読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活

精神の生活 下 (付録 判断)

〇 もう少し判断について。 「判断、とりわけ趣味判断は、常に他者を考慮し…他者が下すと考えられる判断を考慮に入れる。このことが必要であるのは、私が人間であり、人々の共同体の外では生きることが出来ないからである。」 「このことをなるほどと思わせ…

精神の生活 下

「そこから分かったのは、「新しいローマ」を建国する希望は幻想である、ということのみであった。彼らがせいぜい希望しうることは、太古の建国を繰り返し「あらためてローマ」を創設することであった。」 「彼らは自分たちの「啓蒙された」時代における政府…

精神の生活 下

「我々が常に我々共通の世界の変革に従事する[政治的共同]活動は、私と私自身との対話の中でなされる思考という一人だけの仕事に対して、考えられるかぎり鋭く対立している。(略) しかしこれはけっして我々つまり活動の真の複数性に到達しない。(真理の保…

精神の生活 下

「しかし、キリスト教の時代が終わっても、決してこうした困難がなくなりはしていない。全知全能の神への信仰と自由意志への要求をいかにして調整するかは、厳密にキリスト教的な大問題であったが、この大問題は、さまざまな回路をへて現代でも脈絡を 保って…

精神の生活 上

「これは、人類が克服しがたい危機に陥っているというよりは、近代社会の 生産至上主義的なあり方、経済が他の一切の人間的活動に優先するというあり方その ものが根本的に限界にぶつかっていることを示すのであろう。」 〇返さなければならない本なので、そ…

精神の生活 上

「しかし、固有な意味で人間の自由が語られるとすれば、このような政治的共同の 空間こそが不可欠なのである。アーレントのいわゆる政治哲学の議論はすべて この活動概念から始まっている。 人間はこのような共同の経験によってこそ、死すべきさだめにありな…

精神の生活 上

パソコンが壊れ、なんとか新しく使えるパソコンが手に入り、 少し余裕をもって書けるようになりました。 上巻を読み終わったので、下巻に行きたいと思っていますが、 この訳者の佐藤和夫さんが付けてくれている解説がとても良いので、 それも少しメモしてお…

精神の生活 上

「一般的で変化することのない人間の条件について、ヤスパースが語った言葉がある。 「私は闘って苦しむことということなしに生きることはできない。罪を避けることはできない。死を避けることはできない。」 「思考の風が現れてくるのは認識ではない。善悪…

精神の生活 上

「<考えないこと>と悪との間には何か関係がありそうだということは、我々の 抱えている中心問題とのからみで考えるとどういうことになるのか? 結論としては、ソクラテス的なエロス― 智慧・美・正義への愛― によってかきたてられている人だけが思考できる…

精神の生活 上

「存在の肯定はプラトンの驚異における賞賛の要素に明らかに対応するものであるが、 無の深淵を言葉なくめまいにみまわれながらのぞき込むことから人間の理性を救うためには、創造主たる神への信仰が必要である。 このような信仰が徹底的に退けられ、人間の…

精神の生活 上

「「デルフォイの神託の主神」アポロは(詩の神でもあると付け加えてもよかろうが) 「あらわに語ることも隠すこともせずに、ただ示すだけである」すなわち、曖昧に 何かを暗示するのであり、ほんの暗示にすぎないものを理解する人によってのみ 理解されるの…

精神の生活 上

「この自我は、ことによれば、人間や世界が実在的なのか、たんなる幻影なのかは 知らないかもしれないけれど、- とりわけ、インド哲学を見よ ― ニーチェが かつて述べた言い方で言えば、「病的爽快」という常にある種の「陶酔」に似かよった 状況のなかで「…

精神の生活 上

〇 PCの調子が悪くなかなかスムーズにメモ出来ません。 でも、この本は借りた本なので、メモはなるべく早く終わらせたい、という事情があって、順不動で、特に印象深かった箇所、感動した箇所からメモしていきたいと思います。 「初期の元々の形態においては…

精神の生活 上

「思考すること、意志すること、判断することというのは、三つの基本的な 精神活動である。」 「(略)我々が行動する際の原則と我々が自分の生活について判断し行動する際の 基準は、究極的には精神の生活によって成り立っているのである。 要するに、それ…

精神の生活 上

「必然性の反対は偶発や偶然ではなくて自由なのである。」 ○これがわからない… 「予告もなしに何十年か前に、きみは自然の深遠から吐き出されて出てきた 被造物の無限の激しい流れのなかにやってきたのだ。 それを科学では、偶然の出来事だというのだ。 だか…

精神の生活 上

「アリストテレス『形而上学』冒頭の有名な文章、「すべての人はうまれつき知ること を欲する」は言葉どおり訳せばこう読める、すなわち、「すべての人は見てしかも 見てしまう[すなわち、知る]ことを欲する」と。」 「ところが、思考によって提起される問題…

精神の生活 上

「思考がどの科学的活動においても非常に大きな役割を演じていることは 疑いの余地のないところであるが、それは目的にに対する手段の役割としてである。 ところで、目的は何が知るに価するかということの決定によって規定されてくるし、 これを決定するのは…

精神生活 上

「カントが理性の超越論的弁証法の序論で言及した我々の感覚装置の 「自然不可避的な錯覚」というのに、ここでぶつかっているわけである。」 「カントにとっては神は「理性の理想」であり、そういうものとして我々にとって ある。」 「思考する自我はまった…

精神の生活 上

○魂:①生き物の身体にやどっていて精神作用をつかさどると考えられるもの ②心、気力、精神 「魂の生活は、その性格が十分表されている場合、言語よりも一つのまなざしや 音、しぐさによってずっとよく表現されるのである。」 「すべての精神活動はたしかに現…

精神の生活 上

「見ることのできるものは、何にせよ、見られることを欲しており、聞くことの 出来るものは聞かれることを、触れることのできるものは触れられることを欲している。 実際、生きているものはどれでも ― 表面が現象のために作られていて見るのに 適しており他…

精神の生活 上

「カントの言葉でいえば、「世界を現象としてみると、現象でないなにものかが 実際に存在することが明らかになる」、いいかえれば、哲学者が感覚に与えられる 世界に決別して精神の生活へと方向転換する際に、現象の世界を手掛かりとしながら、 その下にある…

精神の生活 上

「というのは、この精神活動というのは人によって非常に大きな差があるけれど、 この現象世界から退きこもり、自己の側に立ちもどるという点ではみな共通で あるからだ。」 「しかしながら、我々は世界の一部をなして属しているのであり、しかも、たんに そ…

精神の生活 上

「思考が欠如していることが愚かだというのではない。思考の欠如は きわめて知的な人びとにも見いだされるし、邪悪な心はその原因ではない。 たぶん、反対なのであって、悪は思考の欠如によって引き起こされるのだろう。」 ○読んでも読んでもよく意味がわか…

精神の生活 上

○著作からの抜書きは「 」で、自分でまとめた言葉は○で記入します。 「思考は科学のように知識をもたらしはしない。 思考は役に立つ人生訓を作り出しはしない。 思考は宇宙のなぞを解きはしない。 思考は直接行為への力を与えるわけではない。」 (マルティ…

精神の生活 上

ハンナ・アーレント著 「精神の生活 上」を読もうとしています。 哲学書は大昔、学校の課題でヤスパースの「理性と実存」を読んで、 ほとほと「わからない!!」と思い知りました。 でも、わからないのになぜかあの世界ほど私に力を与えてくれた本もない、 …