「IMF管理で鎮静化?
橋爪 新円を発行するなら、その発行管理権は日本政府に与えず、たとえばIMF(国債通貨基金)が持つべきではないでしょうか。さんざん紙幣を印刷しまくったからこうなったわけで、新円でも同じことをやれば、元の木阿弥です。
橋爪 四〇兆円というと、国民一人当たり三〇万円ほどです。当座はしのげる。
小林 しかし、日本経済の規模は大きいので、もしもマーケットから円を売り浴びせられたら、IMFの全予算四〇〇〇億ドルをすべて使っても足りないでしょう。
橋爪 諸外国はそれをどう見るでしょう。
小林 許容せざるを得ないでしょう。
日本政府がIMFから借り入れる額を一〇〇〇億ドルと決め、その限度額まではいつでも貸してもらえるという了解を取り付けることで通貨価値を安定させ、その上で新円を発行する。と同時に財政再建を打ち出す。そうでないと、新円に切り替えても信用されません。
(略)
小林 本来なら、試算制限をするべきなんです。高齢者の中には、収入がなくても何億円もの資産を持っている人がいます。そういう人には「年金はあげません」と言うべきです。
医療においても、高齢富裕層の窓口負担はたとえば五〇%にして、きちんと医療費を払ってもらう。と同時に、資産も所得も少ない高齢者に対しては十分な手当てをするといった改革が必要です。
橋爪 選択的福祉と選択的年金の導入ですね。それによって歳出も圧縮できる。
ただそれでも、必要な歳出カットの半分ぐらいにしかならないのではないでしょうか。
小林 そうでしょうね。
小林 ただ、道路の整備や生活保護費の給付など、削れないものもあります。そうなると、搾りに絞っても、歳出は半分くらいまででしょうか。
橋爪 問題は歳入をどう確保するかです。最初の数年は、税収もさほど見込めません。
橋爪 そこから毎年二兆円ずつ返していけば、五〇年で完済できる。これなら皆、納得するでしょう。
小林 それなら国債の利払い費も圧倒的に小さくなります。
橋爪 消費税率はやはり、三互%まで引き上げるべきですよね。
橋爪 でも三五%にすれば、その分を福祉に回せます。もう昔のような年金は貰えませんから、低所得高齢者は塗炭の苦しみを味わうことになる。そうした人たちを支援するためにも、さらなる税収が必要です。これは、高齢者が例えば五〇万人自殺うか病死するかしても消費税は一〇%のままにしておくか、それとも税率を三五%にまで引き上げて高齢者を支援するか、という問題なのです。
小林 そういう意味では後者でしょう。
小林 インフレにつられて賃金も多少は上がっていると思います。その分を考慮に入れなければ通貨価値が現在の一〇分の一になると、そういうことになりますね。
橋爪 そうすると、海外から輸入しなければならない石油や天然ガスがとても高くなっている。」