読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

カレル・ヴァン・ウォルフレン

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第三章 日本民主主義の可能性 (略) 日本の民主主義も後退の一途をたどっていると考える人もなかにはいる。だが日本の民主主義をアメリカやヨーロッパと比較するにつけ、そうではないと私は強く思うようになった。大西洋の両岸では、民主主義を支えて来た…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「自動操縦状態に戻る日本 いまこの困難な時期に、日本はまたしても自動操縦状態へと舞い戻ろうとしている。それは飛行を続ける空域にどんな大きな変化が起きようと、まったく心配しない飛行機のようなものだ。財務省があくまで消費税増税にこだわり続けたの…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「アメリカの庇護を取り除く アメリカが日本を保護するという、かつての偏った関係が日本にメリットをもたらすという時代は終わった。すべての読者はこのことをしっかりと心に留めておいてほしい。いまなおアメリカが日本を保護しているとみなすことはばかげ…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第二章 不確かな日本の新時代 本書ではたびたび二〇一一年三月一一日の大震災に言及し、これが日本にとって未知の状況をもたらす歴史の節目だと述べて来た。そしてそのような状況に直面して、日本の現職の官僚も、そしてもっと幅広い政治エリート全般も、…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「「調和」から抜け出せない日本人 大勢の人々が体制を変えたがっているのに、それがほとんどなんの変化もなく続いているのはなぜかという疑問に対する答えはいくつかある。その中でも重要な意味を持つのは、政党が国民の不満を政策に反映させるという役目を…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「しかし一九八〇年代半ばまでは、彼らが国の運営にいかに無能であるか、誰もが気づくほどにはっきりしていたわけではなかった。一九五〇年代以降の日本は冷戦を背景に、アメリカの手厚い保護を受けていた。 しかし舵取りが必要な局面を迎えたいま、日本を動…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「日本政治における真の闘い しかし日本の一般の人々はいま私が述べたような見方をしない。それは現体制を維持しようと、日本の管理者たちが利用する偽りの現実がまんまと功を奏しているからである。 その中で一番弊害が大きいのは、日本のいまの政治とは、…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第三部 日本人はみずからを救えるのか? 第一章 さらなる変化に見舞われた世界 いま、世界は本書が最初に出版された当時と比べれば多くの点でまったく変わってしまった。(略) いまアメリカは世界で圧倒的な大国となり、その地位をおびやかすほどのライバ…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「資本を安く生み出す 非常にコストの安い資金調達を大々的に行なった第二の時期が、「バブル経済」であった。これは本書の第二部の核心に触れる問題である。このことをもっとよく理解するには、「オーバーローン[銀行の貸し出しを含む全運用資金が自己資本…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「実体なき経済の魔力 経済のことなどほとんど関心のない人であっても、製品をつくり、穀物を生産してそれらを売る活動と、金や株式を売買し、あるいはゴルフクラブの会員権に投資するといった活動との間に違いがあることは知っている。これらはふたつの別個…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「状況の論理 このことについてもっとつぶさに検証してみよう。企業や銀行、業界団体、企業内労働組合、インフラ整備などを含め、日本という生産マシーンは飛行機にたとえることができるかもしれない。 飛行機と同様、これは基本的には不安定である。強い風…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「国家安全保障ビジネス なぜ生産拡大のためにこれほどたやすく多くのことが犠牲にされてしまったのか、という質問に対する私の二番目の答えは、日本人が安全保障を強く求めているからというものだ。 日本人が安全を求める気持ちは並外れて強い。日本国民と…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「失われた栄誉 私は国民に神秘的な特性が備わっていると言われても、それを信じないし、国民が歴史の力によって動かされるとも思わない。歴史の力など、わからないことの方が多いのだ。問題が難解であるからと言って、それを国民の精神などという推しはかり…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「明治の政治リーダーシップが安定しなかったのは、彼ら自身が指導者にふさわしいと自らを見なしていなかったからだと思われる。彼らは国民を決して信用しなかった。その意味で、明治の元老たちも、農民をまるで信用しなかった江戸時代の武士となんら変わら…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第二部 日本に運命づけられた使命 第一章 日本の奇妙な現状 我々が生きるべき社会状況は、偶然の産物ではない。それは「自然の摂理」がもたらしたものでもない。地震や台風とはわけが違う。私がことさらにこのことを強調するのは、日本には、中国やアメリ…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「そこでいま検察官の胸の内をしばし考えてみようではないか。なぜ日本の検察官たちは、前任者たちと同じように権力を行使し続けようとするのだろうか?(略) 容疑者の運命を決定する権限を与えられているのは、自分の所属する機構がずっとそうしてきたから…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「一九九六年になると、厚生大臣だった菅直人が、一〇年前に起きた汚染された血液製剤を流通させたことは政府に責任があると認め、被害者に直接謝罪する一方で、厚生官僚たちに一〇年前になにをしたか正確に説明するよう迫った。彼のこの行動は説明責任とは…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第四章 民主主義にひそむ官僚独裁主義 (略) 工業を絶えず発展させるという政策は、社会全体に大きく影響するのだから、政治の話題として議論するのが当然である。ところが、そのような議論は起きなかった。戦後の経済復興という非常に理にかなった政策が…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

〇 一二行ずつ簡単にメモして行こう、と思いながら、気になる部分については、ついメモが長くなってしまいます。 「公式的な行政の長がまったく実権を持たないという国もある。しかしそうした国でもそれに代わって権力を行使する別の人間や組織がある。とこ…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

「第一部 よき人生をはばむもの ただしこの「護送船団」システムが公式に認められたことは一度もない。日本は法律によって銀行を保護してきたのではないからだ。日本の多くの経済活動の実態は、法律によって許容されている内容とは大きく異なっているのであ…

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム

〇カレル・ヴァン・ウォルフレン著 「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」を読みました。 1994年発行の「人間を幸福にしない日本というシステム」を読んだのは、多分、’97~8年頃だったのではないかと思います。古本屋で見つけて、読みまし…