読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

私の中の日本軍 下 (日本刀神話の実態)

「考えてみれば、日本軍とは、全日本人を網羅した日本史上最大の全国的組織であった。これほど厖大かつ強力な組織は、過去にはなく、また将来も再生することはあるまい。

幸いその組織は消えた。従って今やこれを一つの資料としてあらゆる面から自由に探求できるはずである。しかしそれは意外に難しいことのように思う。確かにこれを非難罵倒し、無視することは簡単である。


しかしそれは結局、ゴーゴリが「死せる魂」の冒頭に引用したロシアの諺通りに「自分のツラが曲がっているのに鏡をせめて何になろ」であろう。そこ写っているのは、結局は、自分の姿なのだ。」



「しかしまた一方では、あらゆる問題は互いにからみ合っているので、一つを取り上げると、それが次々と別の問題に関連して行って際限がなくなる面もあるので、一応の枠を設け、内的には自己の体験、外的には「「百人斬り競争」=「殺人ゲーム」の究明」に限定したわけである。(略)


従ってここで、最後に「私の体験と「百人斬り競争」の枠内で、なお残っている三つの問題を取り上げたいと思う。すなわち「日本刀伝説とその実態」「負傷後の心理」および「週刊新潮」が向井少尉が助かりたいため行った偽証ではないか?という疑問を提示した「十二月十日紫金山麓」の会見記事の否認の問題、


いわば「戦犯裁判と報道の問題」_これは、同時に戦犯法廷の中国人裁判官が、この浅海特派員の記事に対して、本心ではどれだけの信憑性を置いていたか、彼らも内心ではこの証拠を「記者の創作」と見破りつつも政策上の必要から二人を処刑したのではないかという問題、ある意味では非常に興味をそそられる問題、および、これとこれにまつわる問題点を取り上げたいと思う。」