読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

「哲学的自伝」

ヤスパース著「哲学的自伝」を読んでいます。

引用文は「 」で、自分の感想は〇でメモします。

「しかし科学的認識だけでは、心は満たされませんでした。真に科学的であるとは、おのれの限界を知っている批判的な知であります。(略)このとき私の脳裏に稲妻のように閃いたのは(私はまさしく哲学的に思索していたのですから)、何らの成果をもたぬ、しかも有意義な思索というものが存在するという事実でした。しかしこのような洞察は、当時私の研究にとって何ら結果を生みませんでした。」

〇私たちの国では、「考える力をつける必要がある」とゆとりの時間を導入しながら、成果がでない(学力の向上に結び付かない)と簡単にその中止を決定してしまいます。ここを読みながら、もともとそんな簡単に「成果」に結び付かないのが
「考える力」ではないのかと、暗澹たる気持ちになりました。



「しかしながら科学は、何ゆえそれ自身存在すべきなのか、そのいわれを理解できません。科学は生きることの意義を明らかにせず、その指導を与えもいたしません。」

〇「生きることの意義」これ自体、考えても意味のないような「成果」の出ない
問題だと思います。でも、多くの若者、多くの弱者が自殺していく社会で、このことについて考えずにいられないのが人間なのではないかと思うのですが。



「その頃すでに大学では、予期もせず心ならずも、またたくまにナチズムを権力の座につけてしまった、かのもろもろの無思慮が頭をもたげておりました。ナチズムは今や、かのあらゆる闘争を些事として易々と乗り越え、自由な精神の現実たる大学を
一撃で抹殺したのであります。」

〇あの安倍首相が「森友、加計問題」を「そんな小さなことにかかわっている場合ではない」とか「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言った言葉を思い出しました。まさに「些事」として易々と乗り越えナチズムもどきの強圧的に民衆の声を封じ込めていく政権を継続させようとしています。