読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史  上 <帝国とは何か?>

「帝国とは、二つの重要な特徴を持った政治秩序のことを言う。帝国と呼ばれるための第一の資格は、それぞれが異なる文化的アイデンティティと独自の領土を持った、いくつもの別個の民族を支配していることだ。では、厳密にはいくつの民族を支配していればいいのか?二つか三つでは不十分だ。20か30までは必要ない。帝国となるのに必要な民族の数は、どこかその間にある。


第二に、帝国は変更可能な境界と潜在的に無尽の欲を特徴とする。帝国は、自らの基本的な構造もアイデンティティも変えることなく、次から次へと異国民や異国領を呑み込んで消化できる。」



「ここで強調しておかなければならないが、帝国は、その由来や統治形態、領土の広さ、人口によってではなく、文化的多様性と変更可能な国境によってもっぱら定義される。」


「あまり大きくない現代国家ほどの領土に、どうやってそこまで雑多な人々を押し込められたのだろうか?それが可能だったのは、過去の世界には今よりも段違いに多くの異なる民族がいて、それぞれが現在の典型的な民族よりも少ない人口を抱え、狭い領土を占めていたからだ。


現在はわずか二つの民族の念願を果たすために苦労している、地中海とヨルダン川の間の土地には、聖書に出てくる時代には何十という国民や部族、小王国、都市国家が楽々と収まっていた。

帝国は人類の多様性が激減した大きな要因だった。帝国というロードローラーが、数限りない民族(たとえばヌマンティア人)の類のない特徴を徐々に跡形もなく踏みつぶし、そこから新たなはるかに大きい集団を作り上げていった。」


〇二十一世紀の人々のほぼ全員が、いずれかの帝国の子孫なのだ、とあったけれど、
この帝国の定義によれば、日本人は、帝国の子孫ではない、ということになるのだろうか?