読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 下

「しかし、かの聖書の教説が、我々の文脈において十分な根拠となるのは、神が”無”から創造したことを付け加える場合に限るが、そうした無からの創造については旧約聖書は何も語ってはいない。無からの創造は、後世の思弁が加えたものである。」


「結局、意志する自我の観点から見れば、意識の錯覚と見えるものは、自由ではなくて、必然性なのである。(略)私の知る限りでは、ベルクソン以前には、たった一度だけ必然性が意識の錯覚だという思想が表明されたことがあった。

それは、ドゥンス・スコトゥスによるものであったが、かれは、知性に対して意志の第一義性を孤高を守って擁護したのであるが、それ以上に、存在する一切のものの偶然性という要因の擁護者であった。」


「すなわち、意志の自由は、内的経験の強さ、あるいは、むしろ弱さという点において想定されうるのであるが、それを証明することはできないのである。」


「すべての自由意志の理論がいかに悪の問題と密接に結びついているかということを考えれば、こうした疑いはさらに強くなる。だから、アウグスティヌスは、「意志の自由な選択」という自分の論文を、「神が悪の原因でないのか否かを、どうか教えてください」という疑問で始めるのである。」