「第十三章 歴史の必然と謎めいた選択 交易と帝国と普遍的宗教のおかげで、すべての大陸の事実上すべてのサピエンスは最終的に、今日私たちが暮らすグローバルな世界に到達した。(略)
だが、グローバルな社会の出現は必然だというのは、その最終産物が、今私たちが手にしたような特定の種類のグローバルな社会でなくてはならなかったということではない。他の結果も確かに想像できる。(略)
もし一万年前に戻って何度も一からやり直したら、毎回必ず一神教が台頭し、二元論が衰退するのを目にすることになるのだろうか?」
「それでは私たちはなぜ歴史を研究するのか?物理学や経済学とは違い、歴史は正確な予想をするための手段ではない。歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなのだ。」
「歴史が持つ選択肢の幅は非常に広く、可能性の多くは決して実現することがない。歴史が科学革命を迂回して何世代も続くという可能性も想像可能なのだ_キリスト教も、ローマ帝国も、金貨もない歴史を想像するのが可能なのとちょうど同じように。」