読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

中空構造日本の深層(※ 象徴としての近親相姦)

「近親相姦のタブーは人間のほとんどあらゆる社会にみられることであり、おそらく、その発生の歴史も極めて古いものであると思われる。 もっとも、よく知られているように、古代エジプトの王は自分の姉妹を妃とすることになっていたので、近親相姦が公認され…

中空構造日本の深層(※ 青年期の感性と自我形成)

「作田氏がS・ホールの言葉を引用しているように、青年期には「世界は奇妙で新たなものに見える」。この「奇妙で新たな」体験を重ねつつ、青年はその自我を確立してゆかねばならない。「これが私だ」と言えるような自我をつくり上げ、それがその人の存在する…

中空構造日本の深層(※現代青年の感性_マンガを中心に)

「戦前においては、青年期における文学・芸術への関心を論じるにあたって、青年に共通に読まれ、話題となっている書物を選ぶことが出来た。(略) 現在ではまずそのような本を見出すことが出来ない。(略) ところが、ある種のマンガこそ、大学生の共通の「…

中空構造日本の深層(※ 日本昔話の心理学的解明)

「(略)ヨーロッパの話では魔法と変身があります。 日本は、蛇と話をしたりするところは人間らしいのですけれども、どこかのところで蛇は蛇だとか、猿は猿だというペースに変わってしまう。ところが、ニューギニアとか、あるいはアフリカとかの話では、トナ…

中空構造日本の深層(※日本人の心の在り方)

「蛇婿という男が女の世界へ入ろうとする、女を取ろうとするのだけれども、結局殺されてしまう、追い出されてしまう。こういう点に注目しますと、天照という女性が君臨している高天原へスサノヲという男性が侵入し、つかまえられて放逐されるパターンと同じ…

中空構造日本の深層(※ 立ち去るものの哀れさ)

「女性にとって男性的なものはやはり恐ろしいものでしょう。あまり受け入れるとつまはじきされるようになるかも知れない。 しかし、女性がその内面において男性的なものをある程度身につけることは非常に強力なことでして、現在の日本の女性の中にはそういう…

中空構造日本の深層(※ 日本昔話の心理学的解明)

「ここでは、昔話、しかも「蛇婿入りと蛇女房」という人間と蛇の結婚の話を取り上げてみようと思います。これはどうも現代社会とはぜんぜん関係ないようですが、実は深い関係があると私は思っています。」 「ただし、ここではそういう西洋の話ではなくて日本…

中空構造日本の深層(※ 「うさぎ穴」の意味するもの)

「それにしても、1865年よりももっと以前、つまり、「昔々」の時代には、うさぎ穴の世界もこの世も入り混じっていたように感じられる。そんなときに、人々は今よりは、はるかに自然と密着した生活をしていたのであろう。 ところが、西洋に発展した自然科…

中空構造日本の深層(※ 民話と幻想)

「民話と類似の用語に、昔話、おとぎ話があるし、伝説との関係はどうなるのかなどの問題も生じてくる。(略) しかし「幻想」ということをどう考えるかは、「本論の本質にかかわる事柄である。」 「しかし、ここで、「現実にないこと」が、まったく現実に関…

中空構造日本の深層(※昔話の心理学的研究)

「昔話は夢と同じように、変身が行われたり、死んだ者が生き返ったり、空を飛ぶことが可能となったり、日常の論理を超える現象に満ちている。」 「フロイトが夢の研究によって得た結論は、簡単にいえば、夢とは人間の無意識内に抑圧された願望の充足を目的と…

中空構造日本の深層(※統合の論理と均衡の論理)

「それは、権威あるもの、権力を持つ者による統合のモデルではなく、力もはたらきももたない中心が相対立する力を適当に均衡せしめているモデルを提供するものである。 中心が空であることは、善悪、正邪の判断を相対化する。統合を行なうためには、統合に必…

中空構造日本の深層 (※ 巡回)

「先に水中出産と火中出産を対比したとき、前者においては、高天原にいたイザナキが根の国という低いところとの接触によって子どもを生み、後者においては、コノハナサクヤヒメという中つ国の住人が、高所より降臨してきたニニギとの接触によって子どもを生…

中空構造日本の深層 (※ 交戦権承認の是非について)

「「Voice」誌は昭和56年1月号において、「交戦権を放棄して平和が守れるか」という表題で、江藤淳氏の「交戦権不承認が日本を拘束している」という基調報告および、それに対する各分野の専門家のコメントを掲載している。」 「江藤氏の憲法問題に取り組…

中空構造日本の深層 (※ 交戦権承認の是非について)

「日本の天皇制をこのような存在として見ると、その在り方を、日本人の心性と結びつけてよく理解することが出来るように思う。 歴史をふりかえってみると、天皇は第一人者ではあるが、権力者ではない、という不思議な在り様が、日本全体の平和の維持にうまく…

中空構造日本の深層 (※ 交戦権承認の是非について)

(※原本に、このような副題はついていません。 でも、あとで、メモの内容を探す時、いつも苦労するので、今後は、 ※マークをつけ、内容についても、書いておくことにします。) 〇今、「中空構造日本の危機」という見出しの部分を読んでいます。 その中で、…

中空構造日本の深層

「両氏の研究は多岐にわたっているが、主としてフランスのデュメジルの分析法に従い、彼がインド=ヨーロッパ語族のパンデオンの構造を、主権機能・戦士機能・生産者機能のいわゆる三機能体系をもつことを明らかにしたのにならって、日本神話においても、そ…

中空構造日本の深層

「人間の管理する社会は、人間の魂の自由を許さない、と先に述べた。ここで魂という言葉に奇異な感じをもたれた人も多いであろう。(略) 筆者がここにあえて「魂」という言葉を用いたのは、実のところ、最近読んだ、物理学者のハイゼンベルクとパウリの対話…

中空構造日本の深層

「人間の管理する社会は、神が統治する国よりも、人間の魂の自由を許さないのである。中世の暗黒時代と言われる時期に生きた人々と、現代人とはたしてどちらが多くの自由さを持っているか、もう一度、真剣に検討してもいいのではなかろうか。 神はその領地の…

中空構造日本の深層

河合隼雄著 「中空構造日本の深層」を読んでいます。 この本も、NHK「100分 de 名著」で、知りました。 日本という国は、一旦方向が定まると、恐ろしいほど一気に誰にも止められない勢いで、そっちに突っ走ってしまう、と言われているのを聞いたことがあ…

好き好き大好き超愛してる。

「あんたのこれまでの六人があんたとうまくいかなかったの、あんたが六人も七人もイヴ作るような人間だったからじゃないの?(略)」 俺は結構傷つく。それはニオモが俺を傷つけようとして言った台詞だ。でも俺の記憶のイヴたちが俺を責める。」 「俺たちに…

好き好き大好き超愛してる。

〇 やはり、この小説はとても読みごたえがあるし、好きな小説だと、心から思いました。 先日、こんな短編だったっけ?と自分の記憶違いを不思議に思ったのですが、短編のように見えてはいるけれど、私のイメージの中では、一つの物語になっていたのだと思い…