読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 上

パソコンが壊れ、なんとか新しく使えるパソコンが手に入り、
少し余裕をもって書けるようになりました。

上巻を読み終わったので、下巻に行きたいと思っていますが、
この訳者の佐藤和夫さんが付けてくれている解説がとても良いので、
それも少しメモしておこうと思います。

「解説」

アーレントは、「全体主義の起源」を執筆中の1947年9月4日づけの
カール・ヤスパースアーレントの恩師であり晩年の親友であった)あての
手紙のなかで、著作の進行状況についてこんなふうに述べている。」


「私が執筆中のものについてのご質問の件についていえば、題名が決まっていないので、示唆できるだけです。第一部はすでに出来上がっていて、18世紀中ごろ以来のユダヤ人の歴史を政治的社会的に叙述したものです。

その際、ユダヤ人は二十世紀の政治的イデオロギーを決定的に結晶するものとして
ふさわしいという視点がもっぱらとられています。

第二部は、今執筆中ですが、帝国主義(私の用語で言えば、80年代以降始まった
純粋拡張政策)と国民国家の崩壊との関係を分析しています。」


社会主義全体の歴史的評価をどうするかについてはもう少し長い射程で
ものを考える必要があると思うわれるが、少なくともそのもっとも大きな問題点が全体主義的な統治形態にあることは大方の一致を得られるだろう。

彼女が人間の共同についてそれを中心問題に据え、そこからスターリン主義
全体主義と捉えた点こそが彼女の射程の広さを保障した。

その意味で言えば、彼女は経済制度としての資本主義を肯定することなど関心が
なかったのである。彼女の関心は人間の自由と共同を保障する視点からの
スターリン主義研究にあった。」

「より正確に言えば、彼女の全体主義評価をめぐっての哲学的基礎がそれほど
徹底してマルクスおよび西欧思想全体の伝統への本格的検討と結びついて
いたという点こそもっとも重要な点である。」