読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日本中世の民衆像

○百姓:中世以前の社会では海の民も、山の民も、商工の民も
 
 平民身分の者はみな百姓と呼ばれていた。

○常民:民俗学では使われるが、当時の資料の中に常民という言葉は使われて

 いないので、歴史の中で使うのはためらわれる。

○権利と義務

 ・御成敗式目 四十二条 「去留は民意に任すべし」移動の自由が保障

 ・武装:一般平民は、槍、刀、弓矢所持

 ・下人・所従:年貢・公事の義務なし 

 ・平民:年貢・公事の義務あり(負担する権利あり)

 ・職人:年貢・公事の全部、もしくは一部免除(特権として)

○平民の負担する年貢・公事を封建地代と規定するのが一般的な見方

 その場合、平民身分をある種の隷属民とする見方になる

○平民の隷属的側面を示す年貢・公事とはいったい何なのかという問題

○年貢:十世紀くらいに出てきた言葉 

    一般的になるのは十一世紀(荘園公領制

    毎年の「たてまつりもの」として理解されていた(唯浄裏書)

○貢賦:貢ハ下ヨリ上に献也 賦ハ上ヨリ下ヘ給也

○インカの首長は首長の地位を保つため、一般庶民からも

 たくさん取り立てるが逆に庶民にも大盤振る舞いをする

○日本においても、取るだけではなく、配るほうもありえたのではないか

○上分:年貢の一部を神社などに納める

○米以外の年貢: 畿内、瀬戸内海周辺、西海道(九州)諸国

 北陸道諸国は米が年貢

 ・美濃、尾張以東の国々は絹、綿、布、糸が年貢

 ・伊勢、三河遠江、甲斐、下総、武蔵、下野、常陸、丹後は、絹

 ・越後は綿 ・信濃は白布

 ・瀬戸内海の島嶼は塩 ・山陽道山陰道諸国の地域は鉄

 ・丹波、播磨は瓦や雑器など焼物 ・長門は牛 ・陸奥、出羽、下野は馬

 ・若狭は魚や貝 ・和泉は鯛

 ・炭、薪、香、檜皮、油、紅花、漆、餅が年貢になる例もある


○国ごとに年貢の品目に斉一性

○米は重量があるので、運送状の条件が必要だったのではないか

○米作以外の非水田的な生産の展開しているところに貨幣流通