読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

日本中枢の崩壊

「一人の官僚を切れば五人の失業者を救える

(略)日本の国家財政はぎりぎりの状態にある。企業に例えれば分かりやすい。いま日本が置かれているのは、企業でいえば一時的赤字の段階ではなく、構造的赤字で、借金返済の目途が立たず、しかも本業の稼ぎも向上の見透しが立たない状態。民事再生や会社更生の申し立てを検討する段階である。



企業の再生時には、一時的経営悪化時とはまったく異なる大胆な改革が必要となる。経営陣の退陣や外部人材の投入で、すべてのしがらみを断って非連続的改革を行う。
と同時に、並行して内部の中堅・若手を抜擢し、改革業務をリードさせる。信賞必罰を徹底し、年功序列能力主義に改められる。




さらにもっとも特徴的なのは、ウェットな風土の日本企業でも、再生段階ではドライに大胆なリストラが実施されるという点だ。かつてのダイエーや現在の日本航空で行われていることである。東京電力でも必要になるだろう。



生きるか死ぬかの瀬戸際で生き残るためには、事業の選択と集中が必要になり、余剰人員は役員や管理職ポストとともに大幅削減される。



翻って公務員はどうか。(略)



実は、歳出削減、成長力アップ、増税、これらのいずれも公務員のリストラなくしては実現しない。歳出削減を徹底すれば当然人も要らなくなる。(略)まったく新しい発想で大胆な政策を打ち出すには、若手と民間人の血を入れて、新しい政策イノベーション文化を創造していくしかない。そのためには年寄りの官僚の既得権を奪い、新しい波に乗れない人たちをまとめてリストラしなければならない。




さらに、増税を求めるには、官僚自ら血を流す姿勢を示すことが不可欠だ。(略)
高給取りの年寄公務員を削減すれば、多額のおカネが浮く。キャリア組だけでなく、ノンキャリア組も含め、五〇歳前後の公務員は、優に一〇〇〇万円前後の年収を得ている。一方で、年間二〇〇万円の支援があれば、命を助けられる民間失業者はたくさんいる。(略)



こういうと、われわれにも生活があると大半の公務員は反論するだろうが、公務員は世間相場より高い給与をずっと支給されてきた。都心の一等地の官舎にただ同然で住み、その間ゆとりを持って貯金できる。蓄えは民間人より多いだろうし、高額の退職金も出る。



急場は凌げるはずである。贅沢を言わなければ、再就職の道がまったく閉ざされているわけでもない。(略)




ところが、霞が関の大勢はそうではない。既得権益を守るため、改革に頑強に抵抗している。そのうちにも、日本の病状は臨終の間際まで進む……。(略)」