読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

内田樹

街場の天皇論 (「日本的情況を見くびらない」ということ ―― あとがきにかえて)

〇 最後に「あとがきにかえて」のメモをして「街場の天皇論」のメモを終わります。 「1969年、私が予備校生だった頃、東大全共闘が三島由紀夫を招いて討論を催したことがあった。(略) 三島由紀夫は「天皇」という一言があれば、自分は東大全共闘と共闘…

街場の天皇論(改憲草案の「新しさ」を読み解く ―― 国民国家解体のシナリオ )

「改憲が政治日程に上ってきている。2016年7月の参院選で自民党が大勝すれば、今秋以降には国内での合意形成をめざした議論が始まるだろう。自民党や改憲勢力がいったいこの改憲を通じて「何を」実現しようとしているのか、それをこの機会に確認してお…

街場の天皇論(改憲のハードルは天皇と米国だ)

「参院選挙で改憲勢力が3分の2の議席を獲得し、改憲の動きが出てきたタイミングで、天皇の「生前退位」の意向が示されました。時期的に見て、それなりの政治的配慮があったはずです。2016年8月8日に放映された「おことば」をよく読み返すと、さらに…

街場の天皇論 (「私が天皇主義者になったわけ」)

〇 ブログ「内田樹の研究室」以外のタイトルは、「あとがき」も含め12タイトルあるのですが、その中から、3タイトルだけ、メモしておこうと思います。 「Ⅰ死者を背負った共苦の「象徴」 私が天皇主義者になったわけ —— 2016年8月8日の「おことば」…

街場の天皇論

〇 目次の中で、ブログ「内田樹の研究室」にあるものについては、 タイトルだけを載せておきます。 Ⅰ 死者を背負った共苦の「象徴」 天皇の「おことば」について(ブログ「内田樹の研究室」2016年12月23日) 「民の原像」と「死者の国」(ブログ 2…

街場の天皇論

〇 山本七平著 「昭和天皇の研究」の最後の方に、美濃部博士の言葉が紹介されていました。 「……すべて国家には国民の国家的団結心を構成する中心(国民統合の象徴)がなければならず、しかして我が国においては、有史以来、常に万世一系の天皇が国民団結の中…

文庫版のためのあとがき

〇こちらのあとがきからは、少しだけメモします。 「この本に伏流しているのは「そんなに変化を急がない方がいいんじゃないの」という気分です。(略)」 「社会の競争的再編によって弱者が利益を得る可能性はきわめて低いことは誰にでも推論できるはずなの…

あとがき

「最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。 自分で言うのもなんですけれど、なかなか面白かったですね(今、私もゲラを通読したところなのです)。 「まえがき」に書いたように、この本のコンテンツはすべてブログ日記から採ったものです。…

フェミニンな時代へ

朝の礼拝で新任教員のみなさんのご紹介がある。 新任は九人。 アメリカ人が二人、イギリス人が一人、中国人が一人、ロシア人が一人、日本人が四人(全員女性、うち一人はカナダ在住)。 日本人男性の新任教員が一人もいない。 これは(日本人男性には)たい…

リセットの誘惑に弱い日本人

「ブログのヒット数が一〇〇〇万を超えた。 一〇〇〇万というのはよく考えるとたいした数である。(略) だいぶ以前のことであるが、「フェミニズムはもう終わった」と書いたことがある。 別に終わったわけではなく、まだたいへん意気軒昂であられたのだが、…

そうだ、マルクスさんに訊いてみよう

「「気宇壮大」と「荒唐無稽」のあいだに実定的な境界線はない。 第二次世界大戦以前に「戦後、独仏の同盟関係を基軸にしてヨーロッパ連合ができるだがろう」と予測していた人間はごく少数だった(オルテガ=イ=ガセーはそのような予言をなした例外的な一人…

奉祝! 五五年体制復活

「安倍内閣の総辞職と福田内閣の成立について、毎日新聞と東京新聞から取材を受ける。(略) 新聞をぱらぱら読んでいるだけで、テレビのニュースだってほとんど見ない。政治学を学んだこともないし、インサイダー情報も知らないし、政治家の知り合いもいない…

愛国について語るのはもうやめませんか

「教育関連三法が今日参院を通過する予定だそうである。 安倍首相は昨日の参院文教科学委員会の総括質疑でこう答えた。 「地域を愛する心、国を愛する心を子どもたちに教えて行かなければ、日本はいつか滅びてしまうのではないか。今こそ教育の再生が必須だ…

変革が好きな人たち

「関西電力の「Insight」の取材がある。お題は「変革」。 オバマさんもChangeを掲げて、ヒラリーさんと激しいバトルを演じているので、時宜にかなったご選題である。 しかし。 私は実は「変革には反対」なのである。 とりあえず、現代日本で「根底的な変革を…

変革が好きな人たち

関西電力の「Insight」の取材がある。お題は「変革」。 オバマさんもChangeを掲げて、ヒラリーさんと激しいバトルを演じているので、時宜にかなったご選題である。 しかし。 私は実は「変革には反対」なのである。 とりあえず、現代日本で「根底的な変革を」…

四章 日本辺境論 ―これが日本の生きる道?

「辺境で何か問題でも? 「Sight」とという雑誌のインタビュー。(略) 「街場の中国論」にも書いたのだけれど、日本は「辺境」の国である。 地理的にどうこうというのではなく、メンタリティが辺境なのである。 「辺境」というのは、「中央」から発信される…

四章 日本辺境論 ―これが日本の生きる道?

「辺境で何か問題でも? 「Sight」とという雑誌のインタビュー。(略) 「街場の中国論」にも書いたのだけれど、日本は「辺境」の国である。 地理的にどうこうというのではなく、メンタリティが辺境なのである。 「辺境」というのは、「中央」から発信される…

おとめごころを学ぶ

「(略) 若いライター志望の人に読書上のアドバイスをひとことと頼まれたので次のようなことを申し上げる。 できるだけ今の自分と生きた時代も生きた場所も縁の遠い人間の書いた本を読むこと。 世界観も宗教も感性も身体感覚も、まるで違う人のものを読んで…

「顧客のニーズ」はあらかじめ存在するか

「(略) CSってごぞんじですか? customer Satisfaction。「消費者の満足」のことである。 これをCS本は「顧客第一主義」とか「顧客中心主義」というふうに訳している。 それは違うだろうという話から始める。 教育の現場でもコンサルの諸君は「大学教職員…

親密圏について

「金井淑子さんから「岩波 新・哲学講義 共に生きる」の執筆個所のコピーが送られてきたので読む。 金井さんは今度岩波書店から出す「応用倫理学講義」の「性/愛」の巻の編集責任者で、私はその巻に「セックスワーク」について書くことになっている。 その金…

コミュニケーション失調症候群

〇「未来の未知性について」と」「「いいこと」と「正しいこと」」は、パスします。 言われていることが、よくわからなかったり、イマイチすんなりと心が受け入れられなかったり、で、今はパスします。 「ある雑誌に「コミュニケーション失調症候群」という…

「おむつ研究」は「コミュニケーション研究」である

「身体知」の共著者三砂ちづる先生と、プチ打ち上げ。(略) 三砂先生は研究の外部資金が入ったので、今年は「おむつの研究」で国内外を回られるそうである。 日本ではいま「二歳までおむつをとる必要はありません」ということが育児書でいわれているそうだ…

女子大の「実学志向」は自滅への道

「終日原稿書き。入学センター課長から年末に「一月一〇日までに八〇〇〇字お願いしますね」と頼まれたのである。(略) うまくゆくかどうかわからないけれど、とりあえず業務命令であるから、さくさくと「どうして女子大は必要なのか?」ということについて…

生きていてくれさえすればいい

「大学院の演習が始まる。後期のお題は「家族論」。ところが初回の発表の渡邊さんは、前期に発表が出来なかったので、後期の第一回に教育論の仕上げとして「寺子屋論」をお願いしていたのを私は忘れていたのである(なんでも忘れる人間である)。 まあ、子ど…

三章 生き延びる力 ― コミュニケーションの感度

「生き延びる力 月曜からレギュラーの授業と会議に加えて取材が四件、お稽古が二回、ゼミ面接三五人、ラジオ出演が一回。 ああ、疲れた。 ゼミ面接がいちばん体力消耗した。面接者トータル八三人。一人一〇分平均として一四時間。 次々とやってくるその全員…

それは私の責任です

「社保庁問題がメディアを賑わせている。 これだけのミスが累積するのだから、構造的にもいろいろと難しい問題がある制度なのであろうが、それにしてもここまで問題を深刻にしたのは歴代の社保庁の役人たちのメンタリティの問題だろう。 そして、そのメンタ…

「すみません」の現象学

〇 これも読みながら「わからない…」と思いました。パスしようかとも思ったのですが、文章を書き写すことで、ひょっとしたら何か違ってくるかもしれない、と期待して、メモしてみます。 「角川から出す新書「態度が悪くてすみません」の「まえがき」を書く。…

ルーズ=ルーズ・ソリューション

「高校の単位不足問題についてあちこちのメディアからコメントを求められる。テレビだけはお断りしたけれど(すみません)、新聞雑誌からの取材にはその場で思いついたことをだらだらしゃべる。(略) 私の見るところ、この履修問題が顕在化したプロセスはつ…

こんな日本でよかったね ―構造主義的日本論―

〇「不快という貨幣」「子供たちの学力はなぜ低下したか」「未来とは他者である」については、パスします。 「不快という貨幣」「子供たちの学力はなぜ低下したか」は以前メモした「下流志向ー学ばない子どもたち 働かない若者たち」と同じような内容だと思…

「少子化問題」は存在しない

「少子化問題についてコメントを求められる。 どうして私のような門外漢にそのような問題のコメントを求められるのか、いつも疑問である。(略) 一億三〇〇〇万人が現在の日本の自然環境・社会環境にとって負荷が重すぎ、全員にじゅうぶんな資源を分配する…