読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

私の幸福論 (まえがき)

〇 福田恒存著 「私の幸福論」を読んでいます。
もともと、なぜ私たち日本人はこうなんだろう…?という疑問から
山本七平の著作などを読み始めたのですが、


そこに、NHKスペシャルETV特集で、様々な日本人の実態が重なり、
更に、現在の安倍政権のやり方やそれを支えるマスコミの大本営ぶりを見ていると、絶望感で、気持ちが滅入ってしまいます。

でも、それではダメなので、なんとか元気を出したいと、この本を読み直すことにしました。

この本は、今までに2~3回は読んでいます。福田恒存という人を知ったのは、2000年以降なのですが、日本的でありながら、信頼できるものの見方が示されていて、こういう人が居るかぎり、私たちは大丈夫、という気持ちになります。


抜き書きは「」で、感想は〇で、メモします。
仮名遣いは、原本のとおりではなく、意味が通じる時は、PCの変換のままに、
記していきます。


「なるほど、男女は同権であります。男だけに許されて女には許されないなどということがあろうはずはない。これは男女の間柄だけについて言えることではなく、同性間についてもおなじことで、ある人に許されて、ある人には許されない、そんなことがあってよいはずのものではありません。


人間は平等です。だが、現実ではそうはいかない。現実の世界では、人間は不平等です。悪いといおうが、いけないといおうが、それは事実なのです。


いずれ、そういうことを詳しく書いていくつもりですが、とにかく、それが現実の世界だとすれば、みなさんはどういうふうに生きて行ったらいいか。いわゆる女性の権利とか、女性の自由とか、そういうことをいくら聴かされても、短い生涯で、ひとりの力で、この現実を変えてしまうことができない以上、おそらくどうにもなるものではありますまい。


与えられた現実を眼をつぶって受け容れろというつもりはありませんが、それだからといって、ただ現実が間違っているというようなことばかり言っていてもはじまらない。現実がどうあろうと、みなさんは、この世に生まれた以上、幸福にならねばならぬ責任があるのです。幸福になる権利よりも、幸福になる責任について、私は語りたいと思います。」


〇 あとがきによると、この本は、「昭和三十年から翌三十一年にわたり、講談社の「若い女性」という雑誌に「幸福への手帖」という題のもとに連載したもの」となっています。

昭和三十年から三十一年と言えば、私の母が、「若い女性」だった頃です。
私は、この中の、「教養について」という題の文章を読んで、母は多分、この雑誌を読んでいたのだと、思いました。

何故なら、子供の頃、私が聞いた「教養って何?」という問いに対する答えが、ここに書かれているのと同じような説明だったからです。


「そんな風に生活の外側をいくら改造しても、女性は、人間は、幸福になれるものではありません。幸福というのはもっと難しいことです。それは、たった一人の孤独な闘いであります。


それは大変困難な道ではありますが、しかし、私は無責任なことを言いだそうとしているのではない。私は自分の言葉に責任をもちます。私のいうとおりの生き方をすれば、かならず幸福になれる_少々神がかってまいりましたが、少なくとも、幸福への入口だけは発見できるでしょう。(略)



書く側も、読む側も、なるべく触れたがらない問題というものが、世の中には案外たくさんあるものです。ことに男女の問題には、それが多い。そして、真実はたいていそういうもののうちに潜んでいるのです。」