読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「正義」を考える  生きづらさと向き合う社会学

〇大昔も人々は様々な階層に分断されていました。身分差であったり、性差であったり、人種の差であったり、様々な差別は今よりも大きかった。でも、物語は成り立っていた。

資本主義によって、人々が分断され依って立つイデオロギーが違ってしまったので、物語が機能しなくなってしまった、というところがどうもよくわかりません。

私がここで語られていることをしっかり理解できていないのかもしれません。

「第5章 癒す人 正義と<普遍性>
1 マルクスはなぜホメロスに感動するのか
<古典の魅力の謎>
この章で考えたいのは、普遍性とは何かということです。前章までの探求から、普遍性というものを考え直すことが鍵であるとわかっていますね。そこから、今まで積み残してきた問題を片づけていきたい。(略)



オデュッセイア」とか「イリアス」のような作品は、特殊な歴史的文脈の中で書かれ、そうした文脈に深く規定されていることは間違いありません。その歴史的文脈とは、初期のギリシア社会です。そうした作品が、どうして、現在の我々に対しても探求力を持つのでしょうか。これは、不思議じゃないかと、マルクスは言うわけです。」


「<普遍性と特殊性との奇妙なリンク>
(略)つまり、共通性のまったくない、特殊な物語の方が感動するんですね。(略)

そうした知識がないと、本当はわからないことがたくさんある。(略)
しかし、そういう約束事を知らなかったら感動できないかと言うと、そんなことはありません。それはなぜかということが重要です。(略)


特殊であることと普遍的であることは、普通は逆です。様々な物事を包摂する普遍性は、それぞれの物事の特殊性を削ぎ落し、共通性を見出していく果てに到達する、というのがわれわれの常識です。(略)


普遍的であることと特異であることは、一方では、論理的には、互いの足を引っ張り合う関係、相互に否定し合う関係にあるはずなのに、他方では、むしろ短絡的に結びつくことで、互いの性質を強め合っている。これが普遍性についての謎です。ここに気づくことが、普遍性という問題について考えるための一つの補助線になる。」