読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

中空構造日本の深層(※統合の論理と均衡の論理)

「それは、権威あるもの、権力を持つ者による統合のモデルではなく、力もはたらきももたない中心が相対立する力を適当に均衡せしめているモデルを提供するものである。


中心が空であることは、善悪、正邪の判断を相対化する。統合を行なうためには、統合に必要な原理や力を必要とし、絶対化された中心は、相容れぬものを周辺部に追いやってしまうのである。


空を中心とするとき、統合するものを決定すべき、決定的な戦いを避けることができる。それは対立するものの共存を許すモデルである。」



「たとえば、上山春平氏は「思想の日本的特質」という興味深い論文において、日本の思想史を一貫している特色として、「ラジカルな哲学否定」があると述べている。

そして、その「哲学否定」とは「思想における徹底した受動性もしくは消極性に他ならなかった。体系的な理論の形で積極的に主張(テーゼ)を押し立てて行くことをしない態度」であると述べている。」


「このような中空構造は、ともすれば中央への理不尽な侵入を許しやすい欠点をもとものであるが、それを防ぐためには、均衡を支えているそれぞれの対立的存在の在り方が関係してくる。」


「以上述べたことは、わが国の天皇制について考える上においても、示唆するところが大であると思う。」