読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

〇内容が難しく読みにくい本は、ここで文章を入力しながら噛みしめて、 やっと内容が頭に入る、ってことも多いのですが、このシーラという子は読みやすくて、どんどん進んでしまい、もう、かなり終りの方に近づいています。 こちらのメモが追いつかない状態…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「「あとをきれいにすればいいのよ」と、私はいった。「こういうことが起こったときのために、教室に雑巾があるの」 彼女は再び下を見てから、私に視線をもどした。私は黙ったままでいた。彼女は状況がよりよく見えるように、用心深く一歩下がった。 「あた…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私はかわいそうなギレアモーをテーブルの下から引っ張り出して、抱きしめた。目の見えないギレアモーにとって、この騒ぎがどんなに恐ろしかったことか…。アントンはまだスザンナ・ジョイをなだめようとしていた。 一応の平静をとりもどしたようになると、…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「ファイルはわたしのところにまわってくるもののわりには驚くほど薄かった。ほとんどの子供たちのファイルは分厚く書類がぎっしりとはさみこまれていて、何十人という医師、セラピスト、裁判官、ソーシャル・ワーカーらの意見が満載されていた。 これらのフ…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私はいつも自分が担当する子どもたちに何を期待しているかをはっきりさせようと意識していた。同僚の中には子供たちの自我の脆弱さを主張して、私の子どもたちへの率直さをいぶかる者もいた。 だが私はそうは思わなかった。たしかにこの子たちはみんな悲し…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「私たちはお互いの顔を見た。その子の名前はシーラ。もう少しで六歳半になるところだった。艶のない髪に敵意むきだしの目をしたちっぽけな子供で、ひどい臭いがした。」 「毎朝”話し合い”から一日を始めることになっていた。我が校では授業を始める前に国旗…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

「七歳のセーラのことは三年前から知っていた。彼女が保育園にいたときに一緒に過ごしたことがあったのだ。身体的及び性的な虐待の犠牲者であるセーラは、怒りっぽい反抗的な子供だった。 別の学校で特殊学級の一年生だった去年一年間口をきかなかった。自分…

シーラという子 _虐待されたある少女の物語_

〇 トリイ・ヘイデン著 「シーラという子 _虐待されたある少女の物語_」を読んでいます。 日本的なものについての本は、これからも読み続けると思いますが、 どうしても気持ちが暗くなります。 読めば読むほど、問題が深くて、簡単には良い方向に行きそう…

母性社会日本の病理を読んで思ったこと

〇一応最後まで読み終えました。 夢の話、昔話の話になると、どうしてもついてゆけない気分になりました。 それは、河合氏が言っていたように、私も次のように感じたからです。 「しかし、これが日本人と西洋人となると「好み」の次元を超えて、質的なものと…

母性社会日本の病理

「「風土記」によると、嶼子が亀姫と結婚したことがはっきりと述べられている。ところが、われわれが一般に知っている浦島太郎の話では、浦島が乙姫と結婚したとは考えられていない。(略) ここに、乙姫が結婚の対象として考えられなくなってくるのは、どう…

母性社会日本の病理

「たとえば、坂口保「浦島説話の研究」においては、前述した古い伝説より現代の、小説家、武者小路実篤による「新浦島の夢」や、太宰治の「浦島さん」などに至るまでの、浦島の物語の変遷を丹念に追い求めている。」 「母親は浦島に嫁をもらえというが、浦島…

母性社会日本の病理

「昼の意識が真実を認識し、夜の意識が虚構を見るというのは、あまりに浅薄のような気がする。先にも述べたように、夜の意識による体験は、実際的な効果を生みだしていることを忘れてはならない。」 「私はそれをイメージと呼びたい。われわれは、そこに美女…

母性社会日本の病理

「若者たちは、天皇陛下のために命を捨てようとした大人の生き方を批判し、自分たちの権利の為に主張する。 しかし、残念なことに彼らは西洋流の個の倫理によって家庭教育を受けたわけではないので、その主張はしばしば現実を無視し、個人の責任を不問にする…

母性社会日本の病理

「西洋人と日本人の自我構造の相違は、対人関係のあり方の中に如実に反映される。日本人の場合は、人間関係の基本構造として、無意識内の自己を共有し合うものの関係として、無意識的な一体感を土台としている。」 〇西洋人と日本人の相違について書かれてい…

母性社会日本の病理

「日本人の自我について述べる前に、自我ということを明らかにしておかねばならない。そもそも、一体「私」ということは何なのであろうか。」 「自我は自分の主張を通す一方では、その文化や社会において伝えられている規範を身につけるいことを学び、このこ…

母性社会日本の病理

「ところで、このような対人恐怖症の人がどのような治療過程を歩むか、あるいは、いかなる「自我」をつくりあげるかは大いに興味のあるところであろう。 今まで示してきた夢の系列によっても、ある程度の推察がつけられようが、最終段階としてはどうなるかに…

母性社会日本の病理

「しかしながら、日本人は場の中に個を完全に埋没させているわけではない。われわれは場の平衡状態を維持しながらも、自分の個を生かしてゆく方法を身につけている。 それは「自我かくし」ともいうべき技法である。 また、場の中に共存しつつ、なおかつ自分…

母性社会日本の病理

「夢で何が分かるか、何が行われるか」 「夢世界の重み」 「夢は多くの人に興味深い話題を提供する。親しい仲間の雑談において、現実世界の話題もそろそろつきかけた頃、誰かが夢について語りはじめるおt、またそこに夢の世界の話がひと花咲くことが多い。…

母性社会日本の病理

「ユングのマンダラに関する体験について、彼は、「それらが何か中心的なものであるという明確な感情を抱いた」と述べていることは先に示したが、確かに、われわれの知っている「私」というものが、もっと深い心全体の中心へと結びつけられ、根づいてゆき「…

母性社会日本の病理

「彼としては、アメリカ人にとって理解しがたいと思われるそのような講義にどうして多くの人が集まるのかと不思議に思い、学生たちに問いただしてみると、彼らのほとんとが、LSDやマリファナの経験をもち、その経験を媒介として講義の内容が理解され、興味も…

ビッグイシュー(人生礼賛)

「最も歌がうまい鳥だけしか 鳴かないなら、 森はしずまりかえってしまうだろう」 (ユダヤのことわざ)

母性社会日本の病理

「中年に至るまで多くの夫婦は、肩を並べて同一目標に向かってすすんでゆくか、背中合わせになって周囲の敵に対して共同して戦っている。ところが、中年になってお互いが正面から向き合ってみると、いかに二人が未知のものであり、理解し合っていなかったか…

母性社会日本の病理

「これは、人生の前半の落伍者たちが、いわゆる「遊び」の世界に逃避して、仕事の意義を忘れるのと対照的である。 中年の人たちは仕事の中に逃避して、あるいは仕事に埋没して内面的な意味に直面するのを免れる。」 「中年の危機としては、いろいろな事件が…

母性社会日本の病理

「劣等感コンプレックスが生じるもう一つの条件は、自分の能力の程度が明確に把握できないことである。自分が何かに対して劣等であることを認識し、それが自分の存在を脅かさぬことが分かったとき、人はコンプレックスをもたない。 判断が不安定なときはその…

母性社会日本の病理

「先にも述べたように、欧米の諸国やロシアなどでも受験や競争は激しいのに、日本で特にこれを問題にしなければならないことについて考えて見よう。 まず、筆者の体験からいうと、落第することや、あるいは退学などに関して、日本人ほどその本人がみじめな思…

少し感想

母性社会、父性社会といかにも、 そのような価値観でそれを選択しているかのように聞こえるけれど、 どう考えても、この「差」は、賢者と愚者の差のように見えてしようがないのですが。 私は浅はかなのかもしれません。 でも、事実をきちんと見て、それを受…

母性社会日本の病理

「日本人の平等性の主張は背後に母性原理をもつために、能力差の問題にはできるだけ目を閉じてゆこうとする傾向をもつ。 あるいは、時にそれはタブーにさえ近い。それが完全にタブーとなった状態を、筆者は「平等信仰」と呼びたい。 ここに、わざわざ信仰な…

母性社会日本の病理

「つまり、社会から禁じられているシンナー遊びをする点においては、反社会的、あるいは反体制的ともいえようが、求めている体験の本質は母性への回帰であり、わが国の文化・社会を古くから支えている原理そのものなのである。 これに類することは処々に見ら…

母性社会日本の病理

〇 河合隼雄著 「母性社会日本の病理」を読んでいます。 「そして、以後に例をあげて論じるように、最近わが国において急増してきた登校拒否症や、あるいは、わが国に特徴的といわれている対人恐怖症の人たちに接している間に、その背景にわが国の母性文化の…

ビッグイシュー(人生礼賛)

「最高の愛国心とは、あなたの国が不名誉で、 悪辣で、馬鹿みたいなことをしている時に、 それを言ってやることだ」 (ジュリアン・バーンズ / 作家)