読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

三砂ちづる

死にゆく人のかたわらで

「あとがき 夫は悪く言えば、不器用というか、考えなしというか、適当というか、そういうところのすごくある人だった。(略) ある年末の日、カーテンを洗濯機に入れたものの、そのまま出かけなければならなくて、夫に「カーテン、洗ったから、フックを付け…

死にゆく人のかたわらで

「第8話 人生最大のストレス 二〇一五年六月に末期ガンの夫を家で看取った。配偶者の死、というのは人間にかかる「ストレス」のうちで最も大きいもののひとつであるという。ライフイベントとストレスに関する有名な尺度があって、「配偶者の死」の次には「…

死にゆく人のかたわらで

「第7話 総論としてはよきこと 延命治療はしてもらいたくない。そういう人は増えた。遺漏や、経管栄養や、あるいは人工呼吸器や、いわゆる命をながらえるためだけの措置は、できるだけしてほしくない。自分に意識がなくなってしまったらな、もちろん家族に…

死にゆく人のかたわらで

「第6話 「急速な老化で死ぬ」ということ ガンの末期は痛い。痛い、痛い、そう思っていた。わたしも、中咽頭原発、頸部リンパ節転移の末期ガンで死んだ、亡き夫も。 ガンは、最後、痛いんだってね。耐えられないような痛みで、つらいんだってね。でも最近は…

死にゆく人のかたわらで

「第5話 お金の問題 自宅で死ねない二つの心配事 自宅で死にたいが、不安なのは「お金」と「痛み」であるという。家族に負担をかけるのではないか、ということはもちろん心配なのだが、それと同じくらい「お金」と「痛み」が心配なのだという。「末期ガンの…

死にゆく人のかたわらで

「伊豆に出かける「暴挙」 この状況はこの時点でしばらく続く。最初に倒れた時点では、いったいなぜ倒れたのか、わからない。もともとてんかんの治療を受けていたわけだから、てんかん発作だったのか、と、その時は思っていたし、意識がないわけでもなかった…

死にゆく人のかたわらで

「第4話 いちばん怖かったこと 介護をするときに怖いこと 死にゆくプロセスを家で看取る。ガンの末期の家族を家で看取る。 本書のテーマはそのことである。それは、そんなに怖いことではなくて、家族が決意すれば可能なように思う、ということを、末期ガン…

死にゆく人のかたわらで

「いやおうなしに持った覚悟 夫が六〇を過ぎて退職し、しばらくしたころ、朝六時半、そのバクダンはバクハツした。隣に寝ている夫が「頭が痛い」と言う。ほどなく「あ、これはいつものと違う、すぐに救急車を呼んでくれ」と言う。(略) 救急制度、というも…

死にゆく人のかたわらで

「酸素吸入器をはずす 死にゆく夫と、そこに寄り添っているわたしが静かな時間を過ごせるように、そこに第三者が入って、邪魔をしたり、あれこれよけいな「処置」をしたりしないように、新田先生のたたずまいは、絶妙でだった。「夜中だったらわたしだけ呼ん…

死にゆく人のかたわらで ―ガンの夫を家で看取った二年二カ月

〇気持ちが不安定になり、なかなか落ち着いてPCに向かえなくなったので、「本のメモ」を休みがちになっていたのですが、また、少しずつ続けたいと思います。 途中になっていた、三砂ちづる著「死にゆく人のかたわらで」の メモをしたいと思います。この前の…

死にゆく人のかたわらで

「ガン細胞にブドウ糖が集まる (略) この検査では、がん細胞は正常細胞と比べて三倍から八倍くらいのブドウ糖を取り込むらしいことを利用して、ブドウ糖に近い成分を体内に注射し、そのブドウ糖に近い成分がどこに集まるかを検知しているのだそうだ。患者…

死にゆく人のかたわらで

「ごほうびでもらったいのち (略) しかし、ここではその話に深入りはすまい。いまはとにかく、心臓とか、脳とか、人間にとって、なくなったら「すぐに」死んでしまうようなところ、について話そう。 そういうところを外気にさらして手術すると、やはり人間…

死にゆく人のかたわらで

「死にゆくときの「介助者」の役割 本来の第三者である「会場者」の役割とは、まさにここにあるのだろう。わたしは出産に関わる仕事をしてきた。世の中では人間は「ひとりでお産はできない」と思われている。産科医が減り、産科医院が減り、お産する場所がな…

死にゆく人のかたわらで

「下顎呼吸のかたわらの穏やかな時間 この日は、親しい若い友人の誕生日だった。わたしは「研究者」で、「大学教師」なので、専門分野を教えることによって、その後親しく付き合うようになった、昔ふうに言えば、まあ、「弟子」みたいな関係の若い友人が何人…

死にゆく人のかたわらで

「すばらしきテイジンさん 亡くなる前の日、息苦しいというので”テイジンさん”に持ってきてもらっている酸素吸入器を、五リットルのものから七リットルのものにかえてもらうことになった。 この酸素吸入器というのは、数多の我が家に持ち込んだもののうち、…

死にゆく人のかたわらで

「第2話 最後の半日 とにかく、いまを絶望しないように 亡くなる前の日から「息苦しい」とは、言っていた。「死ぬかもしれない」とも言っていた。いま思えばあたりまえだ。中咽頭ガンの頸部リンパ節転移、いよいよ末期、身長一七五センチ、体重は四〇キロを…

死にゆく人のかたわらで 

「立派で使いやすいポータブルトイレ 金蔵はすでに口からはものが入らなくなっていて、生命維持のためのぎりぎりの高カロリー輸液を使っていたから、最後の日々は、食べることについてわたしが心配することはもうない状態だった。おしっこをどうするか、ウン…

死にゆく人のかたわらで ―ガンの夫を家で看取った二年二カ月―

〇 三砂ちづる著「死にゆく人のかたわらで」を読みました。 この三砂さんについては、内田樹氏の「こんな日本でよかったね」の中に記されていたので、知りました。 義父母の介護をした時に、ポータブルトイレを使いました。 「しもの世話」は、実際にやって…