読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「空気」の研究

「さらにそれに「公害問題の真相を衝く」の連載をしてきた「実業の日本」誌編集長吉田信美氏の、この「大過に充ちた」公害行政のやり方が「…第二次世界大戦前夜、アメリカの実体認識も十分にせず、猪突猛進していった陸軍の単細胞的敢闘精神に似たもの…」にはじまる解説をつければ、それで十分に理解されるのではないかと思う。」


「(略)このアニマから出た言葉がアニミズㇺ(物神論?)で、日本では通常これらのことばを「霊」と訳している。」


「聖書のさまざまな試訳には、この語を「風(れい)」とか「霊(かぜ)」とかのルビ付きで訳しているものもあるが、このことが、この言葉の翻訳のむずかしさを示しているであろう。

原意は「風・空気」だが、古代人はこれを息・呼吸・気・精・人のたましい・精神・非物質的存在・精神的対象等の意味にも使った。また言霊の”たま”に似た使い方もある。」


「一方明治的啓蒙主義は、「霊の支配」があるなどと考えることは無知蒙昧で野蛮なことだとして、それを「ないこと」にするのが現実的・科学的だと考え、そういったものは、否定し、拒否・罵倒・笑殺すれば消えてしまうと考えた。

ところが、「ないこと」にしても、「ある」ものは「ある」のだから、「ないこと」にすれば逆にあらゆる歯止めがなくなり、そのため傍若無人に猛威を振るいだし、「空気の支配」を決定的にして、ついに、一民族を破滅の淵まで追い込んでしまった。」


戦艦大和の出撃などは、”空気”決定のほんの一例にすぎず、太平洋戦争そのものが、否、その前の日華事変の発端と対処の仕方が、すべて”空気”決定なのである。
(略)
”空気”決定は、これからもわれわれを拘束し続け、全く同じ運命にわれわれを追い込むかもしれぬ。」

〇 今現在その恐れがひしひしと感じられ、やりきれない気持ちです。