読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

精神の生活 下

「魂の不死性に関する哲学者の「証明」が論理的に正しいとしても、そんなことはどうでもよいことなのである。この世での旅人、あるいは巡礼者にとって、この世にあり続けることが意味あるものとなるためには、死後の世界は「第二の人生」でなければならず、肉体を脱した存在として、現世とはまったく別の在り方をするようではいけないのである。」


「人間の自由を構成しているのは、一つには、欲望が求めるものに対して抵抗できるということであり、もう一つには、知性と理性の指令に対して抵抗できることから生まれるのである。」

「自分で意志した目的のためなら幸福を切り捨てるということも人間には不可能なことではない。」



「ドゥンス・スコトゥスは、二つの意志を区別した。その一方は「自然意志」であり、自然的傾向性に従うものであって、欲望だけでなく理性によっても促進されるものである。

もう一方は、本来の意味での「自由意志」である。」


「もし人間だけが自然意志を持っているのなら、人間はせいぜい善なる動物、一種の蒙を啓かれた獣にすぎず、理性を持っているからこそ、人間の本性によって与えられる目標に対する適切な手段を選ぶことができるのだということになる。」


「以下の叙述においては、このように息をのむほどに独創的であり高度に的を射た思考過程_思考実験_をまとめることにしよう。それが従来の哲学的神学的伝統に対してきわだった対照をなしているのは明らかなのだが、安易に見落とされてきたのである。」

「第一に、「誰もが幸福になることを意志する」という陳腐な決まり文句に対して彼が反対したということである。(略)

第二に、これに劣らす驚異的なこととして、偶然性の存在の証明がある。」


「建設的な思考への情熱」を持ちあわせていながら体系構築家でなかったということがスコトゥスの特徴なのである。」


「彼はそうした不都合がわかっていたに違いない。というのも、「内的経験が乏しいために」議論に勝つけれども肝心の問題を見失ってしまう「喧嘩好きの」論争相手にかかずりあってはならないという警告をあからさまに行っているからである。」


アーレントも同じように考える似た者同士だからこそわかるのだなぁと思います。


「しかし、人間は他の被造物とはまったく違って勝手自由に企図されたものではない。神自身の似像として創造されたのである。」


「(だからこそ、と私には思われるのだが、スコトゥスは「自由に企図するという無内容な能力」を「真の完全性」と考えているように見えながら、「自由に企図された意志の目標」という自らの考えを最後までは追求しなかったのである。)」


〇私にはまるでわからないのだけれど、このアーレントには理解できると思えるのは、相通じる何かがあると思えたからなのでは?と思えるのですが。

読んでいて、このドゥンス・スコトゥスに対する文章には、一段と熱が入っているように見えます。