「一般的で変化することのない人間の条件について、ヤスパースが語った言葉がある。
「私は闘って苦しむことということなしに生きることはできない。罪を避けることはできない。死を避けることはできない。」
「思考の風が現れてくるのは認識ではない。善悪を、美醜を見分ける能力である。
そして、ここぞという瞬間には、それがものをいって破滅を防ぐかもしれないのである。少なくとも自己の破滅だけは。」
〇ヤスパースについては、たまたま必要に迫られ読んだ「理性と実存」で知っただけなのですが、この本の解説を読んでいると、1929年、アーレントは、彼の下で哲学を学び、晩年には親友だったと書かれていました。
それで、ヤスパースの「哲学的自伝」を今、少し読んでいます。
「今日では科学なくして、いかなる真実性もありえません。諸科学における認識の
正当性は、哲学的真理からは完全に独立しております。しかも哲学的真理にとって
それは重要であるばかりでなく、不可欠でさえあります。
しかしながら科学は、何ゆえそれ自身存在すべきなのか、そのいわれを理解できません。科学はいきることの意義を明らかにせず、その指導を与えもいたしません。