読んだ本のメモ

印象に残った言葉をメモします。

サピエンス全史 上 <原初の豊かな社会>

「あいにく、狩猟採集民だった私たちの祖先の暮らしに関して、確かなことはほとんどわかっていない。「古代コミューン」派と「永遠の一夫一婦制」派との論争は、薄弱な証拠に基づいている。


当然ながら、狩猟採集時代の記録文書など皆無であり、考古学的証拠は主に骨の化石と石器から成る。」



「このように、人工遺物に頼ると、古代の狩猟採集生活の説明が歪んでしまう。それを正す方法の一つは、現代の狩猟採集社会に目を向けることだ。そのような社会は人類学的観察によって直接研究できる。」


「古代狩猟採集民の間の民族的・文化的多様性も壮観で、農業革命前夜に世界中に住んでいた500万~800万の狩猟採集民は何千もの別個の部族に別れ、何千もの異なる言語と文化を持っていたと考えるのが理に適っている。

これは結局、認知革命の主要な遺産の一つだった。同じ遺伝的構造を持ち、類似した生態的条件下に生きている人々でさえ、虚構が登場したおかげで、非常に異なる想像上の現実を生み出すことが出来、それが異なる規範や価値観として現れたのだ。」



「認知革命以降、サピエンスには単一の自然な生活様式などというものは、ついぞなかったのだ。そこには、途方に暮れるほど多様な可能性が並んだパレットからどれを選ぶかという文化的選択肢があるだけだった。」



「<原初の豊かな社会> そうはいうものの、農耕以前の世界での暮らしについて、どんな一般論が語れるだそうか?大多数の人は、数十、最大でも数百の個体から成る小さな集団で生活しており、それらの個体はすべて人類だったと言って差支えなさそうだ。」



「犬はホモ・サピエンスが真っ先に飼い慣らした動物で、犬の家畜化は農業革命の前に起こった。」



「生活集団の成員は、互いをごく親しく知っており、生涯を通して友人や親族に囲まれていた。孤独やプライバシーは珍しかった。(略)


近隣の集団どうしの関係がとても緊密で、単一の部族を形成し、共通の言語や神話、規範や価値観を持つこともあった。
とはいえ、そうした外面的な関係の重要性を過大評価してはならない。」


「農業革命以前には、全地球上の人類の数は、今日のカイロの人口より少なかった。」



「狩猟採集民の集団が40年ごとに2つに分裂し、一方が100キロメートル東にある新しい領域に移住したら、東アフリカから中国まで、およそ10000年で到達しただろう。」