読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史   上 <貝殻とタバコ>

「貨幣は多くの場所で何度も生み出された。その発達には、技術の飛躍的発展は必要ない。それは純粋に精神的な革命だったのだ。それには、人々が共有する想像の中にだけ存在する新しい共同主観的現実があればよかった。」


「だが、貨幣は硬貨の鋳造が発明されるはるか前から存在しており、さまざまな文化が貝殻や、牛、皮、塩、穀物、珠、布、約束手形など、他のものを通過として使い、栄えた。


タカラガイの貝殻は約4000年にわたって、アフリカ、南アジア、東アジア、オセアニアの至る所で貨幣として使われた。20世紀初期になっても、当時イギリスの植民地だったウガンダではタカラガイの貝殻で税金が払えた。


現代の監獄や捕虜収容所では、タバコがしばしば貨幣として使われてきた。煙草を吸わない囚人でさえ、喜んでタバコで支払いを受け、他のあらゆる品物やサービスの価値をタバコに換算した。


あるアウシュヴィッツの生存者は、収容所で使われたタバコという通貨について、こう述べている。「私たちは独自の通貨を持っていた。その価値を疑う者は誰もいなかった。


それはタバコだ。あらゆる品の値段がタバコの本数で記されていた……「平時」、つまりガス室送りの候補者たちが通常の割合で到着している時には、パン一塊の値段はタバコ十二本、300グラムのマーガリンのパッケージは30本、腕時計は80~200本、アルコール一リットルは400本だった!」


「理想的な種類の貨幣は、人々があるものを別のものに転換することだけではなく、富を蓄えることも可能にする。時間や美しさなど、貴重なものの多くは保存できない。イチゴのように、短期間しか保存できないものもある。


タカラガイの貝殻は腐らないし、ネズミに食べられないし、火事に遭っても残る可能性があるし、あまりかさばらないので金庫にしまっておける。」


「貨幣は簡単に、しかも安価に、富を他のものに換えたり保存したり運んだりできるので、複雑な商業ネットワークと活発な市場の出現に決定的な貢献をした。貨幣なしでは、商業ネットワークと市場は、規模も複雑さも活力も、非常に限られたままになっていただろう。」