紫 戩華の息子の中で、生き残ったのは、この二人だけ。
清苑(静蘭)は殺して欲しいと願ったのに、戩華は殺さなかった。
しかも、自分が身代わりになって死んだ。
物語なのでしょうがないのだけれど、この戩華、さっぱりわけがわからない。
もっとしっかり後ろ盾になって育てるってことにはならないのか…
と凡人は考えるのですが。違うんですね。
鈴蘭の君がわが子でありながら、王の邪魔になる存在だからと
殺そうとするほどに、静蘭は存在すると困る存在だった。
何故?やはり旺季の存在があったから?
茶州に追放される時、(静蘭が)もっとバカだったらこんなことにはならなかった…
と言った戩華。
等々…
この物語、一番最後に気になる余韻が残ってしまったのが、静蘭です。
劉輝は一応まともな王になり、秀麗とも結ばれ、
めでたしめでたし♪になりました。
でも、静蘭は、感情のみで突っ走る子供っぽさが最後まで見え隠れし、
でも、だからこそ、一番身近な並みの人間のように見えて、
心配になります。
静蘭の「一番」は劉輝。その劉輝をフォローし守ることで、静蘭は充分だった、
ということなのかなぁ。
まぁ、物語だからそんなに隅々まで突いてもしょうがないのですが。
それほどまでに、この中のキャラクターが私の中で、生きていて、
心配になる…ということなんですね(^^;。
何故、静蘭ではなく、劉輝が王になったかといえば、めぐり合わせ(劉輝は
やる気がなかったので、つなぎとして丁度良かった)ということに
なるのですが、劉輝と静蘭の比較で、何度も繰り返し出てきたのが、
劉輝は人を信じる。静蘭は誰も信じない、ということでした。
静蘭は劉輝を可愛がることで救われ、その気質に温かみが加わった。
でも、劉輝は静蘭と出会っていなくても、多分それほど
変化はなかったのでは…と書かれていた所もありました。
この部分、とても印象的でした。
というのも、私も「人を信じられない」性格なのです。
私は静蘭とは違って、ガラスの様な繊細で研ぎ澄まされた知性があるわけでも
ないのに、人を信じられない…という部分だけはそっくりなので、
救いようがありません(> <)。
思えば、能力や美醜に関らず、なぜか愛されるタイプの人と、
それなりに一生懸命頑張っても、どうしても何か厚い隔てを
感じながら付き合うしかないタイプの人がいます。
私は後者です。これはもうしょうがないなぁと思います。
この劉輝と静蘭のキャラクターに、そんな二つのタイプを重ねて見てしまいました。