読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 下


「宗教的であれ世俗的であれ理論や伝統よって妨げられることなく、以上の述べてきた事柄を考えるなら、哲学者については次のような印象をぬぐいさることはできないだろう。

それは、哲学者というのは生来、精神の一定の現象や世界における精神の位置とうまくい折り合うことができない、あるいは、思索する人々には、肉体についてばかりでなく、意志についても公平な評価を期待することはできない、といったことである。」

「我々の心理的器官― 精神とは区別されたものとしての魂― は、こうした道の領域からやってくることを、予期という手段によって処理するようにできているが、予期の主要な形態は、希望と不安である。

この二種類の感情は、各々がその見かけ上の反対物に容易に転化するくらいに緊密に結びついている。」


「占い師や占星術師といった預言者の欺瞞的なゲームと比べてはるかに慰めを与えてくれるのは、同じく欺瞞的ではあるが、ギルバート・ライルの巧みな一節で言えば、
現在あるいは未来のことについてすべてが「そうなるべくなっていた」と証明しようとする理論なのである。(略)

それにもかかわらず、宿命論は、何世紀にもわたって、驚くべき大きな影響を日常的な思考に与えたのである。」


「いっさいの意志の働きは、たしかに精神活動ではあるが、投企が現実化される現象界に関係する。思考とはまったく対照的に、いかなる意志もそれ自身のために生じることはないし、その行為自体において自ら充足することはない。」


「(略)その理由はたんに魂が恐怖と希望に満ちた未来に反応するという点にあるだけではなく、けっして保証付きというわけではない<私ができ、しかも私が為す>によってのみ、すなわち、意志独自の活動の中断と意志の支配からの精神の解放によってのみしずめられるのである。」