読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ふしぎなキリスト教  1 ユダヤ教とキリスト教はどこが違うか

〇 大澤氏と橋爪氏の対談になっているので、大澤氏の発言をO、橋爪氏の発言をHと記載します。発言の一部だけを切り取ってメモするので、本来は「(略)〇〇〇〇(略)」とすべきですが、その一部だけを記載しています。 「O イエスが登場した時、彼はキリス…

ふしぎなキリスト教  まえがき

〇橋爪大三郎×大澤真幸著 「ふしぎなキリスト教」を読みました。 この本の紹介を見たのは、もうずいぶん前です。読んでみたいなぁと思ったのは、この著者大澤真幸氏に興味を持ったからです。 講談社のPR雑誌「本」の中に「社会性の起源」という文章があり、…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語 エピローグ

「あのピザ・レストランで過ごした午後から、ほぼ十年がたった。シーラは今、彼女を私のクラスに迎えた時の私より年上になっている。彼女は今でもファースト・フード業界で働いているが、もうハンバーガーの売り子ではない。思いがけず目先の聞くビジネスの…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「「うん。お父さんのところに連れてって」シーラは私の方をちらりと見た。「ここ一時間ほど、目を閉じっぱなしだったけど、ずっと眠っていたわけじゃないんだ。考えていたの。あたしたちが話したことについて、何度も何度も考えていたんだ。それで家に帰り…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「「あたしがいやなの」シーラは言い返した。「泣きたくないんだよ。一度泣き始めたら、やめられなくなるんだもの」 「ずっとそれを恐れていたのね?」 シーラは頷いた。涙がますます溢れてきたが、彼女はまだそれを止めようとしていた。「ものすっごく腹が…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「「シーラ、電話を切っちゃだめよ」 「切らないけど」向こうからすごく小さな声が聞こえて来た。 「あまりうまく行かなかったのね?」 「うん」 「何があったの?私に話してくれる?」 「ここでは話せないよ。みんなにきこえるもの」(略) 「シーラ、わた…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「親愛なるお母さん、 あの頃、私は本当に困った子でした。だからお母さんもあんなことをせざるを得なかったのでしょう。私にもわかる気がします。だって、お母さんとしては、ああするしか他に方法がなかったんでしょうから。 でも、わたし、今はずっといい…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「正直なところ、私にはわからなかった。だからといって、シーラが噓をついていると思ったわけではない。私の知っているかぎりのシーラがやりそうなたくらみを考えても、シーラは今までずっと私には本当のことを言ってきていた。 今になって彼女の潔白を疑う…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「「いつお父さんが仮釈放になるかわかったよ。十月二十八日だって」シーラが言った。 「あなた、どうするつもり?」 シーラは肩をすくめた。(略) 「お父さんはどこに住むの?仕事はあるのかしら?」 「ブロードヴェーへ戻るつもりだと思うよ。ブロードヴ…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「シーラは珍しく心を開いてよくしゃべった。あまりにも長い時間をたった一人で過ごした結果こうなったのだろう。一人ぼっちで寂しかったから、見慣れた私の顔に余計に反応したのだ。 鬱病もその一因だった。私が全体として受けたその午後のシーラの印象とし…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「親愛なるお母さん、 あなたが見えればいいのですが。あなたがどんな顔をしているかわかっていればいいのですが。あなたの写真を手に入れようといろいろやってみましたが、お父さんは一枚も持っていないし、他の誰も持っていないようです。あなたのことを知…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「すてきな休暇がいつもそうであるように、この休暇も終りにはくたくたに疲れ切り、帰って来たときにはほとんどまっすぐにものが見えないほどだった。よろよろと飛行機から降り、タクシーをつかまえて街に向かうと、よろけながら自分のアパートメントの建物…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「シーラと父親は姿を消してしまった。信じられなかった。続く何週間かのあいだ、私はショック、怒り、幻滅、後悔、悲しみ、とありとあらゆる感情を味わった。なかでも悲しみが一番大きかった。シーラとの関係を修復するのにたっぷり三カ月かかったというの…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「結局、アレホ誘拐騒ぎは、ドクター・ローゼンタールとアレホの両親の気持ちから、シーラはサマー・プログラムの仕事には戻ってこない方がいいだろうということで一件落着となった。その気持ちは十分理解できたので、私たちもこの決定に同意した。(略) そ…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「闇の中を走りながら、私はあれこれ考えていた。そのとき、ふと、ここ数日色々大変だったけれど、いや大変だったからこそ、私とシーラとの関係が再会以来もっともいい状態になっていることに気づいた。今日はいろいろな意味で辛い日だったが、気持ちの上で…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「その朝のシーラには珍しく無防備なところがあった。おそらくアレホと過ごした苦しい経験のせいで、まだ疲れていてお腹も空いていたせいなのだろうが。いずれにせよ、シーラは自分が困っていることを隠そうともしなかった。 シーラが身体を洗いに行ったとき…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「待っていても何にもならなかった。そこでついに私たちはあきらめて、この事件は警察に任せることにして家に帰った。家に帰っても、私は眠れなかった。(略) 私が六歳のシーラに対して行ったことはあれで十分だった、私はシーラの人生を変えたのだと考える…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「すごい汚れようだったので、私は一度も外に出られなかった。開いている窓越しに、鬼ごっこの監督をしているジェフの声が聞こえて来た。それをきいていると、自分が子供の頃のはるか昔の記憶が蘇ってきた。(略) たっぷり三十分経ってから、子供たちが中に…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

「クリニックにもどって、私たちの会話について思いを巡らしているうちに、シーラは六歳のときの出来事について、私たちが何をしゃべったかをはっきりと覚えているということに思い当たった。(略) 記憶が蘇ってきたのだろうか?もしそうだったとしたら、そ…

タイガーと呼ばれた子_愛に餓えたある少女の物語

〇 「サピエンス全史 上」では、いろいろな感想をすっ飛ばしながら書いてしまったので、そのことも気になるのですが、また、いつか落ち着いてメモを最初から読み直し、その中で、感想を付け足して行きたいと思います。 「タイガーと呼ばれた子」が途中になっ…

サスペンス全史  上 <新しいグローバル帝国>

「紀元前200年ごろから、人類のほとんどは帝国の中で暮らしてきた。将来も、やはり人類の大半が帝国の中で暮らすだろう。だが、将来の帝国は、真にグローバルなものとなる。全世界に君臨するという帝国主義のビジョンが、今や実現しようとしているのだ。 …

サピエンス全史  上 <歴史の中の善人と悪人>

「歴史を善人と悪人にすぱっと分け、帝国はすべて悪人の側に含めるというのは魅力的な発想だ。帝国の大多数は血の上に築かれ、迫害と戦争を通して権力を維持してきたのだから。 だが、今日の文化の大半は、帝国の遺産に基づいている。もし帝国は悪いと決まっ…

サピエンス全史   上 <「彼ら」が「私たち」になるとき>

(〇 目が悪くなったのか、文字が見えにくくて困ります。全て太文字にします。) 「多数の小さな文化を融合させて少数の大きな文化にまとめる過程で、帝国は決定的な役割を果たしてきました。思想や人々、財、テクノロジーは、政治的に分裂した地方でよりも…

サピエンス全史  上 <これはお前たちのためなのだ>

「(略)やがて紀元前550年ごろ、ペルシアのキュロス大王が、それに輪をかけて大げさな自慢をした。 アッシリアの王たちはつねに、アッシリアの王にとどまった。全世界を支配していると主張した時にさえ、アッシリアの栄光を増すためにそうしていることは…

サピエンス全史  上<悪の帝国?>

「今の時代、政治的な罵り言葉のうち、「ファシスト」を除けば、最悪なのは「帝国主義者」だろう。帝国に対する現代の批判は、普通二つの形を取る。 1 帝国は機能しない。長期的に見れば、征服した多数の民族を効果的に支配するのは不可能だ。 2 たとえ支…

サピエンス全史  上 <帝国とは何か?>

「帝国とは、二つの重要な特徴を持った政治秩序のことを言う。帝国と呼ばれるための第一の資格は、それぞれが異なる文化的アイデンティティと独自の領土を持った、いくつもの別個の民族を支配していることだ。では、厳密にはいくつの民族を支配していればい…

サピエンス全史   上 第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン

「古代ローマ人は負けることに慣れていた。歴史上の大帝国の支配者たちはみなそうなのだが、ローマ人も次から次へと戦いで敗北しながら、それでも戦争には勝つことができた。打撃に耐え、倒れずにいられないような帝国は、本物の帝国とは言えない。」 〇この…

サピエンス全史   上 <貨幣の代償>

「貨幣は二つの普遍的原理に基づいている。 a 普遍的転換性_貨幣は錬金術師のように、土地を忠誠に、正義を健康に、暴力を知識に転換できる。 b 普遍的信頼性_貨幣は仲介者として、どんな事業においてもどんな人どうしでも協力できるようにする。 これら二…

サピエンス全史  上<金の福音>

「ローマの硬貨に対する信頼は非常に厚かったので、帝国の国境の外でさえ、人々は喜んでデナリウスで支払いを受け取った。一世紀のインドでは、一番近くにいるローマの軍団でさえ何千キロメートルも離れていたにもかかわらず、市場での交換媒体としてローマ…

サピエンス全史  上<貨幣はどのように機能するのか?>

「タカラガイの貝殻もドルも私たちが共有する想像の中でしか価値をもっていない。その価値は、貝殻や紙の化学構造や色、形には本来備わっていない。つまり、貨幣は物質的現実ではなく、心理的概念なのだ。 貨幣は物質を心に転換することで機能する。だが、な…