読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

安倍官邸とテレビ

「政府・自民党の「反論」
このBPO意見書に対して、公表同日に高市早苗総務大臣が談話を発表し、「放送法の番組編集準則は、法規範性を有する」と反論。九日には菅官房長官が会見で同趣旨を述べ、谷垣禎一自民党幹事長も同日の会見で「報道の自由があるから一切やらせに対して口をつぐんでいるのがよいとは私は思わない」と、BPOを批判している。

そして、安倍首相も一〇日、国会で「単なる倫理規定ではなくて法規であって、その法規に違反しているのであるから、これは担当の官庁としては法に則って対応するのは当然」と答弁した。(略)

高市総務大臣は、答弁で「放送事業者が仮に放送法に違反した場合、総務大臣放送法第一七四じょうに基づき三カ月以内の業務停止命令、さらに電波法第七六条に基づき三カ月以内の無線局の運用停止命令を行なうことができる旨、定められていますから、これは放送法の規定というのが法規範性を有することによるものだと思っています」と述べている(高市総務大臣は二〇一六年二月八日の衆議院予算委員会でも、「放送法違反を理由に電波法第七六条に基づいて電波停止を命じる可能性がある」という旨の発言をしている。このことについては、第五章で詳述する)。(略)

放送法第一七四条の適用」は”違法答弁”

さらに問題なのが、放送法第一七四条の適用である。この条文は「業務の停止」として「総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、三月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる」(傍線、筆者)とする。


だが、傍線を引いたように「特定地上基幹放送事業者」は除外されている。この特定地上基幹放送事業者とは、地上波テレビ、ラジオを指す。つまり、地上波テレビ、ラジオに適用されない条文を引いて、あたかも業務停止命令が出せるとの答弁を行っているのだ。



そもそもこの条文は、放送関連四法をまとめた放送法大改正(二〇一〇年)の前は、CS・BSのソフト事業者(委託放送事業者と呼ばれた)とケーブルテレビ事業者に限定して適用される条項としてあり、その時点から地上波テレビに適用されないことは明白であった。前述した答弁は、そのような経緯を踏まえていない”違法答弁”ともいえる。(略)



政府・与党が一体となって、違法な政治介入を繰り返す中、放送法が求める放送事業者の「自主自立(自律)」が問われる事態となっている。放送批評が成立するのも、自由な言論があってこそだ。(略)



繰り返すが、先進国において、個別のテレビ番組について、政権与党が放送局を呼びつけるなど聞いたことがない。このこと自体が表現の自由を侵害するものであり、先進国ではありえない事例なのだ。(略)


政府・自民党には、このことへの理解が欠けている。権力者は強大な権力を持っているからこそ。その行使には抑制が求められる。「表現の自由」は、人類が長年の歴史の中で培ってきた民主主義を確立するためのベースである。(略)」


〇 本来、嘘つきや犯罪者は、軽蔑され、その行動を改めない限り、社会的地位を失うのが当然だと思う。なのに、安倍首相は今も平然と首相の座にある。これは、安倍首相の問題ではなく、私たち日本人の国民性の問題だと思う。