読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「空気」の研究

〇この後、山本氏は、ある宗教学専門雑誌に載っていた「興味深い一例」を挙げています。遺跡発掘で、ユダヤ人と共同で作業をしていた時、日本人だけが「人骨を発掘し所定の場所へ運ぶ」、という作業の影響で病人同様の状態になってしまったということがあったそうです。


「従ってこの影響は非物質的なもので、人骨・されこうべという物質が日本人には何らかの心理的影響を与え、その影響は身体的に病状として表れるほど強かったが、一方ユダヤ人には、何らの心理的影響も与えなかった、と見るべきである。おそらくこれが「空気の基本型」である。」


「物質から何らかの心理的・宗教的影響をうける、言いかえれば物質の背後に何かが臨在していると感じ、知らず知らずのうちにその何かの影響を受けるという状態、その状態の指摘とそれへの抵抗は、「福翁自伝」にもでてくる。

しかし彼は、否彼のみならず明治の啓蒙家たちは、「石ころは物質にすぎない。この物質を拝むことは迷信であり、野蛮である。文明開化の科学的態度とはそれを否定棄却すること、そのため啓蒙的科学的教育をすべきだ、そしてそれで十分だ」

と考えても、「日本人が、なぜ、物質の背後に何かが臨在すると考えるのか、またなぜ何か臨在すると感じて身体的影響を受けるほど強くその影響を受けるのか。
まずそれを解明すべきだ」とは考えなかった。」


〇この「臨在感」というのが、私にはよくわかりません。でも、日本人には、それがある人が大勢いる、というのが事実なのだとしたら、私自身、いつもなんとなく、他の人としっくりいかない感じがあるのも、そのせいなのかもしれない、と思い当たることはあります。