「若者たちは、天皇陛下のために命を捨てようとした大人の生き方を批判し、自分たちの権利の為に主張する。
しかし、残念なことに彼らは西洋流の個の倫理によって家庭教育を受けたわけではないので、その主張はしばしば現実を無視し、個人の責任を不問にする形で行われる。
彼らはかつての「家出人」が犯したのと同じ誤りを犯して、自我を確立するために「家」や所属集団の長に反抗する。しかし、問題は片付くはずがない。」
「ただ、欧米の場合は、日本と逆に彼らのもつ個の倫理に対する反省が生じつつあると考えられる。
筆者にしても、ここに明らかにした日本人と西洋人の自我のあり方について、簡単に優劣を断定することは出来ないと思っている。
第一、この狭い国土にこれだけ多数の人が住んで、各人が自我主張を行うとどうなることかとさえ思う。」
「過渡期に生きるわれわれとしては、簡単に断定を下さずに、ごまかすことなく、自分の生き方を見いだしてゆく努力を続けるより仕方がないだろう。
東洋の文明国に生きる日本人としては、これは重大な課題ではなかろうかと思われる。」
〇「ごまかすことなく」「自分の生き方を見いだしてゆく努力」という所に、
強く共感しました。