読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

ジャパンクライシス

「まず財政債権を!

小林   アベノミクスに対するもう一つの批判は、戦略の順番が間違っているのではないか、ということです。景気が回復すれば財政再建も達成されるというのがアベノミクスですが、実は財政再建が実現しなければ景気も回復しないかも知れない。


橋爪   なるほど。順番が逆。


小林   はい。これはアメリカでは非常に話題になっているテーマですが、日本では不思議なぐらい知られていません。
二〇一三年、共和党民主党の間で、財政状況と経済成長率をめぐる大論争がありました。そのきっかけとなったのが、カーメン・ラインハートとケネス・ロゴフという二人の経済学者が二〇一〇年に発表した論文です。



この論文で彼らは、ある国の公的債務がGDP比で九〇%を超えると経済に悪影響を及ぼし、経済成長は大幅に下がる、と結論付けたのですが、まさに当時のアメリカは九〇%になるかどうかの瀬戸際で、共和党はこの論文を引用しながら、「オバマケアといった、低所得者向けの施策は即刻やめて、小さな政府を目指すべきだ」と主張したのです。これに対して民主党が反論し、大論争へと発展したわけです。


(略)


おそらく経済学者の半数はこの説を支持するはずですが、なぜか日本では話題にもなっていません。


橋爪   ラインハートとロゴフの論文は、納得のいく主張です。(略)
政府が支出を増やし過ぎると経済成長が阻害されるのは、当然だろうと思います。


小林   財政破綻のリスクを国民が肌身で感じるようになれば、景気が減速するのは避けられません。債務がGDPの九〇%以上というのは異常事態です。(略)


(略)


小林   しかも、何より日本でそうなる危険性が高い。というのも、長期債務の対GDP比は既に二二〇%で、とっくに九〇%を超しているからです。(略)



小林   成長戦略を実行すると同時に財政再建を推進しないと駄目です。財政再建を後回しにするのが、最悪の選択です。


(略)



クライシス回避のポイント

1  いますぐ、思い切った増税社会保障の切り詰めが必要なのは明らか。しかし、専門かも政治家も、口をつぐんでいる。


2  税制債権をしないままのアベノミクスは、金利や物価の高騰をまねき、出口なしの状態に陥る。


3  政府の借金が増えると、かえって経済成長ができなくなる。財政再建を後回しにするのは、最悪の選択である。」


〇  第Ⅱ部で、橋爪さんは、文科省は不要。霞が関の役人の大部分はなくてもいい、と言っています。私も一番の問題は公務員ではないか、と感じます。

でも、そこを改革するのは至難の業なので、増税というしかないのかな、と思いました。


公務員改革を官僚に求める → 何もしない → 財政破綻

という筋書きにしかならない。

国民に大増税 → 財政破綻を免れる → 納税意識が高まる → 政治家や官僚を厳しい目で見るようになる → 二度と財政破綻に陥らない

という筋書きを願っているのだと思いました。