読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

私は女性にしか期待しない

「残業
先日、ある小さな商社の、いわゆるキャリアウーマンに会いました。彼女は共働きで、夫は自由業、子どもは男の子一人、もう大学に行っています。商社は知的な仕事で、社員は男も女も大卒ばかりです。


彼女もごたぶんにもれず、20年前同時に入社した男の社員とは、年収にかなりの違いができています。収入だけでなく地位も平と部長に開いています。



彼女は大学の成績も優秀で、大学に残れと言われたのを、ふりきって就職したのでした。仕事のやり方も合理的で、男たちより早く仕上げてしまうのですが、早く済んだ分、余計の仕事を押し付けられています。こういう事情で、彼女の男たちを見る目は、被害者意識も混じるのでしょうが、きわめて冷厳です。



「いまの企業は、働かせすぎだ。あんなに残業させることはない」
と私が言ったのに、納得しません。
「連中は昼間に片づけられれる仕事を、だらだら引き延ばして、残業しているんです。残業を楽しんでいるようなところもあります」


「早くに仕事をしてしまって、定時まで本を読んでいる人がいました。事務能力は抜群でした。だけど、彼は他の男からけむたがられました。やめてフレックスタイムの会社にかわってしまいましたけれど」(略)



それにどの企業でもそうあるように、イエとしてのまとまりは、自分の家庭より、会社の方がしっかりしています。仲間と遅くまで残業していても、結構アット・ホームなのでしょう。らくな気持ちで残業していても、残業手当は入ります。



男たちが、基本給の上がるようにむきになって戦わないのも、残業手当で補えるからです。キャリアウーマンの彼女が、企業は働かせすぎでないと言いましたが、基本給を押さえておけば長い目でみると、企業は得です。毎晩11時より早く家に帰れないのに、働かされ過ぎていると感じないのは、心の世界が貧しいからです。」