバスの中の様子は、ことに水俣病発生いらい、人びとが、バスの外の、つまり自分たちが生まれ育ち住みつき、暮らしをたててきた故郷の景色の中に、いつもすっぽりと入りきれないで暮らしてきたことを物語っていた。」 「彼の水俣病の人たちに接す…

苦海浄土

〇 石牟礼道子著 「苦海浄土」を読み始めました。 私は多分、「文学」というのがあまり得手ではないのだと思います。 情景描写や繊細な言葉の響きを楽しむところまで行きません。 退屈してきて、また今度にしよう…となります。 そして、結局は読まずに終わり…

ビックイシュー日本版(人生礼賛)

「幸福感を感じられないとあがいている人たちが、一番簡単に幸福になれる方法は、誰かを幸せにしてあげることなのです」 (有田秀穂 / 脳生理学者)

フランスはどう少子化を克服したか

「これにはもちろん、保護者の方の発想の転換も必要でしょう。保育園と一緒に子どもを育てていくにあたり、大切なことは何か。保育士の限られた労働力を最適に使い、より良い心身の状態で、子供の世話に集中してもらえること、ではないでしょうか。」 「フラ…

フランスはどう少子化を克服したか

〇 第3章 「保育園には、連絡帳も運動会もない」というところを少し端折り過ぎました。 「「うちの保育園は、使用済みのおむつを毎日保護者が持ち帰るんだよ。だから毎日5枚のおむつに名前を書いて持っていくし、使用済みおむつを入れるビニール袋も、同じ…

フランスはどう少子化を克服したか

「公的な保育園第一号が誕生したのは1844年、パリ。」 「労働者階級の悲劇を前に行動を起こしたのが、パリ一区副区長のフィルマン・マルボーでした。「保育量は安く、健康的な環境で、知見に基づいた世話を施す。幼児に易しい、改善された託児施設」。そ…

ビックイシュー日本版(人生礼賛)

〇先日買ったビックイシューにミヒャエル・エンデの言葉が載っていました。 その他人々のの言葉も、なかなかいいので、時々メモしてみます。 「人間というものは、ひとりひとりがそれぞれじぶんの時間を持っている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのも…

フランスはどう少子化を克服したか

「2015年の発表のデータでは、帝王切開以外の出産(経腟出産)の80%が硬膜外麻酔(局部麻酔の一種)で行われました。 自然分娩か、無痛分娩か。その選択は妊婦に任されていますが、麻酔費用が出産支援の一環として全額、国の医療保険(日本の国民健康…

フランスはどう少子化を克服したか

〇 行政の話や統計的な数字が並んでいると、頭が自動的にシャッターを下ろすので なかなか興味深く読み進めません。 「妊娠中のパートナーと人前に出ると、男は素でいられないんですよ。「妊婦の添え物」としてひっそり息を潜めるか、「メスを守るオス」モー…

フランスはどう少子化を克服したか

「夫も息子たちの親なのだから世話はできて当たり前だし、まして我が家は共稼ぎで家事・育児も分担制。」 〇あの「日本はなぜ敗れるのか」の中で小松氏が、「将校はみな、社会人としては零だった」と書いていたのが強烈でした。「社会人として」だったのです…

フランスはどう少子化を克服したか

〇 高崎順子著 「フランスはどう少子化を克服したか」を読んでいます。 私たちの国は、1980年頃、既に将来は少子化になると予想されていました。 でも、その後もその克服のために、何か対策を練ったようには見えません。 何故何も出来ないのか。 そこが…

はてしない物語

「「記憶のないものは、ここへ入ってくることができない、蛇たちは通さない、といっている。」 「かれにかわって、ぼくがみんな覚えています。」アトレーユが叫んだ。 「かれ自身のこともかれの世界のことも、ぼくにはなしたことをみんな覚えています。ぼく…

はてしない物語

「アトレーユは、今はもう一人前の狩人になっているであろうあのときの狩仲間の子どもたちの名を呼んだ。が、何度呼んでもだれも答えてくれなかった。 (略) 幼ごころの君になんと申し開きができただろう。アトレーユは狩人にもなれなかったし、もはや、使…

はてしない物語

〇 「Z 命の水」のメモから始めようと思ったのですが、少し戻って、以前飛ばしたところ、「H 妖怪の国で」から「M 夜の森ペレリン」までのメモをしようと思います。 「「そうだよ! そうだとも!」バスチアンは大声でいった。いってから自分の声にぎょっとし…

はてしない物語

〇 読み終わりました。すごく面白かったです。 特に、「銀の都アマルガント」以降は、相当に入り込んで、久しぶりに「夢中になる」という感じを味わいました。 バスチアンがどんどん変わっていく様子に、ハラハラドキドキでした。 「星僧院」あたりでは、も…

はてしない物語

〇 面白いです。そして確かにこのお話も少し夢の中の世界という雰囲気があります。 今、「色のある死グラオーグラマーン」というところまで読みました。 順不同なのですが、ここにとても共感できる言葉があったので、先ず、ここから先に メモしたいと思いま…

はてしない物語

「女王幼ごころの君には、支配するということがなかった。圧力を加えたり権力を使ったりしたこともなければ、命令を発したり裁いたりということも一度もなく、また、攻めることも守ることもなかった。 幼ごころの君に反抗したり、攻めたりしようと思うものは…

はてしない物語

〇 ミヒャエル・エンデ著 「はてしない物語」を読み始めました。 この本は、かなり前に子どもの為に買いました。でも、入り込めず、いつかそのうち…で、今に至ってます。 不登校ぎみだった次男が高校か大学かの頃、熱心に読んでるのを見ました。 ほとんどし…

中空構造日本の深層(※ フィリピン人の母性原理_フィリピン人と日本人)

「調査団の中で、臨床心理学専攻のわれわれは、日本人の子供たちが異文化の中でどのように適応してゆくのか、あるいは、どのような適応困難を感じるのかを調査しつつ、不適応を起こしている子供やその家族に対して、心理学的な援助をする目的をもっていた。…

中空構造日本の深層(※ 偽英雄を生み出した「神話」_映画「ヒトラー」を見る)

「無秩序の状態に秩序を回復し、絶望する人々に希望を与えるものは救世主である。しかしながら、この「ヒトラー」の映画ほど「秩序」と「希望」の恐ろしさをドキュメントとして見せてくれるものはない。」 「ヒトラーが最初のクーデターに失敗し、それ以後に…

中空構造日本の深層(※ 家庭教育の現代的意義)

「現代のわが国が教育についての根本的な問題に直面していることは、多くの人に感じとられている。(略) しかしながら、多数の人々が教育の制度や、学校の在り方などについて論じ、家庭の教育については、いわゆるハウツー式のものにまかせてしまって、正面…